草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』刊行記念! ビジネスパーソンのための超速『鬼谷子』講座 第一回「『鬼谷子』ってどんな本?」 『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』高橋健太郎著

 『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。:伝説の中国古典「鬼谷子」に学ぶ最強の人心操縦術』、もうお読みになられましたか?

 本書は、実戦的な人心掌握と「人を動かす」技術を説いた中国の古典『鬼谷子』の内容を小説形式で紹介したものです。

 今回から、この『今日ヒラ』刊行にちなみまして、少しでも『鬼谷子』を身近に感じていただくために週一回のペースで全四回、『鬼谷子』の内容をご紹介できればと思います。

◆日本で顧みられなかった古典『鬼谷子』

 とは言っても、「『鬼谷子』なんて知らない」という方がほとんどでしょう。
 それもそのはず。日本では、江戸時代中期に皆川淇園(きえん)という儒学者が校訂を施して紹介して以来、ほとんど問題にされてこなかった中国古典なのです。
 その当たりの事情について、九州大学の『哲学年報』に収められた論文「鬼谷子について」(佐藤仁・1955年)には、次のように書かれています。

「我邦唯一のものである皆川氏校本なるものは誤刻が非常に多く、ほとんど使用に耐えぬものであることが解った。これも一つにはこれまで我国人士の間で鬼谷子がほとんど問題にされなかったことを示すものであろうか」(文中の旧字体は新字体に修正)

 つまり、『鬼谷子』とは、江戸に作られた国内唯一の皆川氏の校本も間違いだらけで、それが誰からも顧みられず戦後まで放置されてきた。そんな不遇の古典だった、とこの論文を書いた佐藤氏は嘆いているわけです。
 ではなぜこんな扱いをされてきたのか?

◆『鬼谷子』は江戸の人々にとって不穏な古典だった

 その理由を詳しく紹介するだけのスペースはありませんが、考えられる最大の理由を一つだけ。
 おそらく、江戸のインテリからみると、あまりに書かれていることが、個人主義的で不穏な内容だったから、ではないでしょうか?
 『孫子』なら公のための軍事学というタテマエもたちますが、『鬼谷子』は個人が言葉で周囲を動かし、場合によっては国家すら転覆させるような技術。それも、身も蓋もないほど実戦的なものが記されています。

 国の安定のための学問である儒教(『論語』とかのアレですね)を信奉する大多数の江戸のインテリにとって、『鬼谷子』の内容は世を乱すようなものに思えたことは間違いないでしょう。

◆『鬼谷子』が説くのは、安全圏から人を動かす技術

 では、実際、そんな不穏な古典『鬼谷子』にはどんなことが書いてあるのか?
 結論から言えば、『鬼谷子』に書かれているのは、自分を安全圏に置きながら、人を動かす術です。そして、そのための基本は、次の三つに集約されます。つまり、

1「周囲に知られず、周囲を知り、人を動かす」
2「現実を見るときには、必ず自分から見えない要素を想定する」
3「起こった出来事を嘆かず、柔軟に対処し利用する」

『鬼谷子』には「象比(しょうひ)の術」「忤合(ごごう)の術」「飛カンの術」「揣摩(しま)の術」など様々な人を動かすための術が記されていますが、すべてはこの三つのためのものだと言っても過言ではないでしょう。

 では、具体的にはそれらの術はどういうものなのか? どのような手順で人を動かすのか?
 それについては、次回以降から見ていくこととしましょう。

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「みなさん。よろしくおねがいしますよ」――大泉実成『オタクとは何か?』

『オタクとは何か?』

大泉実成 著

 この本のラストに、時々僕自身頭をかかえたくなる「綾波ポエム」を掲載した。
 つまり、ハイデガー流に言うと「ケーレ」(転回)がおこったのである(いやいやスケールの大きさは考えちゃダメですよ)。僕は綾波ポエムを認めたのである。「僕はここにいてもいいんだ」と思ったのである。
 僕はジャニーズやピンクレディ(旧い!)やシャーみたいな人間や非人間キャラにキャーキャー言う人たちを「馬鹿じゃねえの」と思っていたのだが、大きな間違いであることが分かったのだ。人格の淘汰のためにも、キャラ萌えはそれでいいのである。それは君を一回り大きくするのだ。
 僕は綾波に対して僕自身の魂を投影していたのである。魂は永遠なのである。そしてテレビ版最終話のシンジ君のように、世界がパーッと開かれ「僕はこれでいいんだ」と思ったのである。
 オタクもヤンキーも肉食系も草食系もやってることは同じなのだ。意匠が違うだけなのだ。
 そういうことなんですよ、みなさん。よろしくおねがいしますよ、ほんと。

(大泉実成・筆)

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日本語の盲点! 接続詞の正しい使い方を知れば、驚くほどわかりやすく伝わる文章が書けるようになる! 文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方 吉岡友治著

文章が一瞬でロジカルになる接続詞の使い方

吉岡友治 著

◆なぜ日本人は論理的に書くことが苦手なのか?

 長年、日本の学校教育では、読書感想文や作文の授業などで、自分の感情を文芸的に書くことが良しとされてきました。しかし、社会人になってから必要となるのは、文芸的な文章ではなく、説明文や意見文などいわゆる論理的と言われるタイプの文章です。こうした文章の目的は“自己表現”ではありません。むしろ、読み手に正確に紛れなく伝え、判断に影響を与えることが大切です。
 本書では、論理的で明瞭な文章を書くための、もっとも簡単な方法として「接続詞」に注目しました。「接続詞」は今までどちらかと言えば、補助的な要素と見なされて軽視される傾向がありましたが、実は自分の述べたいメッセージを、正確で効率的にわかりやすく伝えるのに欠かせない言葉なのです。
 接続詞を正しく使えるようになれば、文章をあまり変えなくてもよりクリアな言い方に直せるようになります。それどころか、接続詞を整えるだけで、目の前にある文章のどこが述べ足りないのか、どこが余計な記述なのかも、自然に見えてくる効果もあります。

◆意外に知らない、接続詞の正しい使い方が身につく

 接続詞といっても、小さい頃から使っている日本語ですから、その意味や用法の違いは何となくわかっているかもしれません。しかし、知っているつもりでも、正確な使い方はできていないことが多いのです。それをもう一度確認して、正しい使い方ができるようにするのが本書の目的です。
 接続詞は、文章の方向を決め、決定的な影響を与えます。ぜひ、その意味や使い方に習熟し、読む者をうならせるようなスッキリした文章を書いてみませんか? 
目次より
◎「そして」「……が、……が」を追放する!◎「また」の使いすぎはくたびれる◎「つまり」はなく
てもわかる◎「まず……次に」に頼りすぎない◎「なぜなら……からだ」は理由を表す魔法のコトバ
◎「だから」は自然的、「したがって」は主体的◎「そもそも」「要するに」で深さをアピール
◎「とにかく」「やはり」は強引すぎる◎「このように」でゆったり結論を示すetc

著者紹介

吉岡友治 (よしおか・ゆうじ)

1954年宮城県仙台市生まれ。東京大学文学部社会学科卒、シカゴ大学大学院人文学科修士課程修了、比較文学・演劇理論専攻。駿台予備学校、代々木ゼミナール講師を経て、現在、インターネット講座「VOCABOW小論術」校長。ロースクール・MBA志望者などを対象に文章、論理の指導を行うほか、企業でもライティング指導を行っている。おもな著書に『大学院大学編入学 社会人入試の小論文』(実務教育出版)、『東大入試に学ぶロジカルライティング』『反論が苦手な人の議論トレーニング』(共に筑摩書房)、『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』(日本実業出版社)、『いい文章には型がある』(PHP 研究所)、『シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術』(草思社)など多数。

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人口減少、高速道の整備、天災……ほとんどの路線が赤字。どう存続させるべきか? 全国鉄道事情大研究 北海道篇 川島令三著 

全国鉄道事情大研究 北海道篇

川島令三 著

◆鉄道研究の第一人者が、計17路線の現状と未来を徹底研究!

 北海道の鉄道は、人口減少、高速道の整備、台風被害などで乗客が激減し、札幌近郊の一部を除くほぼ全線が赤字となっています。JR北海道は約1200キロもの路線を「自社だけでは存続できない」とし、廃線を含めて沿線自治体と協議しています。
 JR北海道の赤字線区を現状のまま放置しておくと、やがて80%の路線が廃止になり、残るは札幌近郊区間と北海道新幹線だけになってしまう、と著者は言います。北海道の鉄道は今後どうなってしまうのでしょうか?
 小社刊『全国鉄道事情大研究』シリーズでこれまで全国の鉄道事情を解説してきた著者が、本書【北海道篇】では当地の鉄道の「今」を取材し、現実を踏まえた上での「路線存続のための具体案」を多数提起します。今年3月の新ダイヤを踏まえ書き下ろした鉄道ファン、地元北海道の方々、鉄道関係者、不動産関係者、必読の本です。

◆北海道新幹線(新函館北斗―旭川、全区間未開業)──国交省の試算、東京─札幌間「5時間1分」。これでは利用者は望めない。北海道一部区間の踏切除去、道路と線路の立体交差などで、5時間の壁を越えよ!

◆日高本線──海岸沿いの鵡川(むかわ)─東静内間の数か所が波浪被害で運休中。復旧困難と決めつけず、鉄道と道路の両方を走れる「DMV(デュアル・モード・ビークル)」で運行を再開せよ!

◆千歳線──札幌近郊区間として、また、新千歳空港と札幌を結ぶ鉄道として利用されており、本社部門の管理費を除けば黒字。各種特急と快速「エアポート」が頻繁に運行。苫小牧─南千歳間も堅調!

◆留萌(るもい)本線──留萌─増毛(ましけ)間が廃止、残る区間もJRは廃止を検討。無料の高速道路が並行する中での活路は、JRが線路を保有したまま、大手旅行会社が自前で「観光用車両」を走らせるしかない。

◆宗谷本線──豪雪地帯で除雪費が莫大。黒部渓谷鉄道のように、冬期は全面運休し、雪解けを待って観光列車を走らせよ。車両には、豪華なクルーズ列車や、特急、のんびり旅用の一般列車などを。

──他に、函館本線、室蘭本線、札幌地下鉄、札幌市電、札沼線、根室本線、富良野線……などなど。


著者紹介

川島 令三(かわしま りょうぞう)
1950年、兵庫県生まれ。芦屋高校鉄道研究会、東海大学鉄道研究会を経て「鉄道ピクトリアル」編集部に勤務。現在、鉄道アナリスト、早稲田大学非常勤講師。小社から1986年に刊行された最初の著書『東京圏通勤電車事情大研究』は通勤電車の問題に初めて本格的に取り組んだ試みとして大きな反響を呼んだ。著者の提起した案ですでに実現されているものがいくつかある。著書は上記のほかに『全国鉄道事情大研究(シリーズ)』『関西圏通勤電車徹底批評(上下)』『なぜ福知山線脱線事故は起こったのか』『東京圏通勤電車どの路線が速くて便利か』『鉄道事情トピックス』『最新東京圏通勤電車事情大研究』(いずれも草思社)、配線図シリーズ『全線・全駅・全配線』、『日本vs.ヨーロッパ「新幹線」戦争』『鉄道配線大研究』(いずれも講談社)など多数。

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「釈明史観」を糺す歴史修正主義  渡辺惣樹――文庫版『ルーズベルトの開戦責任』訳者まえがき

文庫『ルーズベルトの開戦責任』

ハミルトン・フィッシュ 著 渡辺惣樹 訳

「釈明史観」を糺す歴史修正主義

 『ルーズベルトの開戦責任』が日本で上梓されたのは二〇一四年のことである。読者の高い評価を受けて版を重ねてきたが、この度文庫化されることになった。訳者としては望外の喜びである。最後までフランクリン・ルーズベルト(FDR)の外交を批判して世を去ったハミルトン・フィッシュも泉下で笑みをもらしていることであろう。

 

 私は歴史の真実は細部に宿っていると信じている。しかし、歴史的事象の全てを書き尽くすことはできない。何が重要な細部なのかを見極める力が必要となる。それに失敗した歴史家の書は、内容が浅薄なだけではなく間違った歴史解釈を生む。

 

 アメリカは、先の大戦の参戦前の段階では、強力な(潜在的)軍事力を背景にヨーロッパの紛争に対しては仲裁に入れる立場であった。それができる機会は多々あった。それにもかかわらず、FDRは対立の火に油を注ぐ外交を繰り広げた。また、当時の米国の多くの政治家が、二人の怪物(スターリンとヒトラー)は早晩壮絶な戦いを始めると見ていた。このことを示す多くの事件や事象が、ハミルトン・フィッシュが本書で追究する細部である。

 

 この重要な歴史の細部を捨象してあの戦争を描写しているのが、現在の「正統」と見なされている歴史書なのである(意図的であるか否かは不明だが)。上記二点を見逃して先の大戦を描こうとすれば、日独を中心とした枢軸国は第一次大戦後のベルサイユ体制を破壊し、世界覇権を求める〝極悪〟の全体主義国家であった、という結論になる。従ってその野望を叩きのめす外交を進めたFDRやチャーチルは〝絶対善〟であり、ヒトラーや東條英機は〝極悪人〟となる。しかし、歴史の細部に目をやれば、そんな単純な理解はとてもできない。こうした「正統」な歴史観に立つ歴史家は、自身の解釈に不都合な事件や関係者の発言に触れられると釈明に終始せざるを得なくなる。ハーバート・フーバー元大統領は、こうした歴史家を「釈明史観主義者」(アポロジスト)として軽蔑している。

 

 フーバー元大統領も歴史の細部を疎かにしない歴史家であった。彼はその書『裏切られた自由』の中で、上記に挙げた二点に加えて、アメリカ参戦以降に繰り返された連合国首脳の度重なる会談を詳細に検討した。その上でフィッシュと同様の結論を導き出した。釈明史観では先の大戦には二つの「大義」すなわちポーランドの独立保障(英仏の対独宣戦布告理由)と、中国の独立回復(ハル・ノートによる日本の中国からの全面撤退要求)があったことになっているが、フーバーはこれが終戦期および戦後にことごとく蔑ろにされていく過程を詳述している。(『裏切られた自由』は草思社より邦訳出版される。翻訳は筆者)。


 フーバーは『裏切られた自由』刊行を前にして世を去った(一九六四年)。およそ半世紀後の二〇一一年にこの未刊の書を世に送り出した歴史家のジョージ・ナッシュ(編者)は、同書を、「歴史修正主義史観の集大成である」と断言している。フーバーもハミルトン・フィッシュも、歴史修正主義に立つ。元大統領と、FDRの対日宣戦布告を容認した重鎮政治家(共和党)の二人が戦後になって歴史修正主義に立ち、FDRとチャーチルを批判していることは注目に値する。


 歴史修正主義史観の本質は、日本やドイツなどの枢軸国の擁護にあるのではない。FDRやチャーチルの外交を冷徹に分析し、そこに間違いはなかったかと疑うことにある。ありていに言えば、もっと違った外交ができなかったのか、そうすることであの戦争を避けることができたのではないか、それができていれば戦後の冷戦はなかったのではないか、と考えることなのである。

 

 『ルーズベルトの開戦責任』は、あの大戦に深くかかわった当事者の記録であり告白でもある。読者は、彼の語る歴史の細部に触れることで、巷に溢れる釈明史観に基づく歴史書を批判的にみる眼を養うことができるに違いない。そう確信している。(了)

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大人気の「迷路」教材に幼少版が登場! 『考える力がつく算数脳パズル 迷路なぞぺー 入門編 《4歳~小学1年》』高濱正伸・川島慶著 

「考える力がつく算数脳パズル 迷路なぞぺー 入門編 《4歳~小学1年》」
高濱正伸(花まる学習会代表) 川島慶(花まるラボ代表) 著

◆「できた!」の体験で“自分で考える意欲”を育む、楽しい迷路

 累計50万部の人気を誇る幼児・児童向け学習教材『なぞぺー』シリーズ。その中でも、とりわけ好評の『迷路なぞぺー』(対象:5歳~小3)に、より小さな子にも楽しめる年少版『迷路なぞぺー 入門編』が誕生しました。小さな子どもが、遊びながら思考の世界にのめり込めるように作られた迷路集です。
 『なぞぺー』シリーズが最も大切にしているのは、子どもが「考えること」を好きになること。問題を解いて直接的に能力を伸ばすことも大事ですが、面白い問題に親しみ、解けた喜びを通じて、考えることを好きになることの方が、ずっと大事だと著者たちは考えています。
 なぜなら、難関校の入試問題や、あるいは社会に出てから難問にぶつかったとき、“自分で考えようとする意欲”が絶対に必要だからです。答えや解法の丸暗記では、こうした難問には到底太刀打ちできません。しかし、そのときになって、自分で考える意欲のない子にやる気を持たせることは至難の業です。
 意欲は「楽しい」「面白い」という経験から生まれてきます。大人でもたくましい思考力を持っている人は「自分で考えることが面白い」と信じています。子どもたちにそう思ってもらうためには、4歳から8歳くらいまでの間に自分の力で考え抜いて「わかった!」「解けた!」という体験をたくさんさせることが必要です。この体験をさせるのに、「迷路」はこの上なく適した教材なのです。

◆実績ある『なぞぺー』の迷路問題に、子どもは夢中になる!

 『なぞぺー』シリーズの『迷路なぞぺー』(対象:5歳~小3)は4万部に達したベストセラー教材です。カメラに見はられている迷路や、橋やはしごで2層の構造を行き来する立体の迷路、毒の沼をなるべく通らないように行く迷路など、さまざまなバリエーションの迷路が子どもたちの思考力を刺激し、大人気を博しました。『迷路なぞぺー入門編』では、その楽しい迷路を、少しやさしくし、問題文も少なくして、より小さな子に楽しんでもらえるようにしてあります。おうちの方が横について絵本のように読み聞かせながら、いっしょに取り組んであげるのもよいでしょう。家族みんなで楽しんでいただきたい一冊です。
(担当/久保田)

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 Amazon:考える力がつく算数脳パズル迷路なぞぺー入門編 4歳~小学1年:高濱正伸 著 川島慶 著:本

楽天ブックス: 考える力がつく算数脳パズル迷路なぞぺー入門編 - 高濱正伸 - 9784794222657 : 本

考える力がつく算数脳パズル迷路なぞぺー 入門編<4歳〜小学1年生> | 書籍案内 | 草思社

大人のための「社内政治の教科書」! 『今日からヒラ社員の~』「プロローグ」を公開します。 『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』高橋健太郎著

◆ビジネスマンなら知っておきたい、「上司の動かし方」「嫉妬のかわし方」がわかる!

 会社の中でうまく人を動かせないと苦労している方は多いのではないでしょうか? いきなり正論を言っては敵をつくるばかり。知らない間に、はしごをはずされていた、なんてことはないでしょうか? 
 そんな社内政治にしくじりがちなビジネスパーソンの方々にぜひとも読んでいただきたい本が、『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』です。
 この本には、“中国古典史上最強の人心操縦術”と名高い「鬼谷子」のエッセンスが盛り込まれており、ストーリーを楽しみながら、自然と「上司の動かし方」「はしごをはずされないための言質の取り方」「同僚からの嫉妬のかわし方」等々、大人の政治力が身に付くものになっております。
 今回は、「鬼谷子」の人心操縦術の一端をご覧いただくため、特別に「プロローグ」を公開します。

★「プロローグ 鬼谷子の使い」より

 共和帝国出版ビル。五階小会議室。企画会議。
 オレはウンザリしていた。
「いやあ、この企画は著者が有名じゃないから、難しいかもしれませんねぇ。テレビで見たことないですよ、この人」
「たしかに、部長のおっしゃる通り、売れる要素っていうのが欲しいですね」
「もっと売れている本をベンチマークした企画にしたらどうですか?」
「私もそう思います」
 中央に座った男がまとめに入る。
「わかりました。他に意見がある人はいますか?」
「あの……」
 一応は反論を試みようとするオレ。それを無視して、男は言った。
「でしたら、この企画は見送るということで」
 今回も企画は却下された。
§
「いったいなんなんだ、アイツらはよお! 編集のことはオレらに任せるんじゃなかったのかよ!」
 と居酒屋〈鯨飲〉でクダを巻いているのは、オレではない。目の前にいる編集部のセンパイ・端鹿太郎(はなしかたろう)だ。ちなみに、「端」までが名字。
「チョウギよ! オマエ、悔しくないのかよ、え!」
「悔しいに決まってんでしょうよ。でも、どうしょうもねえじゃん!」 
 オレの声も思わず大きくなる。
 会社の合併から半年あまり。オレと端センパイの出す本の企画は、ことごとく落とされ続けてきたのだ。チョウギというのはオレのあだ名。張本儀一(はりもとぎいち)、略して「チョウギ」だ。
 オレらの勤めていた共和書房は、半年前に帝国パブリッシャーズなる別の出版社と合併。共和帝国出版になった。センパイの言う「アイツら」というのは、帝国パブリッシャーズ出身の社員たちのことだ。
 帝国パブリッシャーズは、米田喬(べいだきょう)が一代で作り上げた出版社。他社のヒット作に類似した本を素早く作り、強力な営業力で時には本家の本以上に売るという、米田自らが「マーケット・イン」と呼ぶ手法で急速に大きくなった会社。ただし、まあ、こう言っちゃなんだが、読書好きにとってはあまり評判のいい会社ではない。
 一方、オレたちのいた共和書房という会社は、人文学・科学系の入門書や古今の名著の翻訳、時には「問題作」と言われるような評論も出す、どちらかと言えば「読者に新しい価値観を提供したい」みたいなことを恥ずかしげもなく言ってしまうタイプの、それだけに今時儲からないタイプの出版社だった。
 つまり、正反対の出版社の合併だったわけだ。その証拠に、共和の編集者は帝国との合併が決まった瞬間からほとんど辞めてしまい、結局残ったのは、オレと端センパイ、そして、センパイと同期の剣振次郎(けんぶりじろう)ってヤツだけだ。
「次郎も変わっちまったなあ……」
 たしかに剣振は新しい会社で編集長に抜擢されてから人が変わったようだ。なにしろ、会議において、帝国出身者の反論ばかりを受け入れ、オレらの企画を却下し続けているのは、他ならぬ同じ共和書房出身の剣振だったからだ。
「なんなんですかね、一体、この状況は」
 そう言った一言が、オレの本心のすべてだった。なんなんだ、一体。これに尽きる。
§
 その後、千鳥足のセンパイを見送って、時計を見るとまだ十一時。飲み足りない気がした。我が共和帝国出版のあるこの銀保町の外れには、オレの唯一行きつけのバー〈クロスロード〉があった。
「空いてる?」
「見りゃ、わかんだろ」
 入店時のほんの挨拶ぐらいのつもりのオレの一言につっかかってきたのが〈クロスロード〉のマスターだ。名前は知らない。向こうもオレの名前を多分知らない。はずだ。
 カウンターの奥では、オッサンが二人なにやら話をしている。客はそれだけ。
 オレが店で一番安いウイスキーをロックで飲みはじめた頃。ビックリした。
 話し込んでいる二人のオッサンのうちの一人が、よく見たら南郷継春(なんごうつぐはる)だったからだ。
 南郷継春。一部上場企業MSG 生命のCEO。経営だけでなく歴史や文学にも造詣が深く、著書を何冊も出しているカリスマ経営者だ。上品に整えられた白髪交じりの髪型にバッチリ決まったスーツの着こなしも、メディアで目にするそのまんまだ。
 オレはウイスキーをなめながら、さりげなく聞き耳を立てていたが、南郷はなにやら重大な相談事を持ちかけているらしい。会話はしばらく続いたが、もう一人の男が妙に通る声で、
「それは、木村さんで、いいんじゃないでしょうか?」
 と言うと、南郷は心底救われたといった表情になり、感動も露(あらわ)に礼を述べ、繰り返し頭
を下げながら店から出ていった。なんだ。南郷継春があんなんなるってことは、店に残ったあの男も相当な大物か。振り返った男の顔をよく見てみる。じーっと。
 知らん。どう見ても、普通のオッサンだ。
 視線に気がついたオッサンが声をかけてきた。
「こっちに来て、一緒に飲まないかい?」
 オレは少しビックリしたが、オッサンが何者なのか興味が湧いていた。編集者なんて仕事、なんでも知りたがりの野次馬根性のあるヤツじゃなきゃ、つとまらないのだ。
 オッサンの隣に席を移したオレは、ちょっとしたインタビューのような気分で質問した。
「あの人、南郷継春さんですよね?」
「そうだね」
 平凡な髪型の下方に存在する平凡な顔には、平凡なセンスの眼鏡が装着されている。
オッサンには、南郷から感じられるキラキラ感のようなものが一切ない。
「どういったご関係で……」
「上司と部下だね」
「え、でも南郷さんは社長ですよね。その上司ってのは……」
「私は部下だよ。ほら」
 オッサンが出した名刺には、「MSG 生命 堀船支社 第一営業所 孫田子太郎(まごたこたろう)」とある。肩書きはない。つまり、南郷の経営する会社の一支社、一営業所のヒラ社員だ。そんなオッサンになんで南郷継春は、あんな態度だったんだ。
「いや、なんか相談を受けていたみたいですけど……」
 そう言ってから、自分が聞き耳を立てていたことを自白したのに気がついたが、孫田にそれを気にした様子はなかった。
「そりゃ、私にだって話す口と聞く耳はあるからね」
 はぐらかされているのかどうかもわからないが、話がツルツルと上滑りしているのはたしかだ。なんだ、このオッサンは南郷の弱みでも握ってるのか?
「なにか個人的に親しいとか?」
「いいや」
「なんで、部下のあなたに南郷さんはあんな態度だったんですか?」
 いらついたオレは思わず単刀直入に質問をした。多少、酒のせいもあるかもしれない。それを聞いた孫田は、ふっと笑ってこう言った。
「そんな〝反〟を投げかけるのはまだ早いだろう」
「〝反〟?」
「まあいい。私がなぜ部下の立場でありながら南郷さんを動かせるか? それは一つの術を知っているからだよ」
「術……、ですか?」
「その術さえ知れば、部下の立場であろうが、上司を動かすことなどたやすい。たとえ、はるか上の上司であろうがね。組織自体を動かしてしまうことだってできる」
「え、それって、どんな術なんですか?」
 オレは引き込まれるようにして、そう質問してから、自分の今の状況を思い浮かべていることに気がついた。合併以降、一変してしまった社風、通らない企画、なにを考えているのかわからない経営陣や新しい同僚たち。どうにかしなければと考えながらも、どうすればいいのか見当もつかなかった。
「キコクシの術」
「え?」
「〝存在と滅びの門〟を操る術さ」
 うえ、なんだ。オカルト……。
「別に、オカルトじゃないよ」
 そう言って笑った孫田はジャケットの内ポケットからボールペンを取り出すと、グラスを載せていたコースターになにやら書き込み、オレに差し出した。
「ここに行けば、動かせない現実などない、ということがわかるはずだ」
コースターには、住所が書かれていた。

目次より

プロローグ 鬼谷子の使い 
第1章 人と現実を動かす、最強古典『鬼谷子』とは
1鬼谷子に出会う──ホリフネ会館三階で
2人は見えないところから動かせ!
3動かす相手は見えるところにおけ!
4鬼谷子からの宿題──会話せよ!

第2章 いきなり人を動かすな、雑談で情報収集せよ
5会話は”反覆”だ。同調が基本
6”内ケン”を知れ!──人と人との見えない「関係性」
7”象比の術”を身につけよ!──相手の狙いを探る
8帝国パブリッシャーズの事情――酒の席で聞いた話

第3章 命取り! 動かすべき相手を間違うな
9こちらの言葉に相手の心を反応させるには?
10会話の本質を理解するための陰陽思考法
11否定と同調で強力に内心を引き出す”飛カンの術”
12智者は易しいことを選び、阿呆は難しいことを選ぶ

第4章 有利な「陣営」を見定め、安全地帯を確保せよ
13勢力図を見極め、最も有利な「陣営」に就け!
14社内のうわさやデマとのつきあい方
15"飛カンの術”応用編──ヨイショで言葉を引き出す
16強敵を崩すには、チームワークの隙間を狙え!

第5章 相手の欲を利用して、動かさずに動かせ 
17”摩の十法”とは?──相手の心を動かす十の方法
18言葉の裏に隠された狙いを見極めよ!
19説得とは、相手を助けること
20”摩の十法”実践編──相手の心に合わせた言葉で揺さぶる

第6章 誰が動かしているのか、知られずに去れ
21『鬼谷子』の教えるプレゼン四つのルール
22入ってくる猫が青いとは限らない
23ピンチのときこそ”転円”せよ
24チョウギの犯した”周密”の誤りとは?
25失敗の亀裂をふさいだら、ただちに去れ!
エピローグ 鬼谷子の集い
あとがき

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