草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

かつては動物より植物の方が、移動が得意だった?『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか 生き物の「動き」と「形」の40億年』マット・ウィルキンソン著 神奈川夏子 訳

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか

生き物の「動き」と「形」の40億年

マット・ウィルキンソン 著 神奈川夏子 訳

◆人間の直立歩行の起源を探るヒントが、カンガルーにあった!?

 人間の直立二足歩行はどのように始まったのか? ひれはいかにして肢(あし)になったか? なぜ多くの動物は左右対称なのか? なぜ植物はかたくなに移動しないのか? これらのような生き物の動きや形にかんする素朴な疑問に、最新科学はどのような答えを出しているのでしょうか。
 人間の直立二足歩行の起源に関しては、「それまで暮らしていた熱帯林が乾燥化でサバンナになったため、人は立って歩き始めた」という説が広く流布していますが、最新の研究によればそうではありません。人間の祖先は、樹上で生活していたときから、すでに木の上で直立二足歩行をしていたのです(手で枝などにつかまりながら)。じつは、カンガルーも、かつて樹上で、前肢で枝につかまりながら二足歩行していて、その後地上へ降り、引き続き二足歩行を続けたと考えられています。
 じつは植物は、単細胞生物としては、動物の単細胞生物より移動運動がずっと得意です。単細胞の植物にはかたい細胞壁があり、しっかりと形状を保つことができます。そこにべん毛が付くことで、進む向きをコントロールしながら、水中をすいすいと泳ぎ回ります。一方、細胞壁を持たない単細胞の動物は、形を一定に保つことができないので、べん毛で向きを制御しつつ移動することが不得手。アメーバとして形を変えながら、ゆっくり這うしかありません。しかし、多細胞生物となったとき、両者の形勢は逆転しました。植物は細胞壁のせいで、多細胞化するとほとんど動くことができなくなったのです。一方、動物は、多細胞化すると互いに支え合うことである程度形状を保つことができるようになり、かえって移動運動が得意になりました。

 ◆生き物の「動き」と「形」の素朴な疑問に答える本は、なぜ少ないか

 生き物の「動き」と「形」の素朴な疑問は数多く、誰でも一度は思いついたことがあるでしょう。しかし、これに答える本はとても少ないと言えます。その理由は、答えるのがとても難しいから。動物の動きは物理法則に支配されているのでその説明が必須ですし、動物の形の形成やその進化についても、発生学や分子遺伝学などの難解な領域の説明が必要となります。これを理路整然とわかりやすく行うには、その分野の専門家であることも重要ですが、さらに相当の筆力と情熱がなければ不可能です。
 本書の著者マット・ウィルキンソンは、もともと翼竜の飛行の研究者。つまり動物の飛行運動にかんする専門家で、動物の運動と物理学の関連の研究に情熱を持って取り組んできました。一方で、サイエンスライターとしても、高い評価を受けており、まさにこの分野の一般向け書籍を書くのにうってつけの位置にいる人物です。おかげで、多くの人が疑問に思ってきた問いに答えてくれる本が、ようやく登場することとなりました。進化に興味のある方なら、是非とも読むべき一冊と言えるでしょう。

(担当/久保田)

著者紹介

マット・ウィルキンソン
ケンブリッジ大学動物学部の生物学者、サイエンスコミュニケーター。その研究はテレグラフやニュー・サイエンティスト、ネイチャーなどで取り上げられた。イギリス・ケンブリッジ在住。1975年生まれ。

訳者紹介

神奈川夏子(かながわ・なつこ)
東京都出身。日仏英翻訳者。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、同大学院フランス文学修士課程修了。サイモンフレーザー大学日英通訳科修了。訳書『偉大なる指揮者たち』『偉大なるダンサーたち』『偉大なるヴァイオリニストたち2』(ヤマハミュージックメディア)、『BIG MAGIC「夢中になる」ことかはじめよう。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

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スパイダーマン、アイアンマン、ハルク、ドクター・ストレンジ、ブラックパンサー…… 世界中で人気のスーパーヒーローを数多く創造したクリエイターの人生を描いた傑作評伝!『スタン・リー マーベル・ヒーローを創った男』ボブ・バチェラー著 高木均訳

スタン・リー

マーベル・ヒーローを創った男

ボブ・バチェラー 著 高木均 訳

 本書は、昨年11月に惜しまれつつ世を去った稀代のクリエイター、スタン・リーの評伝(原書“Stan Lee: The Man behind Marvel”、2017年刊)です。コミックというメディアの社会的地位を向上させ、《マーベル》を世界的なブランドに押し上げたアメコミ界のレジェンドの歩みが、文化史を専門とする著者の手によって生き生きと描かれています。
 スタン・リーは自身の半生について2002年に刊行された自伝“Excelsior! The Amazing Life of Stan Lee”(未邦訳)の中で回顧していますが、本書は同書刊行以降のスタン・リーのジャンルを股にかけた大活躍をフォローするだけでなく、彼のキャリアに付きまとった経営陣や共同執筆者との確執、不透明なビジネス環境のもとで働き続けることへの葛藤などについても、さまざまな資料を使ってバランスよく記述しています。
 スパイダーマン、アイアンマン、ファンタスティック・フォー、X-MEN、マイティ・ソー、ハルク、ドクター・ストレンジ……。スタン・リーが世に送り出したヒーローは枚挙にいとまがありません。その誰もが心の中に弱さを抱え、自身の感情と向き合うことでヒーローとして成長していきます。スタン・リーが特に愛着を持っていたスパイダーマンにもっとも典型的なように、ごく普通の人間と同じような悩みを抱えながら戦うことで、ヒーローたちは読者にとってリアルな存在になりえたのです。この点にこそスタン・リーの独創性があったと著者は指摘しています。その物語から導かれるのは、「スーパーヒーローが君と同じような人間ならば、君もスーパーヒーローになれるはずだ」という力強いメッセージなのです。
 締切に追われながらキャラクターを創り、ストーリーを書くだけではなく、アートワークのチェック、コミックの編集、さらにはスタッフのマネジメント(時にはリストラを言い渡す役割)までこなしていたスタン・リーもまた、ままならぬ現実の中で悩みながら戦い続けたごく普通の人間でした。だからこそ彼の人生行路は、彼が生み出したヒーローたちと同じように多くの人に勇気に与えるのかもしれません。

(担当/碇)

著者紹介
ボブ・バチェラー
歴史文化学者、伝記作家。“Popular Culture Studies Journal”誌を創刊し、編集を担当。マイアミ大学で教鞭をとる。“John Updike: A Critical Biography”“Gatsby: The Cultural History of the Great American Novel”(いずれも未邦訳)ほか著作多数。

訳者紹介
高木均(たかぎ・ひとし)
翻訳家。1964年生まれ。慶応義塾大学卒。

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四字熟語は何でこんなに頭を刺激するのだろうか。 『こども四字熟語』齋藤孝 著 丸山誠司 絵

声に出して読みたい・こどもシリーズ こども四字熟語

齋藤孝 著 丸山誠司 絵

 漢字パズルが大はやりである。とくに四字熟語の穴埋め問題、この本の巻末にも問題が取り入れられているが、四字のうち二字を空欄にして「奇想天外」なら「□想□外」として□の空欄に入る漢字を当てさせる問題など、テレビのクイズ番組では毎日のようにやっている。いまだに大人から子どもまで日本人は「四字熟語」に夢中なのである。
 齋藤孝先生は漢字の熟語や四字熟語が子どもの頭の発達にとてもいいと言っている。「空」と「気」がくっついて「空気」となったり、「波」と「乱」と「万」と「丈」とで「波乱万丈」となったりする、二つ以上の漢字がくっついてまったく別の意味に転化する熟語というものが、子どもには興味津々であり、とりわけ頭を刺激し、教育効果を上げるものだというのである。
なかでも四字熟語は子どもから大人まで、知っていると語彙力が上がり、教養が高まり、きっぱりした言い方がとても気持ちよく感じられる。スポーツ中継などで「起死回生のホームラン」とか「一騎当千のメンバーが集まった」とかいうのもこの効果を狙ったものだろう。普段の会話に使ってもかっこいい。
 漢字が誕生してから5000年、日本に入ってきてから1500年ぐらいはたっているだろうか。漢字をいまだにちゃんと使っている国は中国と台湾と日本ぐらいだ。朝鮮もベトナムもほとんど捨ててしまった。
 この漢字と仮名が混じった日本語の体系が特有のもので、日本人の頭脳の優秀さに寄与しているという説があるが、それはともかくとして、固有の日本文化を形作っているのは確かだ。四字熟語もその一つの精髄である。
「弱肉強食」の「□肉□食」という問題に「焼肉定食」と書いた迷答が有名だが、頭を鍛えるのに四字熟語は格好の素材である。

(担当/木谷)

著者紹介

齋藤孝(さいとう・たかし)
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『宮沢賢治という身体』(世織書房、宮澤賢治賞奨励賞)『身体感覚を取り戻す』(日本放送出版協会、新潮学芸賞)『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)など多数。近著に『語彙力こそが教養である』(角川書店)『こども孫子の兵法』(日本図書センター)『こども論語』『こども故事成語』(草思社)がある。NHK・ETV「にほんごであそぼ」総合指導など、マスコミでも活躍中。

イラストレーター

丸山誠司(まるやま さとし)
1968年 岐阜県生まれ。愛知県育ち。2010年『にんじゃサンタ』(PHP研究所)で絵本デビュー。『おしろとおくろ』(佼成出版社)、『こんなことがあっタワー』(えほんの杜)、『だるまなんだ』(文・おおなり修司 絵本館)、『でんしゃずし』(交通新聞社)など、ユニークで楽しい絵本を多数発表。絵本のほか、書籍や雑誌・広告イラストレーションの分野でも活躍。「僕ビール、君ビール。」のパッケージが話題。

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日本の老人は恵まれすぎている? 『老後の誤算 日本とドイツ』川口マーン惠美 著

老後の誤算 日本とドイツ
川口マーン惠美 著

◆意外なことに格差社会! ドイツの医療と介護の現在

 ドイツの医療や介護といえば、多くの人が典型的な福祉国家のそれをイメージするでしょう。しかし、ドイツ在住36年の著者によれば、実はまったくそうではありません。
 ドイツでは、一般的な「法的強制医療保険」と、お金持ちのための「プライベート医療保険」の医療格差が問題になっています。強制保険の患者は、近所のクリニックでさえすぐに診てもらえず、数日待ちも珍しくありません。プライベート保険の加入者しか診ない医院も増えていて、強制保険の患者はそういう医院では、門前払いとなります。
 また、高齢者介護でも、格差が問題になっています。老人ホーム費用は、介護保険を使っても自己負担が月額20万円を超えることが普通で、事実上お金持ちしか入れず、庶民には高嶺の花。日本の「特別養護老人ホーム」のように、リーズナブルな値段で入れる老人ホームの制度はありません。
 これらの原因の一つは、高齢化です。日本は世界第1位の高齢国家ですが、ドイツも実は世界第4位。高齢化が社会を蝕みつつある状況は日本と同じで、その影響がさまざまに表出しているのです。

◆2025年問題。「ではどうすればいいのか」を考えるヒントが国際比較に

 とはいえ、日本のほうがずっと高齢化が進んでおり、事態は深刻です。たとえば、日本の人口あたりの医師の数は、実はドイツの6割以下。現状でも医療現場に非常に大きな負荷がかかっていますが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、増加する患者に対応しきれるかどうか、心配されています。介護人材についても、2035年にはじつに79万人が不足すると予測されています。
 日本のほうが深刻さの度合いが高いのに、介護や医療において、日本はドイツより恵まれています。ということは、その持続可能性は、ドイツよりずっと低いと考えるべきでしょう。
 ではどうすればいいのか。今、手を打たないと、将来にわたって、国を支えるべき若い人たちに過重な負担を掛け、日本を衰退させることになりかねません。
 その「どうすればいいのか」を考えるとき、他国と比べることにより、学ぶこと、気づくことは少なくないはずです。ドイツの失敗や成功を知り、日本の「当たり前」がじつは当たり前ではないことに気づき、日本特有の問題が何なのかを認識する。空理空論に陥りがちな各種施策にかんする議論も、ドイツの実例を踏まえれば、リアリティを持ったものになるにちがいありません。
 豊かな国を若い世代に引き継ぐため、この議論は今すぐ、はじめなければなりません。本書がそのきっかけとなることを願っています。

(担当/久保田)

著者紹介

川口マーン惠美(かわぐちまーんえみ)

作家。ドイツ在住。日本大学芸術学部音楽学科ピアノ科卒業。シュトゥットガルト国立音楽大学院ピアノ科修了。『ドイツの脱原発がよくわかる本 日本が見習ってはいけない理由』(草思社)が第36回エネルギーフォーラム賞の普及啓発賞、『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』(グッドブックス)が第38回同賞の特別賞を受賞。その他、『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(講談社+α新書)、『ヨーロッパから民主主義が消える』(PHP新書)、『そしてドイツは理想を見失った』(角川新書)、『ドイツ流、日本流』、『脱原発の罠』(以上、草思社文庫)など著書多数。2011年より、ウェブマガジン『現代ビジネス』にてコラム『シュトゥットガルト通信』を連載中(毎週金曜日更新)。

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老後の誤算 日本とドイツ | 書籍案内 | 草思社

拉致問題解決のために長年戦ってきた著者による警世の書 『北朝鮮の漂着船 海からやってくる新たな脅威』荒木和博著

北朝鮮の漂着船
ーー海からやってくる新たな脅威
荒木和博 著

 北朝鮮から日本に流れつく無数の木造船――。その数は昨年秋に急増し、今年2月まででなんと100 隻以上にのぼりました。そして今年も11月以降、その数は急激に増え続けています。
 特定失踪者問題調査会の代表として長年、北朝鮮による拉致問題の解決に取り組んできた著者は、北朝鮮工作員の上陸地点と木造船の漂着地が重なっているのに気づき、実際に現地に出向いて調査を行ないました。そして、驚くべき事実に直面します。漂着船の中には明らかに漁民以外が乗っていた形跡があるということ。そして、その一部が密かに日本に上陸していたとしても誰にもわからないということです。
 私たちは「日本は海に囲まれているから安全」と考えがちですが、この認識を根本から改める必要があると著者は書いています。長大で複雑な海岸線を持つ日本は、悪意を持って侵入しようとする者から国土を守ることがきわめて難しく、実際に多数の北朝鮮工作員が日本人を拉致していきました。そして現在、日本のガラ空きの海岸線におびただしい数の漂着船が流れ着いているのです。半島有事の際には、漂着船がたどる「運搬ルート」経由で多くの難民が日本をめざす可能性もあります。
 にもかかわらず、現在の日本には海から迫りくる危機への備えが十分にできていません。それどころか、漂着船に関する情報自体もきわめて不十分にしか開示されていない状況があります。その点で、この問題と拉致問題は非常によく似ているのです。悲劇が起こってしまってからでは遅い。著者はそういう危機意識で本書を書き上げました。本書が日本の「平和」とは何かを考えるきっかけになれば幸いです。

(担当/碇)

著者紹介

荒木和博(あらき・かずひろ)
特定失踪者問題調査会代表、拓殖大学海外事情研究所教授。昭和31年(1956)東京生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。民社党本部書記局勤務、現代コリア研究所研究部長を経て、拓殖大学海外事情研究所専任講師となり、助教授を経て、平成16年(2004)より教授。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)の活動を経て平成15年(2003)1月、特定失踪者問題調査会を立ち上げ代表に就任、現在に至る。予備役ブルーリボンの会代表。『日本が拉致問題を解決できない本当の理由』『拉致救出運動の2000日1996年―2002年』(編著)『内なる敵をのりこえて、戦う日本へ』『山本美保さん失踪事件の謎を追う』(以上、草思社)『自衛隊幻想』(共著、産経新聞出版)『なぜ北朝鮮は崩壊しなかったのか』 (光人社NF文庫)『靖国の宴』(髙木書房)ほか著書多数。

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クルマの未来と、ベストな1台。両方わかる信頼の一冊。『2019年版間違いだらけのクルマ選び』島下泰久著

『2019年版間違いだらけのクルマ選び』

島下泰久著

2018年12月14日発売! 

12月12日(水)に先行販売&トークライブ開催! 詳しくは最後をごらんください。

 

徹底したユーザー視点。経済誌とはひと味違う視点からクルマの未来を斬る

現在は、100年に一度のクルマ大変革期と言われています。いわゆるCASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)の潮流が業界を席巻して、日々、関連ニュースが新聞や経済誌を賑わせています。しかし、机上の論をもとにした「希望的観測」とも言える将来予測が、優先して伝えられることも少なくありません。CASEの技術進歩と、実際に完成したクルマや提供されるサービスをユーザーが本当に欲しがるかどうかは、本来は別の話です。魅力なく不便な「最先端技術」など、誰も欲しがらないからです。『間違いだらけ』はクルマの現在と未来を、試乗を中心とした取材をもとに、徹底してユーザー視点・クルマ好きの視点からレポート。技術的に高度なものでも、ユーザーに感動や利便性がもたらされなければ、著者の島下氏は厳しく断じます。経済誌だけを読んでいてはわからないCASEの未来が見えてきます。

年間70近い日本車の小改良・新型車のほぼすべてを網羅! 車種別徹底批評!
AI にコネクテッド、自動運転にシェアリング? クルマの未来はどうなる?

トヨタがソフトバンクと提携、クルマのあり方がいよいよ変わりはじめるのか?
一方、市場では新型SUVが驚くほどの大量新登場、ユーザーの所有欲を刺激する。
クルマそのものからも、業界動向からも、目が離せない!

◎第1特集:トヨタはクルマをどう変えるか

矢継ぎ早の提携の意味、コネクテッドの正体とは。そしてなにより、ニューカーの出来は?

◎第2特集:SUV大豊作! 選ぶべき1台は?

内外のメーカーから大量デビューしたSUVのニューカー、15車種を一気批評!

 

【2019年版の指摘】

◎トヨタの変革が加速。一体何が起こっているのか?

◎プレミアムEV戦争がいよいよ本格化する

◎カーシェアはクルマ業界にとって実はチャンスだ

◎デジタルミラーは本当に便利で安全なのか?

◎なぜ国産PHEVは海外勢より優れているのか?

◎速報! テスラ・モデル3が日本で発表!

 

★本書のカバーイメージの高解像度版はこちら! 

 

島下泰久(しました・やすひさ)
1972年神奈川県生まれ。立教大学法学部卒。国際派モータージャーナリストとして専門誌やwebなどへの寄稿、ファッション誌での連載、ラジオ、テレビ番組への出演など様々な舞台で活動。2018-2019 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。一時休刊していた年度版『間違いだらけのクルマ選び』を、2011年の復活から徳大寺有恒氏とともに、『2016年版』からは単独で執筆する。電動化、知能化するクルマを専門的に扱うサイト「サステナ(http://sustaina.me)」を主宰。

 

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2019年版間違いだらけのクルマ選び発売直前特別企画! 
島下泰久トークライブ with 今井優杏 in FIAT CAFE 松濤
12月12日(水)19時より開催決定!

発売前の『2019年版間違いだらけのクルマ選び』が手に入って、トークライブも楽しめる!

著者・島下泰久さんと、自動車ジャーナリスト・今井優杏さんのお二人がクルマトークを展開。
未発売の『間違いだらけ』も入手できて、一晩に二度美味しいトークイベントを、東京は渋谷区のFIAT CAFE 松濤さんにて開催いたします。
ぜひ、ご参加下さい!

 

日時:2018年12月12日(水) 18:30開場 19:00開演 (トークの後、サイン会あり。サイン会終了は21:00)
料金:お1人様3000円(発売直前の『2019年版間違いだらけのクルマ選び』〔定価1512円〕とワンドリンク付き〔アルコールも有り〕)

※イベント会場のフィアットカフェ松濤には駐車場はありません。お車でお越しの方は、近隣の有料駐車場をご利用ください。

 

◎お申し込みは下記イベント会場へ、電話にてお願いいたします。
●FIAT CAFE 松濤
http://tricoloretoto.com/fiatcafe/
■ 所在地 : 東京都渋谷区松濤2-3-13
■ TEL. : 03-6804-9992
※電話受付は、下記営業時間内に限ります。
■ 営業時間 : 10:00~18:00(火曜日定休日)

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(担当/久保田)

 

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遺伝子操作で賢いサルは作れる?――たぶん「イエス」 『すごく科学的:SF映画で最新科学がわかる本』リック・エドワーズ/マイケル・ブルックス 著

すごく科学的
ーーSF映画で最新科学がわかる本
リック・エドワーズ/マイケル・ブルックス 著 藤崎百合 訳

◆絶滅種再生や人工知能、ブラックホールにゾンビまで、映画から科学の最先端が見える!

 映画「猿の惑星」のように、賢いサルを遺伝子操作などの手法で創り出すことは可能でしょうか。あるいは、「ジュラシック・パーク」のように恐竜をよみがえらせることは可能?
 「SF映画なんて荒唐無稽」と思われる向きもあるかもしれませんが、実はSF映画は専門家の意見を取り入れるなどして「すごく科学的」に作られているということをご存じでしょうか。本書は新旧の名作ハリウッドSF映画に描かれている科学(「デロリアン」は理論的に可能か?)や、描かれていないウラ側にある科学(昆虫をゾンビ化させる菌が存在する)に正面から切り込む本です。
 本書で扱うのは、「インターステラー」や「ジュラシック・パーク」から「マトリックス」や「エイリアン」まで、計10作品。本書を読んでいくと、映画の背景にある科学的事実が、初歩からわかるあっぱれな解説で次々と明らかにされていきます。それは意外とマジメに研究されていたり(ノーベル賞物理学者がワープやタイムトラベルを真剣に研究とか)、映画顔負けの危険な実験が実際に行われていたり(感染力も致死率も高いウイルスの合成実験! 危ない!)。ある意味、映画を超越する奇妙なこと、あるいは恐ろしいこと、あるいはただただ笑える面白いことが起こっている科学の最先端が、次々と見えてくるのです。
 本書の著者は、イギリスのテレビ司会者とサイエンスライターです。クスッと笑える二人の掛け合いも、本書の楽しみどころ。笑いと無駄に詳しい科学知識満載の一冊、科学好きにも映画好きにもオススメです!

本書の科学知識を一部紹介
◎人間をゾンビにはしないが、行動を変えたり知能を低下させたりする病原体は存在する。(209ページ)
◎火星に人を送る計画の人材募集が、これまで3つの計画で実施されたことがある。(18ページ)
◎多くの科学者が一致している見解「エイリアンが人間に寄生することはない」(339ページ)
◎琥珀の中の昆虫から恐竜のDNAを抽出することは無理。(71ページ)
◎未来からの時間旅行者を呼び寄せるため、MITで「タイムトラベラー会議」が開かれたことがある。(167ページ)

本書で扱う映画(登場順)
『オデッセイ』『ジュラシック・パーク』『インターステラー』『猿の惑星』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『28日後...』『マトリックス』『ガタカ』『エクス・マキナ』『エイリアン』

 

(担当/久保田)

著者紹介

リック・エドワーズ
ライター、テレビ司会者。デビュー作None of Aboveはイギリスの政治状況を解説した本で、アマゾンUKで5位を記録したことがある。ケンブリッジ大学で自然科学の学位を取得したが、そのことはぼんやりとしか覚えていない。

マイケル・ブルックス
科学ジャーナリスト。量子物理学で博士号を取得。世界中で広く読まれている科学雑誌「ニューサイエンティスト」誌のコンサルタントを務めるほか、「ガーディアン」「インディペンデント」などの各紙に寄稿している。また、アメリカ自然史博物館やニューヨーク大、ケンブリッジ大などで講義を行っている。またテレビでの科学解説も多数行っている。

訳者紹介

藤崎百合(ふじさきゆり)
高知県生まれ。名古屋大学大学院人間情報学研究科、博士課程単位取得退学。訳書『生体分子の統計力学入門』をはじめ、科学や映画に関する書籍や、字幕の翻訳に携わっている。スター・トレックのにわかファン。

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楽天ブックス: すごく科学的 - SF映画で最新科学がわかる本 - リック・エドワーズ - 9784794223623 : 本

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