草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

海外事情

破壊的イノベーションの全内幕!『モデルナ 万年赤字企業が、世界を変えるまで』ピーター・ロフタス著 柴田さとみ訳

モデルナ ーー万年赤字企業が、世界を変えるまで ピーター・ロフタス著 柴田さとみ訳 モデルナは、いまでこそ名だたる世界の製薬会社と肩を並べる存在になりましたが、そもそもワクチン開発を目指した会社ではなく、さらにいえば10年前には吹けば飛ぶような…

プーチンはなぜ「ネオナチ」という言葉を多用するのか。『ウクライナ・ショック 覚醒したヨーロッパの行方』三好範英 著

ウクライナ・ショック 覚醒したヨーロッパの行方 三好範英 著 プーチンはウクライナを侵攻した当初、侵攻はウクライナを「非武装化するため」、「ネオナチ化を防ぐため」であると強弁していた。プーチンのこの相手への決めつけ、「ネオナチだ」「ファシズム…

その土地のことは、窓を見ればわかる。アジアの窓の旅行譚『アジア「窓」紀行 上海からエルサレムまで』田熊隆樹 著・写真

アジア「窓」紀行 ――上海からエルサレムまで 田熊隆樹 著・写真 窓は、室内を快適にするために外気や光を遮り、外と隔てるものでもあれば、逆に風を取り入れたり、外の景色を眺めたりと、外とつなげるものでもあります。また、地域特有の文化に基づいた豪奢…

現代中国の政治とビジネスの関係をこれほどヴィヴィッドに描いたものは珍しい。『私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット』デズモンド・シャム著 神月謙一訳

私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット ーー中国の富・権力・腐敗・報復の内幕 デズモンド・シャム著 神月謙一訳 本書は上海の貧しい教師の家に生まれた著者が新中国の経済発展の時代に生きて大成功をおさめ、そして習近平時代を迎えて失脚するまでを…

欺瞞に満ちた「一国二制度」によって呼びさまされた 香港人意識(=本土意識)をキーワードに香港危機の本質を読み解く!『香港はなぜ戦っているのか』李怡(リー・イー)著 坂井臣之助 訳

香港はなぜ戦っているのか 李怡(リー・イー)著 坂井臣之助 訳 「逃亡犯条例」の改正に端を発する香港の騒乱が世界中の注目を集めています。なぜ、香港の人々はこれほど激しく抵抗しているのか。そして、その背景にはどんな社会状況があるのか。本書は香港…

「徴用工問題」を橋下徹も日本共産党も誤解している 『でっちあげの徴用工問題』西岡力著

でっちあげの徴用工問題 西岡力 著 橋下徹元大阪市長がこの「徴用工問題」について発言していた。韓国人の「個人請求権」は残っているから賠償もやむないというような趣旨だった。また日本共産党も同趣旨のことを言っている。日本の韓国併合が間違いなのだか…

日本の老人は恵まれすぎている? 『老後の誤算 日本とドイツ』川口マーン惠美 著

老後の誤算 日本とドイツ川口マーン惠美 著 ◆意外なことに格差社会! ドイツの医療と介護の現在 ドイツの医療や介護といえば、多くの人が典型的な福祉国家のそれをイメージするでしょう。しかし、ドイツ在住36年の著者によれば、実はまったくそうではありま…

拉致問題解決のために長年戦ってきた著者による警世の書 『北朝鮮の漂着船 海からやってくる新たな脅威』荒木和博著

北朝鮮の漂着船 ーー海からやってくる新たな脅威荒木和博 著 北朝鮮から日本に流れつく無数の木造船――。その数は昨年秋に急増し、今年2月まででなんと100 隻以上にのぼりました。そして今年も11月以降、その数は急激に増え続けています。 特定失踪者問題調…

格差拡大のドイツ、持続不可能な日本――我々の老後はどうなるのか 『老後の誤算 日本とドイツ』川口マーン惠美 著

老後の誤算 日本とドイツ川口マーン惠美 著 ◆意外なことに格差社会! ドイツの医療と介護の現在 ドイツの医療や介護といえば、多くの人が典型的な福祉国家のそれをイメージするでしょう。しかし、ドイツ在住36年の著者によれば、実はまったくそうではありま…

『バノン 悪魔の取引』「訳者あとがき」より:秋山勝(本書訳者) 『バノン 悪魔の取引』ジョシュア・グリーン 著 秋山勝 訳

バノン 悪魔の取引 ―― トランプを大統領にした男の危険な野望 ジョシュア・グリーン 著 秋山勝 訳 バノンとトランプ、暗黙のうちに結ばれた「悪魔の取引」 2016年アメリカ大統領選でヒラリー・クリントンを制し、ドナルド・トランプを第45代大統領に仕立てあ…

日本の鉄道は特殊すぎて世界で役立つ場所が見つからない。 『日本の鉄道は世界で戦えるか 国際比較で見えてくる理想と現実』川辺謙一 著

日本の鉄道は世界で戦えるか――国際比較で見えてくる理想と現実 川辺謙一 著 ◆「世界一」というのは思い込みに過ぎない!? 日本は、新幹線という世界で初めての高速鉄道を、1964年に実現した国です。日本の鉄道は、その後もどんどん便利になりました。毎年…

その地に家を建て実際に暮らす女性が体験した日々の新鮮な驚き 『女たちの王国 「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす』曹惠虹著 秋山勝 訳

女たちの王国 ――「結婚のない母系社会」中国秘境のモソ人と暮らす 曹惠虹 著 秋山勝 訳 ヒマラヤ山脈東麓、美しい湖のほとりの不思議な国 シンガポールの中国系女性である著者は、世界有数のファンド企業の弁護士としてカリフォルニアとシンガポールを中心に…

トランプはなぜ韓国を「物乞いのようだ」と言ったのか 『韓国は消滅への道にある』李度珩 著

韓国は消滅への道にある 李度珩 著 八月末の北朝鮮のミサイル実験後、日米電話会談でトランプ大統領は韓国大統領を「物乞いのようだ」と批判したという。北朝鮮に対話と融和的政策を求める文在寅大統領がアメリカに不信感もたらしていることがわかる。本書の…

残酷な社会実験がもたらしたディストピア状況をピューリッツァー賞受賞記者が活写 『中国「絶望」家族』メイ・フォン著 小谷まさ代訳

中国「絶望」家族 ――「一人っ子政策」は中国をどう変えたかメイ・フォン著 小谷まさ代訳 数十年前まで、多くの新興国にとって増え続ける人口をどう抑制するかは喫緊の課題でした。そんな中、中国共産党が採用したのが前代未聞の社会実験「一人っ子政策」です…

東南アジアを知悉するジャーナリストが最善の関係を示す

日本はASEANとどう付き合うか――米中攻防時代の新戦略 千野境子 著 ◆新たなステージを迎えた東南アジア さる九月三日、インドネシア政府はジャカルタ・バンドン間の高速鉄道計画を見直すと発表しました。日中が高速鉄道の売り込みに鎬を削り、いずれを採…

西欧を目指してここまで来た日本にモデルはあるのだろうか

ランキングでわかる ヨーロッパ各国気質 片野優・須貝典子 著 明治維新以来、ヨーロッパの先進国を目指して近代化の道を歩んできた日本にとって、西欧は先生であり、モデルであった。ところが、20世紀末から現在にかけて、日本の行き詰まりははなはだしく、…

脱原発の議論を事実に基づいた建設的なものに! 

ドイツの脱原発がよくわかる本 ――日本が見習ってはいけない理由川口マーン惠美 著 ◆ドイツは理想的な脱原発への道を歩んでいる? 東日本大震災による福島第一原発の事故を期に、全国の原発は、安全性見直しのため、すべて停止しています。現在は再稼働の審査…

中国の行動原理はいつも同じだ。著者の指摘は先見性に満ちている

鳥居民評論集 現代中国を読み解く 鳥居民 著 ◆徐才厚、人民解放軍№2の逮捕を著者ならどう見たか 7月初めに中国人民解放軍の元最高幹部、徐才厚の逮捕という衝撃的ニュースが流れました。ついに軍の中枢まで汚職の摘発は進んだかと思い、著者の鳥居民氏なら…

覇権を失っても社会実験で世界をリードする欧州の実像

巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?―― 縮みゆく国々が仕掛ける制度イノベーション 国末憲人 著 ◆右翼ポピュリズムの台頭に悩むEU 諸国 日本より早く低成長期を迎えたヨーロッパ各国。かつてほどの勢いはそこには見られません。グローバル経済への対応策と…

現代ロシアの「強欲な利権構造」を浮き彫りにする

ロシア 利権闘争の闇――迷走するプーチン政権 元日経新聞モスクワ特派員 江頭 寛 著 ◆ウクライナ危機はロシア自身が招いていた! 今年2月、ウクライナで欧米派の活動家と治安部隊の間で大規模な武力衝突が起こり、親ロシア派政権が倒れ、欧米派の暫定政権が…