草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

時短料理から生まれた家事も仕事もサクサクこなす方法 『サキドリ――じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を取り戻した小さな習慣 』

サキドリ

――じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を取り戻した小さな習慣 

田内しょうこ 著

◆忙しい人にとっていちばんの贅沢=じぶん時間

 子育て中の主婦や、忙しいワーキングマザーにとって、じぶん時間はいちばんの贅沢。子育てしながら料理研究家としてのキャリアを築いてきた著者は、サラリーマン時代はドジなミスばかり、家事でも失敗続き……。

 それが、いまでは、“時短料理の達人”として、料理ワークショップや講演を行うほどになりました。そんな著者が、バタバタして、じぶん時間がまるでなく、ツラかった「昔のわたし」を救いたいという思いから、家事と仕事に使える時間管理、段取り術を公開します。

◆時間管理は終業からスタートすべし

 複数の人が関わる仕事に比べ、プライベートは自分で手っ取り早く改善できる余地がある。プライベートが充実すれば、仕事にも相乗効果がある。そう考えた著者は、終業時を起点にプライベート時間の効率化を目指すようになりました。


 手始めに、ワーキングマザーとなって以来、最大の悩みだった「帰宅後に手早く料理する」という課題を解決するため、先手を打って次の作業を少しこなす「サキドリ」を身につけたのです。それは、独自の時短料理法となり、詳細は前作『時短料理のきほん』にまとめられています。本書では、著者が料理で培った「サキドリ」を、料理からそれ以外の家事、事務作業の効率化、時間管理へと展開していった経緯を綴っています。

◆小さな「できた!」を増やす→ついでを手グセに→じぶん時間が増える

 本書に書かれていることは、じつは段取りや時間管理に長けた人ならば当たり前なこと。でも多くの人はそれがなかなかできません。著者もそのひとりでした。


 それを可能にしたのが、小さなことを試す→できたら喜ぶ→できることは、ついでにやる→ついでの作業に慣れる→慣れたら「手グセ」にする、というサキドリ習慣づくり。あえて高いハードルを与えず、ごく簡単な作業をサキドリすることを繰り返し、5分のサキドリが30分も1時間もの余裕を生み出すことにつながったというのです。
 それって、本当なの?と思った方、まずは、実践してみてください!
(担当 三田)

目 次 
第1章 サキドリは、きゅうりの塩もみから始まる   
第2章 サキドリの時間術── 1日は何時間あるの?
第3章 サキドリ習慣 初級編── 「できた!」を増やす
第4章 サキドリ習慣 中級編── 「ついで」を手グセに
第5章 サキドリ習慣 上級編── いろいろ「サキドル」ともっとラク!
第6章 サキドリの時間術は終業から

著者紹介

田内しょうこ(Shoko Tauchi)

アメリカ・カリフォルニア州のミルズ女子大を卒業後、出版社勤 務を経て料理研究家に。雑誌、ウェブなどのメディアで活躍する ほか、忙しく働く女性や共働き家庭のための食事法や時短術を教 室、セミナーなどで伝える。著書に『時短料理のきほん』(草思社)『働くおうちの親子ごはん』シリーズ(英治出版)ほか.。

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サキドリ: じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を取り戻した小さな習慣 | 田内 しょうこ | 本 | Amazon.co.jp

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サキドリ | 書籍案内 | 草思社

文系不要論は的外れ。文系こそが大フロンティアだ! 『カルチャロミクス―文化をビッグデータで計測する』

カルチャロミクス―― 文化をビッグデータで計測する

エレツ・エイデン ジャン=バティースト・ミシェル 阪本芳久 訳

◆本をビッグデータとして扱い、研究に使う、新しい学問の登場

グーグル・Nグラム・ビューワーをご存じでしょうか。これはグーグル社がスキャンした数百万タイトルの書籍(過去、数世紀ぶん!)から、各年に発行された本に使われている任意の単語・フレーズの使用頻度をグラフに示すというもの。次のURLから、なんと誰でも使うことができます(残念ながら日本語には非対応)。


https://books.google.com/ngrams

 

たとえば、「Tokyo,Japan,Kyoto」と入力すると以下のようなグラフが表示され、それぞれの言葉が各年にどれくらいの頻度で使われたかがプロットされます。

 この技術の登場で、大量の文献をビッグデータとして活用するまったく新しい学問が誕生しました。本を人間ではなく、機械に読ませることにより、人間にはとてもできなかった驚くべきことを調べ、さらに動かしがたい証拠を数値により得ることができるのです。たとえば…

 ◎不規則変化動詞だった「burnt」はいつから「burned」になったか
 ◎使われている単語のうち、辞書にあるのはどのくらいの割合か
 ◎有名人になる人はだいたい何歳から有名になるのか
 ◎「天安門」「トロツキー」などの言葉が検閲で本から消えたことを明示する
 ◎クリスマスのあいさつ「Merry Christmas」はいつから使われるようになったか

 

◆次の科学革命は、“文系”の領域で起こるかもしれない

このように、大量の本を「測定」にかけることができるようになったおかげで、歴史や文学、言語などに関するまったく新しい事実がわかるようになりました。いわゆる「人文科学」にビッグデータが持ち込まれ、測定可能化・定量化されるようになった、とも言えます。

グーグル・Nグラム・ビューワーの開発者でもある本書の著者たちは、このようなビッグデータを使った方法で人間文化を研究する学問のことを「カルチャロミクス」と呼んでいます。この技術により、他にどんなことがわかるのか。人文科学や私たちの文化はどのように変化していくのか……。著者たちはこの分野の現在と未来を明らかにしていきます。

最近、日本政府の大学改編の動きに関連して「文系不要論」が話題になることがありますが、本書を読めば、それがいかに的外れかがわかるでしょう。いまや、人文科学こそが、大きな可能性をもった大フロンティアになりつつあるのです。遺伝学がヒトゲノムのビッグデータにより大きな役割を担うようになったのと同様に、歴史や文学、言語、そして私たちの文化の研究は今後、ビッグデータの活用により想像もできない飛躍を遂げることでしょう。

ビッグデータに興味のある方だけでなく、文学好きや歴史好きにもぜひ読んでいただきたい一冊です。

 

【本書の解説、「経済物理学における周辺研究」(高安美佐子〔東京工業大学〕)を以下で読むことができます。】

honz.jp

 (担当/久保田)

著者紹介

エレツ・エイデン Erez Aiden

2010年にハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号取得。数年間、ハーバード大のソサエティ・オブ・フェローズ、 Google社の客員研究者をつとめた後、ベイラー医科大学とライス大学の助教に就任し、そこでゲノム・アーキテクチャー・センターを率いた。2009年 にはMITテクノロジー・レビュー誌が選ぶTR35(最もイノベーティブな35歳以下の35人)のひとりに選ばれた。2012年には、合衆国政府が若手研究者に与える最高の栄誉であるPECASE賞を、ホワイトハウスより受けた。この賞は、共同研究者と共にゲノムの三次元構造を調べる技術を開発したことに 対して与えられたもの。ヒューストン在住。

ジャン=バティースト・ミシェル Jean-Baptiste Michel

フランス人、モーリタニア人。科学者、起業家。データ科学企業のクオンティファイド・ラボの創設者。ハーバード大学の準研究員。Google社の客 員研究員を務めたこともある。フランスのエコール・ポリテクニークを卒業。2010年にハーバード大学で博士号取得。フォーブス誌が選ぶ「30歳以下の 30人」のひとりに選ばれた。ニューヨーク、ブルックリン在住。

 

本書刊行までの10年間、両名はともにビッグデータを使って、人間の文化の研究してきた。その研究成果はネイチャー誌、サイエンス誌、ニューヨーク タイムズ紙の特集記事として取り上げられた。彼らが行った講演ビデオは、TED.comで100万回以上の再生を記録している。

 

【著者ふたりによるTEDトーク】

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「一発屋で終わる人」と「終わらない人」の違いは?

マインドセット ――「やればできる!」の研究

キャロル・S・ドゥエック 今西康子 訳

◆「成功心理学」の古典的名著、新装完全版で登場!

 同じような能力を持っていても、一度の失敗で諦めてしまう人と、失敗の原因を究明して次につなげる人がいる。一度の成功体験にとらわれて次につなげられない一発屋の人と、何度も成果を達成できる人がいる。問題がむずかしいとやりたがらない子、むずかしい問題ほど目を輝かせる子がいる。

 それらの違いは? 本書によれば、心のあり方(マインドセット=mindset)にあります。

 本書は、マインドセットのパイオニアとして知られるスタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック博士による世界的ベストセラー“MINDSET”の新装版。旧版『やればできる!の研究』では、カットしていた企業経営者とアスリートに関する2つの章を復活させ、完全版として刊行しました。

◆しなやかマインドセットvs.硬直マインドセット

 著者のドゥエック博士は、教育心理学者として、能力は同じでも結果に差が開いてしまう子がいるのは、なぜなのか、という疑問から20年以上にわたり調査・研究を重ね、人間のマインドセットには「しなやかマインドセット(=growth mindset)」vs「硬直マインドセット(=fixed mindset)」の2種類があることをつきとめました。

 そして、学業、芸術、ビジネス、スポーツ、恋愛、人間関係など、あらゆることで成果を出せるかどうかは、「その人の心の持ちよう、すなわち、マインドセットがしなやかであるかどうかで決まる」と結論づけたのです。

 昨今、教育の世界では、IQ(知能指数)に代表される認知的特性よりも、レジリエンス(逆境力)や粘り強さといった非認知的特性が重視されていますが、本書はその重要性を認識させるきっかけをつくった作品の1つでもあります。

◆「がむしゃらな努力」は硬直マインドセットの典型

 本書に一貫して流れるのは、「マインドセットは自分しだいでいつでも変えられる。やればできる!」というドゥエック博士の信念とも言うべきメッセージ。と同時に、博士は、がむしゃらな努力を続けることの無意味さも強調します。失敗の原因に向き合うことなく、ガンバリズムだけで無茶な努力をすることは、しなやかマインドセットとは対極にある硬直マインドセットの証左と言い切ります。読み進めるうちに、成功や失敗の意味だけでなく、努力の位置づけも変わって見えてくることでしょう。

 分野、テーマごとに「しなやか」と「硬直」という2つのマインドセットを著名人の具体例も交えて、わかりやすく対比させる構成の本書ですが、章末にはマインドセットをしなやかにするためのエクササイズも紹介されています。読んだその日から、ご自分のマインドセットについて捉えなおす機会を与えてくれることは間違いありません。

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(担当/三田)

著者紹介

キャロル・S・ドゥエック

スタンフォード大学心理学教授。パーソナリティ、社会心理学、発達心理学における世界的な権威。イエール大学で心理学博士号(Ph.D.)を取得後、コロンビア大学、ハーバード大学で教鞭を執り、現在に至る。人間の思考様式への関心は、30年来で、モチベーション、人間関係、メンタルヘルスに関する研究で大きな業績を上げてきた。

訳者紹介

今西康子(いまにし・やすこ)

神奈川県生まれ。訳書に『ミミズの話』『ウィルス・プラネット』(いずれも飛鳥新社)、共訳書に『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』(草思社)などがある。

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マインドセット「やればできる! 」の研究 | キャロル・S・ドゥエック, 今西康子 | 本 | Amazon.co.jp

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マインドセット | 書籍案内 | 草思社

組織の“集合知”は「つながり」しだいで増幅し、生産性も上がる。

ソーシャル物理学――「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学

アレックス・ペントランド(MITメディアラボ教授)著/小林啓倫 訳/矢野和男 解説

◆ビッグデータで社会科学を根底から覆す、まったく新しい理論と方法の登場

 さまざまな科学が発達した現代においても、人類は、社会や組織の運営の正しいやり方を、まだ把握していないといえるでしょう。社会学や経済学などがさまざまな理論や方法を数百年にわたり構築してきましたが、バブル経済の予防も、組織の生産性向上も、災害時の効率的な組織運営も、確かな方法がないのが現状です。
 でも、もし「集団の科学」を構築したいと考える科学者が神の視点に立つことができ、集団内の人々のすべての情報を入手できたら、きっと大幅な進歩が期待できるのではないでしょうか。
 人々の移動や身体の動きの履歴、誰と対話したかの詳細な記録、買い物の履歴、SNS投稿やメール送受信の履歴などが入手できたらどうでしょう。さらにそれらを心理状態や健康状態に関するアンケート結果や、集団全体のGDPなどの情報とリンクさせて研究ができたら……。そんなデータが、数週間、数ヶ月、あるいは数年分入手できたら、私たちが集団や組織を運営するスキルは格段に向上し、その結果、人々の福利厚生にも資することでしょう。
 そんな未来は来るのでしょうか――。じつは、それを10年ほど前から実践し、数々の「社会実験」を行ってきたのが本書の著者、マサチューセッツ工科大学(MIT)のアレックス・ペントランド教授です。

◆どういう組織の生産性が高く、変化に強く、正しい判断を下すか

 本書は、著者の「私は未来に生きている」ということばから始まります。このことばの通り、著者は未来的な実験環境を世界に先駆けて一から構築、実験方法を開発してきました。人々の行動を把握するためのセンサーやスマホアプリの開発、そこから得たデータを解析するための環境など、さまざまな問題を解決してきたのです。もちろん、そのデータから得た結果を説明し、集団の未来を予言することのできる理論やモデルも構築してきました。ですから、本書の内容は、本当に未来から来たものかと思うほど、驚くべき発見に満ちています。
 たとえば、会社組織のメンバー同士の会話のパターン(誰と誰がどのくらいの頻度で話をしたか、一方的に話しているのか交互に話しているのかなど)を計測すると、組織の生産性を予測することができることがわかりました。逆に会話のパターンの改善を促すことで、生産性を向上させることも可能ですし、さらにはその集団の意思決定をより正しいものに導いたり、創造性を増幅させイノベーションを促すことも可能だといいます。この方法論の応用で、バブル経済のような、集団の暴走も予防することも可能になります。
 つまり、これまで「集合知」ということばで比較的定性的に語られてきた集団が持つ知性を、組織内の人々のコミュニケーションのつながり方を把握し、その改善を促すことで定量的に評価し、コントロールすることが可能になるというのです。
 このほかにも、災害やリストラなどの変化に迅速に対応する組織を構築する方法や、人々に好ましい行動習慣をつけさせるインセンティブ設定の新しい方法など、人間集団を正しく運営する上で大きな力を持つ具体的方法を考案しています。
 これらはのべ数百万時間に及ぶ社会実験のビッグデータから得た事実に基づいており、従来の社会科学研究が扱ってきたデータ量とはケタ違い。本書に書かれている研究内容は、社会科学に革命を起こすだけでなく、組織論や経営学、都市計画や制度設計などにも大きなインパクトを与えるものです。

◆ビッグデータの活用とプライバシー保護は両立できる

 一方で、ビッグデータが大きな威力を持つと、心配になるのが個人のプライバシーです。著者はビッグデータに関する世界的権威ですが、同時にプライバシー保護に関しても各界に働きかけている第一人者であり、「データのニューディール」を提唱しています。これはビッグデータ活用による社会や個人の生活の改善と、プライバシー保護を両立させるもので、具体的な方法やシステムも本書の中で提案されており、著者はその社会実験も行っています。
 本書を読み進めれば、著者の「私は未来に生きている」ということばが、誇張ではなく本当のことであり、私たちの未来の社会や組織はこのようにビッグデータをもとに運営されることで、より良いものになると確信するようになるでしょう。ビッグデータに関心のある方はもちろんのこと、社会科学や経済学などに関心をお持ちの方や、マネジメント/組織運営に携わる人にも、オススメの一冊です。
(担当/久保田)

著者紹介

アレックス・ペントランド Alex Pentland
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。MITメディアラボ創設から関わり、現在は同ラボのヒューマンダイナミクス研究グループ所長を務める。ビッグデータ研究の世界的第一人者で、フォーブス誌が選ぶ「世界で最も有力な7人のデータサイエンティスト」にも選ばれた。また10以上のビッグデータ関連の会社を創立した起業家でもある。世界経済フォーラムでは、ビッグデータと個人データ保護に関するイニシアチブを主導した。邦訳されている著書に『正直シグナル―非言語コミュニケーションの科学』(みすず書房)がある。

訳者紹介

小林啓倫(こばやし あきひと)
株式会社日立コンサルティング 経営コンサルタント。筑波大学大学院卒。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、2003年に米バブソン大学にてMBAを取得、2005年より現職。著書に『ドローン・ビジネスの衝撃』(朝日新聞出版)、訳書に『シンギュラリティ大学が教える 飛躍する方法』(日経BP)、『ビッグデータテクノロジー完全ガイド』(マイナビ)など。

解説者紹介

矢野和男(やの かずお)
株式会社日立製作所研究開発グループ 技師長。早稲田大学物理修士卒、工学博士。1984年に日立製作所入社。ウエアラブル技術を用いたビッグデータの収集・分析により世界的に注目を集め、 Erice Prizeなど国際的な賞を多数受賞。本書著者と、本書の中でもとり上がられている人間行動計測の共同研究を行った。東京工業大大学院連携教授。文部科学省情報科学技術委員。IEEEフェロー。著書に『データの見えざる手―ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(草思社)がある。

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職場をポジティブ心理学で上機嫌にする方法

ポジティブ・リーダーシップ Profit from the Positive

マーガレット・グリーンバーグ、セニア・マイミン 著/月沢李歌子 訳

◆時代が求めるリーダーシップの指南書

 本書はビジネスリーダーやリーダーを目指す人、人事管理の専門家などに向けられたリーダーシップの指南書です。著者は、最新のポジティブ心理学を基に、経営幹部(エグゼクティブ)向けコーチングを実践する2人の女性。ポジティブ心理学とは、個人やコミュニティ、職場の生産性が高まる要因を探る分野で、生産性、レジリエンス(逆境力)、動機づけ、感情、強み、チーム力学などの研究を行っています。

 著者たちは、ポジティブ心理学の最新研究とエグゼクティブコーチとしての豊富な経験を融合。ザッポスやグーグルなど著名企業での事例や米生保エトナなど大手企業からベンチャー企業までへの実践から得たノウハウを抽出し、30以上のリーダーシップ・ツールとしてまとめ、具体的に利益を生み出す方法を提示します。

◆研究と事例から抽出した使えるツールが満載

 ツールの具体例の1つとして、従業員の組織への結びつき(エンゲージメント)を強める方法について、紹介しましょう。

 ギャラップ社の調べによると、エンゲージメントが強い従業員は、それが弱い従業員に比べ、自分自身の強みを活かす傾向が6倍も強く、人生への満足度も3倍高いという調査結果がでているそうです。リーダーは、個々の従業員の強みをやる気とエンゲージメントに変えることができれば、より強い組織をつくることができるというわけです。

 そこで著者たちは従業員のエンゲージメントを強めるリーダーシップ・ツールとして、「本を読むだけではいけない」「頻繁に称えて励ます」などの4つを提案します。1つ目のツールには特に膝を打つ方も多いのでは?

 面白かったビジネス書を部下に薦めたが、「読むといいよ」と言ったきりだったというリーダーも少なくないでしょう。まじめな部下ほど、素直に読みます。しかし、部下は新しく得た知識をどう使うべきかわからず、上司は本で読んだアドバイスをなぜ実行しないのかと部下に不信感すら抱く

 著者たちは、リーダーは、本をただ紹介するだけではなく、そこから得た気づきをどのように実践に活かすべきかという話し合いの場を設けるべきだと強調します。そうしてはじめて、従業員は自分たちの強みへの理解を深め、それをさらに活かす方法を考える力を身につけることになる、というわけです。

◆今日から、ポジティブなはみ出し者になれ!

 本書では、これらのツールを日々、できるところから実践することで「ポジティブなはみ出し者」となることを提唱し、そのために求められる4つの実践を紹介します。

「①抵抗に抵抗しない」「②小さなことから始める」「③専門用語を使わない」「④あえて裏口を利用する」。この4つを念頭におき、今日始められることを始める。これぞ、ポジティブ・リーダーシップへの道というわけです。

 そうと決まったらあとは実践のみ。簡潔にまとめられたツールの数々は、あなたとあなたの職場を上機嫌にするチャンスをうかがっています。加えて、原著“Profit from the positive”サイトでは、数多くのツールが掲載されていますのでご興味のある方はご覧ください。

(担当/三田)

 [原著サイト]

http://www.profitfromthepositive.com/free-tools/

著者略歴

マーガレット・グリーンバーグ Margaret H. Greenberg

ペンシルべニア大学大学院修了。フォーチュン500に代表されるトップ企業リーダーたちの絶大な支持を得るエグゼクティブコーチ。グリーンバーググループ創始者。http://www.thegreenberggroup.org/

セニア・マイミン Senia Mymin, Ph.D.

ハーバード大学卒、ペンシルべニア大学大学院修了、スタンフォード大学大学院修了(博士)。ポジティブ心理学に基づいたエグゼクティブコーチとしてメディアでも活躍し、日本企業にサービスを提供した経験もある。高校時代に交換留学で日本に滞在し、ハーバード大学でも日本語を習得した。

訳者略歴

月沢李歌子 Rikako Tsukisawa

津田塾大学卒。外資系投資顧問会社勤務から翻訳家に。訳書に『スターバックス再生物語』(徳間書店)『積極的考え方の力』(ダイヤモンド社)『できる人はダラダラ上手』(小社)

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【近刊予告】良いアイデアはいかに広がるか―「社会物理学」を紹介する話題書の邦訳がまもなく刊行!

ビッグデータで、社会科学とマネジメントに革命を起こす話題書が、ついに邦訳。

9月中旬刊行予定!

『ソーシャル物理学―「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(仮)

(原題:SOCIAL PHYSICS: HOW GOOD IDEAS SPRED ? THE LESSONS FROM A NEW SCIENCE)

アレックス・ペントランド(米MITメディアラボ教授)
翻訳:小林啓倫/解説:矢野和男(日立製作所中央研究所)


人は、集まり、つながると賢くなる。
さらに賢くなるには、どうすればいいか?
ビッグデータを用いて、「集合知」を増幅させる科学的手法が誕生。

人々の生活を、スマホやウエアラブルセンサを使って記録、それを解析し、集団の生産性や創造的成果、意思決定などを大きく改善・向上させる新手法「社会物理学」。その応用範囲は都市の犯罪率の低減、エネルギー利用の効率化、感染症蔓延の阻止、災害復旧、市民の健康向上にまで広がる。ビジネスから都市計画、社会制度設計にまで影響を及ぼす、新しい科学の誕生。

〈内容より〉
◎我々は、うまくいっている人を真似る「社会的学習」に依存している
◎社会的学習を理解することが、「集合知」を理解し増幅させるカギ
◎市場原理だけでは不十分。規範を守らせる仲間同士の絆が重要
◎自分の友だち同士も、やはり友だち関係にあるコミュニティは強く、賢い
◎人々の行動を変革させる「ソーシャルネットワーク・インセンティブ」
◎プライバシーとビッグデータを両立させる「データのニューディール」

著者紹介

アレックス・ペントランド
米国MITメディアラボ起業プログラム所長。MITヒューマンダイナミクスラボ所長。ビッグデータの世界的第一人者。2012年にフォーブス誌の「世界で最も有力なデータサイエンティスト7人」の1人に選ばれた。邦訳されている著書に『正直シグナル』(みすず書房)がある。

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※ビッグデータの話題書『データの見えざる手』著者、矢野和男氏による解説がつく予定。矢野氏は本書著者の共同研究者でもある。

刊行時期:2015年9月中旬

四六判/並製/344頁(予定)/価格未定

 

幸福を求めるほど不安になるのは、なぜ?

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

トッド・カシュダン/ロバート・ビスワス・ディーナー 著 高橋由紀子 訳

◆心のダークサイドには、よいところがある

 気持ちが前向きでポジティブであることは、心身の健康や人間の幸福感(ハピネス)に一定の相関を持つことがポジティブ心理学などの研究で検証されています。ところが、幸福であることを深く追求する人や企業ほど、不平や不満などのネガティブな感情を取り除けないという問題に直面して悩んでしまうという皮肉も生じています。

 当たりまえのことですが、人間は100%ポジティブな感情だけで生きているわけではなく、怒りや嫌悪、後悔、恐怖、不安、悲しみといったネガティブな感情はつねに私たちの心のダークサイドで渦巻いています。幸福学研究の精鋭らが書き下ろした本書は、極端なポジティブ追求の弊害を取り除き、ネガティブな感情を解放する方が豊かな日常生活を送れるようになることをさまざまなデータや事例から明らかにしていきます。

◆どんな感情にも意味がある

 各章ごとに、「『自分は幸福だ』と考えている人ほど、よい気分を維持しようとして、嘘を見破る能力が阻害され、判断ミスを起こしやすい」「幸せな気分になろうとして、映画を観たり、音楽を聴くとかえって内容を楽しめず、幸福感が下がる」といった「幸福」のもたらす反作用や、「欧米人に比べて、アジア人はネガティブな感情に耐性があり、やみくもに幸福追求しない傾向にある」といった興味深い調査結果や事例が紹介されています。

 幸福や成功だけを追求することは、むしろ人を弱くし、不幸にしかねない。自分の心の中に湧き上がるすべての感情には意味がある。目先のことや他者との比較に心をすり減らしていると忘れてしまいがちな部分に気づかせてくれる得がたい一冊です。

(担当/三田)

著者略歴

トッド・カシュダン(Todd B. Kashdan)

ジョージ・メイソン大学教授、同校ウェルビーイング促進センター上級研究員、オーストラリア・カソリック大学ポジティブ心理学・教育研究所上級研究員。パーソナリティ、ウェルビーイング、人間関係などの分野を専門とし、その研究は高く評価されている。

ロバート・ビスワス=ディーナー(Robert Biswas-Diener)

40点以上の学術論文を発表し、六大陸において何千人もの知的職業人たちに心理学の研修を行っている。アーミッシュの農夫、コルカタの売春婦、マサイ族、グリーンランド辺境のアザラシ漁師など、普通の心理学者が研究対象にしないような人たちを対象に研究を続けてきており「心理学界のインディ・ジョーンズ」という異名を持つ。『ジャーナル・オブ・ポジティブ・サイコロジー』誌編集委員。著書に『「勇気」の科学 一歩踏み出すための集中講義』(大和書房)。

 訳者略歴

高橋由紀子(たかはし・ゆきこ)

翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。訳書に『幸福優位7つの法則』(徳間書店)『成功が約束される選択の法則』(同)『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』(日本実業出版社)ほか多数。

 

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