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草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

昔の老人はやばかった!古典エッセイストが放つ異色の老人論!

日本文学(評論・随想)

昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか

大塚ひかり著

◆「昔話&昔の老人」の秘密に迫るまったく新しい本!

昔話は必ずといっていいほど、「むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました」で始まり、登場人物もメインは老人。「桃太郎」も「舌切り雀」も「花咲か爺さん」も「かぐや姫」も老人が主役(級)で登場しますし、「浦島太郎」も玉手箱を開けてしまい、老人に…。なぜこんなにも老人が頻出するのか? という素朴な疑問を出発点に、全国に残る六万話もの昔話や、古典文学に描かれた老人像を追い、「昔の老人の知られざる生態」を明らかにしたのが本書です。

◆七十過ぎても婚活!七十爺と八十爺が出世争い!……昔の老人はヤバかった!!

「昔(前近代)の老人」というと、子や孫に囲まれ茶などをすすって隠居暮らしをする老人像を思い浮かべがちですが、実態はまるで違います。介護してほしくて三、四十歳年下の尼と同棲したものの財産を強奪され殺されそうになる七十歳の僧侶(『沙石集』鎌倉時代)。貧しさから七十歳を過ぎても行商と婚活に明け暮れる老尼(『おようの尼』室町末期~江戸初期)。老いてなお出世したくて八十過ぎの寺の長官を猛毒キノコで殺めようとする七十歳の次席僧(『大鏡』平安後期)。認知症だったかもしれないのに息子に「鬼婆」扱いされ見棄てられる老母(『今昔物語集』平安末期)。じつは八十歳の老母と二人暮らしだった四十代初老独身の浦島太郎(香川に伝わる「浦島太郎」)などなど。どれも超高齢社会の現代日本にいてもおかしくない人たちばかりです。

そんな老人たちを生んだ社会背景についても、学術文献を援用しつつ易しく解説。たとえば、奈良・平安時代の官僚は七十歳が定年だったので超高齢老人同士の出世争いもありえたとか、結婚率の低かった十七世紀以前は独居老人が多く老いてなお婚活に迫られることが多々あった、などなど。物語を楽しみつつ歴史を学べる仕立てになっています。

◆昔話の謎から、日本人のこころや民俗が見えてくる

本書では、昔話の「謎解きの楽しみ」も盛り沢山です。孝行息子がなぜ老母を姥捨て山に捨てるのか、そして捨てられた老母はなぜ最終的に生還できるのか。浦島太郎はなぜ竜宮城に招かれたのか。昔話といえばなぜ、「お爺さんは山へ柴刈り、お婆さんは川で洗濯」なのか。昔話ではなぜ「良いお爺さんやお婆さん」の隣に「悪いお爺さんやお婆さん」が住んでいるのか…などなど。昔話の謎に迫りながら、その背後にある日本人のこころや民俗を理解できます。老齢世代の方やこれから老人になる方、昔話や古典文学、日本の歴史や民俗に興味のある方など、多くの方に是非読んでいただきたい一冊です。

(担当/貞島)

著者略歴

大塚ひかり(おおつか・ひかり)
1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

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