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草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

西欧を目指してここまで来た日本にモデルはあるのだろうか

ランキングでわかる ヨーロッパ各国気質

片野優・須貝典子 著

 明治維新以来、ヨーロッパの先進国を目指して近代化の道を歩んできた日本にとって、西欧は先生であり、モデルであった。ところが、20世紀末から現在にかけて、日本の行き詰まりははなはだしく、未来のあるべき姿を思い描くことは難しくなった。こんな時、日本より先に行き詰まった観のある、先達ヨーロッパ各国を覗いて参考にしてみることは大いに意味があるのではないか。本書はこれまでに好評だった二冊(『こんなにちがう ヨーロッパ各国気質』『ニュースでわかる ヨーロッパ各国気質』)につづいで書かれた本で、ヨーロッパ在住25年で、ヨーロッパ事情に精通する二人が著者である。

 今回、著者たちは各種統計、アンケート、資料など50種以上のランキングにあたり、ヨーロッパ圏の27か国の国民性、お国柄をユーモラスに紹介している。労働環境や結婚、子育て、収入、人権、ジェンダー、食事、酒タバコ、健康などが国別に論議の対象になっている。一言で言えば暮らし全般であり、住んでいる人の幸福感の問題と言っていいのかもしれない。日本人は総じて幸福感が低いほうだが、ヨーロッパ各国もいろいろな温度差があり、事情も違っており、日本が見習うべきはどの国なのだろうか。

 まず特筆すべきはやはりギリシャ人だ。デフォルト寸前の経済状況だが、喫煙率、肥満児率、年間のセックス回数などでは第1位で、自殺率は最下位、幸福度アンケートでは第2位である。経済危機で破綻しかかっていても、楽天的な国民性は歴史の長さからくるものだろうか。

 ルクセンブルク人は一人あたりの名目GDPが世界1位で、給料のランキングでも第1位である。人口規模が日本の250分の1の国で1.6倍お金持ちというのはなぜだろう。かつての農業国・鉄鋼国が、いまや金融や情報の国になっている。

 オランダ、イギリス、ドイツ、北欧など、北部の新教系の国は、食事なども質素で美味しくない。ただし人権意識が進んで同性愛者にも優しく、福祉は充実している(税金も高いが)。南部のカトリック系の国イタリア、スペイン、ポルトガル、また旧共産圏の国などは、酒の摂取量が多く、三世代同居率も高く、失業率高く、社会的には厳しくとも、幸福度は高く、親しみやすい国民気質が残っているようである。「女性の社会進出度」「母親に最も優しい国」などのランキングもあり、日本はかなり低い。

いずれにしろ、本書は日本との対比で読んでもいいし、日本が学んできた西欧文化の今日、その成れの果ての現状を知ることは、とても参考になるし、刺激的だ。

(担当/木谷)

著者略歴

片野優(かたの まさる)

1961年生まれ。群馬県出身。東京都立大学法学部卒業。ジャーナリスト。

須貝典子(すがい のりこ)

1962年生まれ。新潟県出身。東京女子大学短期大学部卒業。ライター。

ともに出版社(集英社)退社後、1991年よりオーストリアのウィーンに暮らす。ハンガリーのブダペストに滞在中は現地在住の日本人向けミニコミ雑誌『パプリカ通信』を創刊。セルビア共和国のベオグラードに在住。旧ロシアや北極圏を含むヨーロッパ各地を訪問・取材し、環境・歴史・文化・旅をテーマとした情報・記事を発信している。著書:片野優・須貝典子『こんなにちがう ヨーロッパ各国気質――32か国・国民性診断』『ニュースでわかるヨーロッパ各国気質』(草思社)、『日本人になりたいヨーロッパ人―― ヨーロッパ27カ国から見た日本人』(宝島社)、『国民気質で観るサッカーW杯(ワールドカップ)――6大陸32カ国』(ベースボールマガジン社)、片野優『ヨーロッパ環境対策最前線』(白水社)、『ここが違う、ヨーロッパの交通政策』(白水社)など。

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