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草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

幕末明治人はみな、二宮金次郎にかぶれていた。

日本文学(評論・随想) 日本歴史

幕末明治 異能の日本人

出久根達郎 著  

◆幕末明治の「埋もれた傑物たち」の生涯を綴る

 人情味あふれるエッセイで定評のある出久根達郎さんが描く、幕末明治の人物伝。著者の愛読者や歴史ファンにはたまらない一冊が、誕生しました。 

 本書には、坂本龍馬も西郷隆盛も、登場しません。出てくるのは、二宮金次郎、幸田露伴、天田愚庵(あまだ・ぐあん)、清水次郎長、山岡鉄舟、正岡子規、陸羯南(くが・かつなん)、国分青崖(こくぶ・せいがい)、高島嘉右衛門、などなど。名前は知っている人物、初めて耳にする人物、さまざまかと思いますが、出久根さんセレクトの人物たちは、やはりというべきか、「人情」、そして「気骨」にあふれた者たちばかり。龍馬や西郷のような派手さはないけれど、見過ごしてはならない、そんな「埋もれた傑物たち」をクローズアップします。

◆金次郎という大池の水が、幕末明治を潤した

  本書のユニークな視点は、著者の次のひとことです。「明治人の多くが二宮尊徳(金次郎)にかぶれていたと思う」

江戸後期、相模(神奈川)に生まれた金次郎は、貧農の出でありながら徹底した倹約、積善の精神で身を立て、のちに荒廃した六百余の町村を復興させ、超人と称されます。金次郎に農村復興を実現する卓抜なアイデアと実行力があった、のはもちろんですが、根底にあったのは、「無私を貫き、人のために尽くす」という途方もなく強靱な精神です。著者は、この精神が、幕末明治の気骨人たちに受け継がれ、明治社会を支えた、とみます。

 金次郎にあこがれ、十代のころ北海道余市で開拓にいそしみ、のちに「二宮尊徳翁」を著した幸田露伴。明治初期、養父・清水次郎長とともに富士の裾野の開拓に努めた天田愚庵。新聞「日本」を創刊し、権力に正面から立ち向かった陸羯南、など。幕末明治という時代は、実は、金次郎という大池に溜められた水が、様々な方面に流れ、潤していった結果、成り立っていた、ともいえるのです。

 本書は三部構成で、第一部は二宮金次郎、第二部は幸田露伴、第三部は天田愚庵ほかの幕末明治群雄伝、という体裁になっています。維新史や近代文学に興味がある方には物凄く楽しんでいただける本です。ぜひとも多くの方に読んでいただきたく存じます。

(担当/貞島)

 著者紹介

出久根達郎(でくね・たつろう)

1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら文筆活動を行う。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞。他に『古本綺譚』『作家の値段』『七つの顔の漱石』『雑誌倶楽部』『春本を愉しむ』『短篇集 半分コ』『本があって猫がいる』『本と暮らせば』など多数。

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