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草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

「一発屋で終わる人」と「終わらない人」の違いは?

マインドセット ――「やればできる!」の研究

キャロル・S・ドゥエック 今西康子 訳

◆「成功心理学」の古典的名著、新装完全版で登場!

 同じような能力を持っていても、一度の失敗で諦めてしまう人と、失敗の原因を究明して次につなげる人がいる。一度の成功体験にとらわれて次につなげられない一発屋の人と、何度も成果を達成できる人がいる。問題がむずかしいとやりたがらない子、むずかしい問題ほど目を輝かせる子がいる。

 それらの違いは? 本書によれば、心のあり方(マインドセット=mindset)にあります。

 本書は、マインドセットのパイオニアとして知られるスタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック博士による世界的ベストセラー“MINDSET”の新装版。旧版『やればできる!の研究』では、カットしていた企業経営者とアスリートに関する2つの章を復活させ、完全版として刊行しました。

◆しなやかマインドセットvs.硬直マインドセット

 著者のドゥエック博士は、教育心理学者として、能力は同じでも結果に差が開いてしまう子がいるのは、なぜなのか、という疑問から20年以上にわたり調査・研究を重ね、人間のマインドセットには「しなやかマインドセット(=growth mindset)」vs「硬直マインドセット(=fixed mindset)」の2種類があることをつきとめました。

 そして、学業、芸術、ビジネス、スポーツ、恋愛、人間関係など、あらゆることで成果を出せるかどうかは、「その人の心の持ちよう、すなわち、マインドセットがしなやかであるかどうかで決まる」と結論づけたのです。

 昨今、教育の世界では、IQ(知能指数)に代表される認知的特性よりも、レジリエンス(逆境力)や粘り強さといった非認知的特性が重視されていますが、本書はその重要性を認識させるきっかけをつくった作品の1つでもあります。

◆「がむしゃらな努力」は硬直マインドセットの典型

 本書に一貫して流れるのは、「マインドセットは自分しだいでいつでも変えられる。やればできる!」というドゥエック博士の信念とも言うべきメッセージ。と同時に、博士は、がむしゃらな努力を続けることの無意味さも強調します。失敗の原因に向き合うことなく、ガンバリズムだけで無茶な努力をすることは、しなやかマインドセットとは対極にある硬直マインドセットの証左と言い切ります。読み進めるうちに、成功や失敗の意味だけでなく、努力の位置づけも変わって見えてくることでしょう。

 分野、テーマごとに「しなやか」と「硬直」という2つのマインドセットを著名人の具体例も交えて、わかりやすく対比させる構成の本書ですが、章末にはマインドセットをしなやかにするためのエクササイズも紹介されています。読んだその日から、ご自分のマインドセットについて捉えなおす機会を与えてくれることは間違いありません。

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(担当/三田)

著者紹介

キャロル・S・ドゥエック

スタンフォード大学心理学教授。パーソナリティ、社会心理学、発達心理学における世界的な権威。イエール大学で心理学博士号(Ph.D.)を取得後、コロンビア大学、ハーバード大学で教鞭を執り、現在に至る。人間の思考様式への関心は、30年来で、モチベーション、人間関係、メンタルヘルスに関する研究で大きな業績を上げてきた。

訳者紹介

今西康子(いまにし・やすこ)

神奈川県生まれ。訳書に『ミミズの話』『ウィルス・プラネット』(いずれも飛鳥新社)、共訳書に『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』(草思社)などがある。

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