草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

渋谷のHMV&BOOKS TOKYOにて『データの見えざる手』関連書籍フェア開催!

 HMV&BOOKS TOKYOさん(渋谷)にて、『データの見えざる手』編集者オススメ世界を見る目が変わる10冊と銘打ったフェアを開催していただいています。

 草思社の本5冊と、他社さんの本5冊を「データを使って世界を見る」という視点からチョイスして紹介するものです。

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 いずれも、担当編集者が読んで感銘を受けた本ばかり。HMV&BOOKSさん店頭で本につけている紹介文とともに、本ブログでもオススメしてみたいと思います!

 

(1)『データの見えざる手-ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(矢野和男著・草思社)

本当にすごい本。人間にセンサを付けて行動のデータを取り、分析する。すると、驚くようなことがわかる。データにより「人間は人間的に働かせた方が成果が出る」と証明されることとか。「知人の知人」が多い人ほど、生産性が高いとか。とにかく読んでほしい! 

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 (2)『数に強くなる』(畑村洋太郎著・岩波新書)

定量データがなければ、考えることさえできない。だから、いつでも数え、測り、見積もり、推測することが重要だ。貪欲にしぶとく、動員できるモノはすべて使ってやる。そのための方法や精神が書かれた、珠玉の一冊。読んだ後には、世界がまったく違って見えてくる。そして、その楽しいこと!  

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(3)『カルチャロミクス-文化をビッグデータで計測する』(エレツ・エイデン&ジャン・バティースト・ミシェル著/阪本芳久訳/高安美佐子解説・草思社)

巷で言われる「文系不要論」がまったく的外れとわかる本。これからのデータ科学の主戦場は、むしろ歴史や文学、社会学などの「文系研究」なのだ。本書の著者たちはなんと、Googleを使って、誰でも言語の歴史を研究できるようにしてしまった! 文系の未来が明るく見えてくる一冊!

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(4)『はじめての福島学』(開沼博著・イースト・プレス)

データは大事だ、と考えさせられる本。本書の最初に出てくる25項目と「はじめに」だけでも読んでほしい。著者は、データなしで福島を語るときに起こる残念な感じの正体を見事に分類整理し、読者に突きつける。そして本文では、次々とデータを駆使して福島を語る。目を見開かされる一冊。

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(5)『ソーシャル物理学―「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(アレックス・ペントランド著/小林啓倫訳/矢野和男解説・草思社)

『データの見えざる手』矢野和男氏の共同研究者でもある著者が行った、数々の社会実験の成果をまとめた本。これまた本当に驚く発見満載。行動パターンからその人の可処分所得を推測できるとか、生産性が高まる会議の司会の仕方とか。バブルやパニックを防ぐよう集団を制御する方法とか…。必読!

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 (6)『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』(渡辺佑基著・河出書房新社)

行動データを取られているのは人間だけじゃない。動物にセンサを付け行動を計測する「データロガー」が動物の生態研究に革命を起こしつつある。本書は、特に物理好きの生態学者が書いた本だけに、飛ぶ・泳ぐ・潜るなど、動物の運動に関する面白い発見の話がいっぱい。研究の苦労話も楽しい。

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(7)『コネクトーム―脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』(セバスチャン・スン著/青木薫訳・草思社)

現在の脳科学は、最重要のデータなしで進められている。そのデータとは、コネクトーム=全脳細胞の結合の仕方の地図のこと。しかし、コネクトームがデータだとして、それを使って脳をシミュレーションしたら、「私」を再現できるのか? その先に不死もあるのか? そこまで論じるすごい本。

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 (8)『ソーシャルメディアの経済物理学―ウェブから読み解く人間行動』(高安美佐子著・日本評論社)

ネットの書き込み分析の力は侮りがたい。たとえば、震災後に「津波」という言葉は使用頻度が上がったが、本書の分析によれば、24年で以前の水準に戻るという。私たちは24年で「津波」を忘れるのかも知れない。やや専門的だが、書き込み分析がどのように行われるのかがよくわかる。

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(9)『異端の統計学 ベイズ』(シャロン・バーチュ・マグレイン著/冨永星訳・草思社)

ベイズ統計は、いまやデータ分析や人工知能研究などで欠かすことができない存在だが、かつて統計学では異端とされてきれた。忌み嫌われた理由や、戦争や保険、事故調査、企業経営などでの意外な大活躍の物語が綴られる。統計学界の濃いキャラの学者がたくさん登場する楽しい本。

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(10)『Amazonランキングの謎を解く―確率的な順位付けが教える売上の構造』(服部哲弥著・化学同人)

アマゾンはロングテールで商売しているって本当? そもそもランキングはどういう仕組みでつけてるの? 情報を公開しないアマゾンに、実験と観測と数理で挑み、ランキングの手法を推測、アマゾンはロングテールではなく、上位品目で利益を上げていると看破する。専門的だが、めっぽう面白い。

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HMV&BOOKS TOKYOさんにもぜひ、行ってみてください!

 

 (担当/久保田)