草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』刊行記念! ビジネスパーソンのための超速『鬼谷子』講座 第四回「人を動かしたあとにするべきこと」 『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』高橋健太郎著

 超速『鬼谷子』講座も今回が最終回。
 最後にご紹介するのは、『鬼谷子』が教える「人を動かしたあとにするべきこと」です。

・人を動かしたら去る
 この講座でも述べてきたように、『鬼谷子』の術は、安全圏から人を動かす術です。
 ひそかに周囲を観察し、それとなく言葉を投げかけ、誰からも知られることなく、あたかも自然にそうなったかのように他人を動かすのを理想とします。

 人を動かすには何らかの「行動」が必ず伴います。
 これは避けようがありません。
 観察も周囲への言葉がけも、どんなに目立たないように行っても「行動」です。そして、そうした具体的な「行動」がある以上、周囲の人間に「あいつ、人を動かそうとしてるな」なんて知られてしまうリスクは、必ず出てきます。

 こうした状態を、『鬼谷子』は「陽」(日の当たる状態)と呼んで危険視します。
 もちろん、『鬼谷子』では、こうした避けがたい「陽」の状態においても、なおかつ、人に知られるリスクを最小限化する技術もまた説いてます。

 ただし、『鬼谷子』がもっとも重視するのは、なによりも「陽」の状態から一刻も早く去ることです。つまり、人を動かしたら、すぐに目立たない場所に消える。
 これが鉄則なのです。

・虚栄心が身を滅ぼす
 人を動かすのに成功した人間が、もっとも陥りがちな罠。
 それは「あの人を動かしたのは、実はオレなんだ」などと吹聴して回ることです。
 動かしたのが難しい相手であればあるほど、それによって得られる功績が大きければ大きいほど、人はどうしても、それが自分の手柄であることを周囲にアピールしたくなってしまうもの。

 しかし、『鬼谷子』的にいえば、それこそがもっとも危険な行為なのです。
 なぜか?
 周囲の心情面と情勢面に次のようなリスクが生まれるからです。

1,(心情面のリスク)功績は周囲の嫉妬を生む
 嫉妬は必ずその人を引きずり降ろします。必ず将来禍根になるのです。

2,(情勢面のリスク)功績はその人間をキーパーソンにする
 功績のある人間は、一目置かれます。つまり、周囲から注目されるようになり、「陽」の状態から抜け出せなくなるのです。

 周囲から注目されて一挙手一投足が注目され、しかも嫉妬までされるという得意絶頂の状態こそ、失敗の谷へ転落するまであと一歩。

 この最低の状態をなんとしても避けるというのが、安全圏から人を動かすために、最後に行わなければいけない『鬼谷子』の術の総仕上げなのです。そのための方法には、例えば次のようなものが考えられるでしょう。

1,物理的に、あるいは心理的にその場を去る
2,功績を人に譲る
3,逆に「成功ではない」と吹聴する

・「転円」こそ究極
 いずれにせよ、『鬼谷子』では、人を動かすには「自然であること」がもっとも大事であると説きます。
 状況を見て人を動かし、成功したのなら成功を観察して動き、失敗したのなら失敗を観察してまた動く。これを自然と流れるように淡々と行っていく。
 これこそが『鬼谷子』の説く究極の境地である「転円」です。

 その動きの自然さが極まれば、自然さに紛れて誰が誰を動かしたのかすら、周囲にわからなくなります。
 周囲から見たときに「何かわからないけど、あの人が急に動き出して事態が進展した」、そんな印象しか残らないような人の動かし方を目指すのが『鬼谷子』の術なのです。

(筆者:高橋健太郎)

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