草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

流れゆく時間を慈しむ感受性から生まれてきた魅力的な言葉を多数、収録! 『一日の言葉、一生の言葉』白井明大著

一日の言葉、一生の言葉 旧暦でめぐる美しい日本語
白井明大 著

 本書は、『日本の七十二候を楽しむ』(東邦出版)で旧暦ブームを呼びおこした詩人が、流れる時間をいつくしむ旧暦の世界観の中から生まれた味わい深い言葉・表現の数々を「一日の言葉」「一月の言葉」「一年の言葉」「一生の言葉」に分けて紹介する本です。
 一日という小宇宙を彩る言葉。月の動きとともにめぐる一月(ひとつき)の言葉。一年、また一年と暮らしていくための言葉。そして、今ここに生きている命を肯定する一生の言葉。
 「時というのはふしぎで、一年があっという間に過ぎることもあれば、ほんの一瞬が永遠のように感じられることもある。だからこそ昔の人は、そのときそのときを愛おしむように、目の前に現れるものごとに、こまやかに名前をつけて呼んできたのかもしれない」と著者は書いています。
 言葉を知ることは、この世界をより深く理解する手掛かりであり、それはまた、より良く生きるためのよすがにもなります。本書に収められた味わい豊かな言葉が、読んでいただいた皆様の心に暖かな灯をともすことを願ってやみません。

【一日の言葉】明けぐれ(あけぐれ) かぎろい 糸遊(いとゆう) ほがらほがら 夕凪(ゆうなぎ) 彼は誰(かわたれ) 日にち薬(ひにちぐすり)…ほか

【一月の言葉】月旦(げったん) 待宵(まつよい) 十五夜(じゅうごや) 雨月(うげつ) 満月(まんげつ) 星月夜(ほしづくよ) 地球照(ちきゅうしょう)…ほか

【一年の言葉】春隣り(はるとなり) 花筏(はないかだ) 桃始めて笑う(ももはじめてわらう) 白南風(しろはえ) 夏ぐれ(なつぐれ) 白雨(はくう) 金風(きんぷう)…ほか

【一生の言葉】息吹き(いぶき) 手児(てご) 幸う(さきわう) ぬちぐすい 草の縁(くさのゆかり) 手六十(てろくじゅう) 有涯(うがい) 常しえ(とこしえ)…ほか

◇本書より一部抜粋◇
日にち薬【ひにちぐすり】
月日が経つことが、心身を癒してくれる何よりの薬、という言葉が、日にち薬。…過ぎゆく日々が薬になる、というのは、人間を包むこの世のやさしさだと信じたい。

白南風【しろはえ】
梅雨のさなか、どんよりと黒い雨雲の下で吹く南風のことを、黒南風という。…いつしか雨雲を吹き払い、梅雨明けを運んでくる南風が、白南風。夏の到来を告げる風。 

有涯【うがい】
限りがある人の一生のことを、有涯という。人には、たしかに寿命があり…死があり、別れがある。それなのに有涯という言葉を目にすると、なんだか心が鼓舞される気がする。…一生を生き抜いた人の生涯というものが、一人一人に厳然と有ると、この言葉に告げられているかのよう。    

(担当 碇)

著者紹介

白井明大(しらい・あけひろ)

詩人。1970年東京生まれ。詩集に『心を縫う』(詩学社)、『くさまくら』(花神社)、『歌』(思潮社)、『島ぬ恋』(私家版)、『生きようと生きるほうへ』(思潮社、丸山豊記念現代詩賞)。2012年に刊行した『日本の七十二候を楽しむ ─旧暦のある暮らし─』(東邦出版)が旧暦への静かなブームを呼び起こす。そのほか『季節を知らせる花』(山川出版社)、『暮らしのならわし十二か月』、『七十二候の見つけかた』(ともに飛鳥新社)、『島の風は、季節の名前。旧暦と暮らす沖縄』(講談社)など、季節や旧暦に関する著書多数。

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