草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

雲の分類は約100種! その全部がわかる本『新・雲のカタログ 空がわかる全種分類図鑑』村井昭夫・鵜山義晃 文と写真

新・雲のカタログ

――空がわかる全種分類図鑑

村井昭夫・鵜山義晃 文と写真

雲好き・空好きに愛され続けてきたロングセラーが全面リニューアル

 雲をちゃんと理解して、その性質を知るためにはどうすればいいでしょうか。それにはまず、雲の名前を知らなければなりません。名前がわからなければ、それぞれにどんな性質があるかを考えることさえできないからです。雲にはもちろん名前がついていますが、「入道雲」「うろこ雲」「ひつじ雲」などという名前は、いわば俗名で、科学的な分類にしたがった名前ではありません。
 雲は、世界気象機関(WMO)によって科学的に分類されています。大きく分けると10種類、さらに細分化すると約100種類におよぶ名前がついています。空に浮かぶ雲を見て、約100種の分類に当てはめることは、雲を理解する第一歩のハズです。本書のもととなった『雲のカタログ』は、この分類をすべて網羅、写真で示した初めての図鑑として、2011年に刊行。以来、10年余りにわたって、雲好き必携のスタンダード図鑑として愛され続けてきた、ロングセラーです。
 その『雲のカタログ』が準拠するWMOの分類が、2017年、数十年ぶりに改訂されました。本書『新・雲のカタログ』はこの新分類に合わせて改訂された全面リニューアル版。「ロール雲」「飛行機由来巻雲」など多数の新分類項目を加え、その他の写真もほぼすべてをより美しいものに差し替えています。

雲の名前がわかると空で何がおきているかがわかるようになる!

 ところで、雲の名前がわかるようになると、何かいいことがあるのでしょうか? それはたくさんあります!
 たとえば、春や秋の空高く、長い尾を引く「巻雲」は、雲の中で成長した氷晶(氷の粒)が落下すると同時に風に流されることで特徴的な形になります。つまり、雲の尾の部分は本体よりも低い位置にあるのです。さらに、雲の形から、上空の風が高さの違いでどのように違うのかも想像できます。このように雲の立体的な形や、ダイナミックな空気の動きがわかるようになるのです。
 また、雲には成長していく過程にパターンがあるので、そこに現れる雲の名前とパターンを知った上で空を眺めると、今、空で何がおきているのか、これからどんな変化が起こるのかが予測できるようになります。たとえば、「積乱雲」が発達して「かなとこ雲」に発達していったり、その過程で雲頂の上に「頭巾雲」とよばれる帽子のような雲がかかることなどが予測でき、雲が繰り広げる一大スペクタクルをより深く楽しむことができるようになります。
 「あの雲の名前、なんていうの?」という素朴な疑問に答えつつ、広くて深い「空の科学」の世界へと連れて行ってくれる、ほかにはない魅力を持った一冊。リニューアルした本書も、多くの雲好きに愛される本となることを願っています。

(担当/久保田)

著者紹介

村井昭夫(むらい・あきお)

石川県金沢市生まれ。信州大学・ 北見工業大学大学院博士課程卒。雲好き高じて気象予士(No.6926)、雪結晶の研究で博士(工学)に。著書に『雲三昧』(橋本確文堂)、『雲のカタログ』(共著)『雲のかたち立体的観察図鑑』(いずれも 草思社)、『雲の見本帳』(MdN)、『空の図鑑』(学研)、『雲百景』(共著・ 誠文堂新光社)等。雑誌等にも 執筆。石川県立大学客員研究員。日本雪氷学会・ 日本自然科学写真協会(SSP)会員。

鵜山義晃(うやま・よしあき)

三重県伊賀市生まれ。京都大学卒。気象予報士(No.2331)。天文(特に流星)から 雲の世界へ。科学・天文関係の講師、指導歴多数。高々度放電現象の撮影も行っている。著書に『彗星と流星群』(関西天文同好会)、『雲のカタログ』(共著・草思社)、『雲百景』(共著・ 誠文堂新光社)など。2016 年度「空・ 雲の観察を題材にした気象学の普及」で日本気象学会奨励賞。日本気象学会、日本流星研究会会員。

f:id:soshishablog:20220215144142j:plain f:id:soshishablog:20220215144153j:plain

Amazon:新・雲のカタログ 空がわかる全種分類図鑑:村井昭夫・鵜山義晃 文と写真:本

楽天ブックス: 新・雲のカタログ - 空がわかる全種分類図鑑 - 村井 昭夫 - 9784794225672 : 本

80年代から晩年までの単行本未収録インタヴュー、対談録を精撰『連れ連れに文学を語る 古井由吉対談集成』古井由吉 ほか著

連れ連れに文学を語る

――古井由吉対談集成

古井由吉 ほか著

2020年2月18日に逝去した古井由吉氏は、1968年「木曜日に」を発表してデビュー後、71年「杳子」で芥川賞、80年『栖』で日本文学大賞、83年『槿』で谷崎潤一郎賞、87年「中山坂」で川端康成文学賞、90年『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞するなど、文壇に確固たる地位を築き、晩年まで旺盛に作品を執筆してきました。
本書は、古井由吉氏が遺した単行本未収録インタヴュー、対談録を集成した一冊です。
グラスを片手にパイプを燻らせ、文学そして世界の実相を語った古井氏。夫馬基彦、柳瀬尚紀、福田和也、山城むつみ、木田元、養老孟司、平出隆、蓮實重彦、島田雅彦、堀江敏幸、すんみ、蜂飼耳の各氏ら12人との楽しくて、滋味豊かな文学談義をたっぷりと収めました。
「まだいい文学ができるという了見はいけないのだろうね。予定調和みたいなね。どれだけスッカンピンになっているかという意識が大事なんですよね」
「今の世の中は行き詰まると思う。日本だけではありません。世界的に。そのときに何が欠乏しているか。欠乏を心身に感じるでしょう。そのときに文学のよみがえりがあるのではないかと僕は思っています」
古井由吉の声がよみがえってくる対話録を、是非お楽しみください。

【目次】
夫馬基彦 作家の仕事と生活
柳瀬尚紀 ポエジーの「形」がない時代の言語表現
福田和也 言語欺瞞に満ちた時代に「小説を書く」ということ
山城むつみ 静まりと煽動の言語
木田元 ハイデガーの魔力
養老孟司 日本語と自我
平出隆 小説の深淵に流れるもの
蓮實重彦 終わらない世界へ
島田雅彦 恐慌と疫病下の文学
堀江敏幸 連れ連れに文学を思う
すんみ 読むことと書くことの共振れ
蜂飼耳 生と死の境、「この道」を歩く

【本文より】
夫馬 藤枝さんのここ数年間の作品なんかはどう評価されますか。
古井 大変評価しますよ。藤枝さんは文章の奥から出てくるものが粘っこいんですよね。志賀直哉の場合と違いますよね。僕の文章が粘っこいとかしつこいとか、そんなこと言うのはもう了簡違いで、藤枝さんの作品を一度後藤明生さんと読んでいて、やっぱりいいけどオエーッだねって(笑)、そういう感想はあります。

古井 だけど、文学は面白いですか。
福田 僕ですか。文学は……どうなんでしょう。でも、言葉でしか生きられませんね。
古井 僕は砂を嚙む思いが極まって面白いと思っている。まだいい文学ができるという了見はいけないのだろうね。予定調和みたいなね。どれだけスッカンピンになっているかという意識が大事なんですよね。

古井 「死への存在」という言葉を聞かされると、非常に唐突ですが、特攻隊の青年の最期を思ってしまうんです。やっぱり、我が身に引きつけてしまうから、文学を読むように、生きている人間の状態・状況を思い浮かべようとするらしい。一方では中世神秘主義の極致を思い、一方では特攻隊の青年の最期の気持を思う。特攻隊の青年の気持を思いながら読むと結構わかるところがあったりして……。
木田 それはちょっと考えたことがなかった(笑)。

古井 もっと新しい時代、大化改新以後を取っても、日本というのは二重言語の国でしょう。漢文と和文と、漢字と和字と、しかも、漢字と仮名を交えて使っている。
島田 南蛮文化渡来の頃と明治以後はローマ字もね。
古井 表意文字と表音文字。こんな複雑な言語は世界には少ないでしょう。だって、漢文という、もとは中国語のものを日本語にして、そのまま読んでしまう。これ、外国人にはなかなか説明できませんよ。しかも、中国語と日本語は言語の系統が違うんだから。

古井 今の世の中は行き詰まると思う。日本だけではありません。世界的に。そのときに何が欠乏しているか。欠乏を心身に感じるでしょう。そのときに文学のよみがえりがあるのではないかと僕は思っています。
堀江 空白をつくって、よみがえりを待つのか。それとも、どこかにスルメのにおいが漂っているということを、中間的にでも、今、誰かが伝えていくべきなのか。後者だと僕は思います。

すんみ 歌ではどのように上昇志向があらわれているんですか。
古井 微妙なあらわし方だけど、読んでいる心は遠くまでいくような歌があるんですよ。それは西洋の文学と違って、かならずしも上のほうに行くんじゃない。地平にあまねくひろがるような……。これはなかなか豪気なものですよ。

(担当/渡邉)

著者紹介

古井由吉(ふるい・よしきち)

1937年、東京生まれ。68年処女作「木曜日に」発表。71年「杳子」で芥川賞、80年『栖』で日本文学大賞、83年『槿』で谷崎潤一郎賞、87年「中山坂」で川端康成文学賞、90年『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞。2012年『古井由吉自撰作品』(全8巻)を刊行。ほかに『われもまた天に』『書く、読む、生きる』『こんな日もある 競馬徒然草』など著書多数。2020年2月死去。

f:id:soshishablog:20220215113512j:plain f:id:soshishablog:20220215113526j:plain

Amazon:連れ連れに文学を語る 古井由吉対談集成:古井由吉著:本

楽天ブックス: 連れ連れに文学を語る - 古井由吉対談集成 - 古井 由吉 - 9784794225689 : 本

木をかじってるだけじゃない!環境を救うスーパーアニマル『ビーバー 世界を救う可愛いすぎる生物』ベン・ゴールドファーブ著 木高恵子訳

ビーバー

――世界を救う可愛いすぎる生物

ベン・ゴールドファーブ著 木高恵子訳

皆さんはビーバーと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。ダムを作る、歯が丈夫で木をかじる、尻尾がオール状になっている、カワイイ……
おそらくこれが一般的なビーバー像ではないでしょうか。
しかし、実はビーバーは私達が知るよりも、はるかにヘンないきものなのです。
まず、ビーバーの学名は「カストル」というのですが、これはラテン語の「去勢された」という意味からきています。(カストラートと同じですね)。これはなぜかというと、実はビーバーは外見からは雌雄の判別がつかないのです。本書に登場する熟練のビーバー保護者によれば、においで嗅ぎ分けることができるそうです(オスはモーターオイルのような匂い、メスは古いチーズのような匂いなのだとか)。
また、ビーバーははじめから木でダムを作っていたわけではありません。その先祖は齧歯類のいち部と同じように、土に穴を掘って巣としていました。しかし、その穴も普通ではありませんでした。地中にらせんの穴をほっていたのです。後世になり、人類がその穴に堆積した化石を発見した時、「これは悪魔の螺旋だ!」と言ったのですが、先祖の頃からビーバーはヘンな習性をもった生き物だったのです。

また、ビーバーと人類の関係は意外にも浅からぬものがあります。アメリカの移入初期、ビーバーは貴重な資源でした。その毛皮は、実用だけでなく貿易品としても重要で、ある土地ではイギリスとその毛皮を巡って熾烈な対決があったほどです。このときイギリスは、「この土地はビーバーさえいなければアメリカにとっても価値はない」と考えて、ビーバーを壊滅させるという非道な解決策を実行しました。

そのような歴史もあり、ビーバーは20世紀初頭ごろまでに乱獲され数が大幅に減ってしまいます。ここからが、本書のもう一つの主人公、「ビーバー信者」の出番です。彼らは、必死でビーバーが再繁殖するように試行錯誤します。初期には、ビーバーをパラシュートで降下し、風に乗せればいい感じに分散するんじゃないかという、今では信じられないほど軽薄な試みが行われたこともあります(ちなみにこの降下作戦で命を落とした可愛そうなビーバーは1匹だけだったそうです)。ビーバーは、実はアメリカでは害獣だと考えている人も多いのですが、その対立をさけるべく、 あるビーバー信者 は、水は通すがビーバーは通さない「ビーバーデバイス」を発明し、人類とビーバーの共存の道を模索しています。

彼らの努力と、ビーバーの本来持つ異常な「建築欲」によって、ビーバーは少しずつ個体数を戻しました。その結果、驚くべきことに、数々の河川の治水が安定してきたことが判明しました(下図!)。近年、アメリカでは大型のハリケーンが襲来し、多大な被害をもたらしていますが、このビーバーによる治水が、人工のダムや人工河川にかわる治水として、いま大きな期待を寄せられてもいるのです。

本書を読めば、これまで「なんかカワイイ」ぐらいに思われていたビーバーが、
いかにヘンテコで、健気で、可愛そうでもあり、しかし救世主にもなるかもしれないという、とんでもなく興味深い生物であることがおわかりいただけるはずです。

(担当/吉田)

f:id:soshishablog:20220126113535j:plain

著者紹介

ベン・ゴールドファーブ

イェール大学の林学・環境学大学院で環境経営学修士号を取得。野生生物の管理と保全生物学を専門とする、数々の受賞歴に輝く環境ジャーナリスト。『サイエンス』、『マザージョーンズ』、『ガーディアン』など、数多くの出版物やメディアに寄稿している。

訳者紹介

木高恵子(きだか・けいこ)

淡路島生まれ、淡路島在住のフリーの翻訳家。短大卒業後、子ども英語講師として小学館ホームパルその他で勤務。その後、エステサロンや不動産会社などさまざまな職種を経て翻訳家を目指し、働きながら翻訳学校、インタースクール大阪校に通学し、英日翻訳コースを修了。

f:id:soshishablog:20220120161541j:plain f:id:soshishablog:20220120161551j:plain

Amazon:ビーバー 世界を救う可愛いすぎる生物:ベン・ゴールドファーブ著 木高恵子訳:本

楽天ブックス: ビーバー - 世界を救う可愛いすぎる生き物 - ベン・ゴールドファーブ - 9784794225566 : 本

「正確に読む」「工夫して伝える」が楽しくなる。花まる学習会のメソッドが詰まった問題集『考える力がつく 読解力なぞぺー レベルアップ編 小学3~4年』高濱正伸・竹谷和著

考える力がつく 読解力なぞぺー レベルアップ編 小学3~4年

高濱正伸・竹谷和 著

◆生きることの土台・学びのみなもとである「読解力」を育む

読解力の低下は、昨今、子どもだけでなく大人にも広がっていると、大きな注目を集めています。

ここでいう読解力とは、いわゆる文学作品の読解に限らないもので、教科書を読み解き、算数の文章題を間違いなく理解するといった、知識獲得や学習、問題解決、論理的思考などのために必ず必要な言語能力までを含みます。この能力の差は、学年が進むにつれて、さまざまな教科における学習成果に大きな差を生みます。また、社会へ出てからも、メールなどのテキスト・ベースで仕事を進めることが増えた現代において、読解力の欠如は、多くの場面で問題となりがちです。

読解力は、まさに「生きることの土台」「学びのみなもと」と言える能力なのです。

本書は、好評の『考える力がつく読解力なぞぺー〈小学2~3年〉』の続編。対象を小学3~4年として、前作より少しだけむずかしくなった分、問題の幅や深みが格段に増して、ずっと楽しいものになりました。

家紋の呼び名や、「パン」という言葉の語源、エスペラント語など、多くの子が初めて出会う面白い知識に関する問題から、料理のレシピ、図書館での本の貸出規則、遊園地からホテルへ早く着ける交通機関の選び方といった、身近に遭遇する場面を題材にした問題まで、さまざまなバリエーションのものが用意されています。

さらには、因果関係や事実関係の推定、三段論法の運用など、論理力・批判的に読み解く力を鍛える問題も掲載。「フェイクニュース」や、SNSの誤読・誤解による炎上などに巻き込まれないために、必要な能力を養います。

◆読むことが好きになると、高学年から重要となる自律学習が促される

高学年になると、知らない言葉を自分で調べたり、好きな本を読んだりして知識を得る、自律的な学習の比重が高まっていきます。このとき、読解力の差は、その後の学びに大きな差を生むことになっていきます。とはいえ、読解力は一朝一夕に高まるものではありません。

人気学習教室「花まる学習会」から生まれた『なぞぺー』シリーズは、子どもたちに「わかった!」という成功体験をしてもらうことで、どんな問題でも自分で解きたい、わかりたいという気持ちを育み、学習意欲を伸ばすことを目標としています。本書も、文章を読んで理解することの楽しさを、面白いパズル形式の問題を通じて体験してもらい、「もっと文章を読みたい」「新しい知識に触れたい」と、感じてもらうことを目指したもの。本書を通じて、楽しみながら読む事への前向きさを養い、一歩一歩実力を伸ばしてもらえたら幸いです。

(担当/久保田)

f:id:soshishablog:20220121164352p:plain

f:id:soshishablog:20220121164406p:plain

著者紹介

高濱正伸(たかはま・まさのぶ)

1959年、熊本県生まれ、東京大学大学院修士課程卒業。93年に、学習教室「花まる学習会」を設立。算数オリンピック委員会理事。著書に『小3までに育てたい算数脳』(健康ジャーナル社)、『考える力がつく算数脳パズル』シリーズの『なぞぺー1~3 改訂版』『空間なぞぺ~』『整数なぞぺー』『迷路なぞぺ~』『絵なぞぺ~』(以上、草思社)などがある。

竹谷和(たけたに・かず)

花まる学習会教材開発部所属。年中から中学3年生までの幅広い学年に対しての教材開発、そして各種教材/参考書出版にも携わる。毎年行われている「花まる作文コンテスト」統括、読書感想文講座の実施、研修等、講演会以外に「書くこと」についての楽しい経験を生み出すべく活動。主な著書に『作文・読書感想文 子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』(実務教育出版、高濱との共著)『考える力がつく 読解力なぞぺー』(草思社、高濱との共著)がある。

f:id:soshishablog:20220120162137j:plain f:id:soshishablog:20220120162147j:plain

Amazon:考える力がつく 読解力なぞぺー レベルアップ編 小学3~4年:高濱正伸・竹谷和著:本

楽天ブックス: 考える力がつく 読解力なぞぺ〜 レベルアップ編 〈小学3〜4年〉 - 高濱 正伸 - 9784794225580 : 本

2時間で読める西欧哲学入門『フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者』シャルル・ペパン 著、永田千奈 訳

フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者

シャルル・ペパン 著、永田千奈 訳

 本書は、映画にも出演するフランスの人気哲学者シャルル・ペパンが、西欧哲学者10人をコンパクトかつ通史的に紹介したベストセラー教科書です。
 取り上げられるのは、プラトン、アリストテレス、デカルト、スピノザ、カント、ヘーゲル、キルケゴール、ニーチェ、フロイト、サルトルの10人。
ギリシャ時代から近代までの哲学の流れが、面白いように理解できます。
思想家の内田樹氏は「2時間で読める西欧哲学入門。よほどの覚悟がないと書けない本だ」との推薦文を寄せてくださいました。
 そもそもフランスの高校では哲学が必修、バカロレアと呼ばれる大学入学資格試験では文系理系を問わず哲学の筆記試験が課されます。これは欧米の特にエリートにとって、哲学は不可欠な教養であるとの歴史的に根付いた考えがあってのことです。本書はフランスの老舗出版社フラマリオンが刊行している学生向けコレクションの一冊で、本国ではベストセラーになりました。
 現代の若者の悩みにそれぞれの哲学者の言葉を用いてアドバイスしたり、現代から見るとアウトな発言をあえて紹介するといった趣向もこらされています。
 哲学的教養が身に着けられるのはもちろん、「10人の哲学者」の別の可能性を想像してみるなど、知的好奇心を刺激させられる本書を、是非ご一読ください。

【目次】
まえがき

1 プラトン
2 アリストテレス
3 デカルト
4 スピノザ
5 カント
6 ヘーゲル
7 キルケゴール
8 ニーチェ
9 フロイト
10 サルトル

訳者あとがき

著者紹介
シャルル・ペパン(Charles Pépin)
1973年、パリ郊外のサン・クロー生まれ。パリ政治学院、HEC(高等商業学校)卒業。哲学の教鞭をとる一方、教科書、参考書のほか、エッセイや小説を多数執筆。映画館で哲学教室を開いたり、テレビやラジオ、映画に出演している。邦訳に『考える人とおめでたい人はどちらが幸せか 世の中をより良く生きるための哲学入門』『賢者の惑星 世界の哲学者百科』がある。

訳者紹介
永田千奈(ながた・ちな)
東京都生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒業。主な訳書にルソー『孤独な散歩者の夢想』、ペパン『考える人とおめでたい人はどちらが幸せか 世の中をより良く生きるための哲学入門』、ヴェルヴィッシュ 『スター・ウォーズ 善と悪の哲学』がある。

f:id:soshishablog:20220119135018j:plain f:id:soshishablog:20220119135031j:plain

Amazon:フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者:シャルル・ペパン 著、永田千奈 訳:本

楽天ブックス: フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者 - シャルル・ペパン - 9784794225573 : 本

濃厚接触を生業にする女性たちの「コロナ前」「コロナ後」を 濃密に描く出色のルポルタージュ!『コロナと風俗嬢』八木澤高明 著

コロナと風俗嬢

八木澤高明 著

 新型コロナウイルスは日本社会に多大な惨禍をもたらしましたが、とりわけ痛ましいのは女性の自殺が急増していることです。長引く「自粛」によって、飲食やサービス業など女性の比率が高い非正規雇用の仕事が失われたことが原因とされています。では、かねてより追いつめられた女性が当座の収入を得る最後の場所とされてきた風俗の世界は、このコロナ禍によってどのような状況になっているのでしょうか。本書は多年にわたって日本の色街を歩いてきたノンフィクションライターが、風俗の世界で働くさまざまな立場の人々に取材した迫真のルポルタージュです。
 2020年~21年にかけて、著者は吉原、鶯谷、ススキノ、伊香保温泉、梅田、飛田新地、和歌山・天王新地……といった場所を訪ね歩き、さまざまな年齢・立場の女性たちに話を聞きました。そして、各地で出会ったのは、思いのほかしたたかに危機に対峙する女性たちでした。コロナを機に風俗の世界から足を洗い、「デリヘルが私のことを救ってくれましたね。そこでいろんな人に出会って人生経験を積めたから、いまも昼間の仕事ができているんだと思っています」と前向きに語る女性がいるかと思えば、「『昼間の仕事がなくって大変だろう』とお金を送ってくれる人がいるんです。……(5人分)合わせると月75万円になります」と告白するソープ嬢もいます。長年SMクラブを経営している女性は売り上げの激減に悩みながらも、「(持続化給付金などの)国の補助金はいっさい受け取るつもりはないから関係ないです。そういうお金を受け取るとね、結局、税務署から目をつけられることになるから。極力目立たないようにやるのがいちばんだと思っています」と、この世界で長く生きてきた者としての矜持を口にしています。
 令和の時代にあっても、夫の暴力や家族の借金など本人の意思とは関係のないところで人生の濁流に巻き込まれ、風俗の世界の住人になることを選んだ女性は少なくありません。ですが、「人間は逆境のなかにあっても、その宿命に流されているだけの弱い生き物ではない」(本書「はじめに」より)ことを、彼女たちの知られざる戦いが証明しているようにも思えます。あたりまえだった日常が失われたとき、人はどう生きていくのか。保証なき日常を生きる女性たちの人生行路から、いくばくかの手がかりが見えてくるかもしれません。
(担当・碇)

【目次】
第1章 コロナとデリヘル女性経営者
売り上げが半減したSMクラブ
コロナのおかげで見つかった初のパート仕事
「数学の天才」がデリヘル嬢になったわけ
金魚を食べる困窮生活からキャバクラ、ソープ、AVへ
コロナに阻まれた風俗復帰
鶯谷の「その後」を見据える優子
一回八万円の超高級ソープ嬢の遍歴
…ほか

第2章 吉原の陰影
灯の消えた色街吉原
現役ソープ嬢が語る吉原のいま
コロナでソープを辞め、また戻ってきた真理子
ソープ三〇万、デリヘル四五万、男たちから一〇五万円
梅毒とコロナ
十歳から体を金に替えてきたフーミン
…ほか

第3章 クラスター発祥地、ススキノの夜
コロナの猛威がはじまった街
コロナ感染の疑いから一年、ふたたびススキノへ
最後の脱法売春地帯
北のアニキときしめん屋
自衛隊出身の人妻ヘルス従業員
水商売を支える花屋
元銀行員のソープ嬢めぐみ
…ほか

第4章 伊香保温泉とタイ人娼婦
売春を強いられたカンボジア人女性
外人通りの「スナック夢」
新潟から来た遊女、タイから来た娼婦
大学出の元ホテル従業員と元教師
離婚をきっかけに海外をめざしたメイ
休業するホテルと常連客が支えるスナック
…ほか

第5章 天王新地の娼婦と梅田のたちんぼ
地方の風俗街はどうなったのか
天王新地の娼婦アヤと座敷童
大阪の待ち合わせスポットで客をとる女性
マッチングアプリでたちんぼに会う
妖怪と女子高生の売春グループ、そして杏梨の場合
飛田新地、松島新地と兎我野の夜
…ほか

著者紹介

八木澤高明(やぎさわ・たかあき)

1972年神奈川県横浜市生まれ。ノンフィクションライター。写真週刊誌カメラマンを経てフリーランスに。『マオキッズ 毛沢東のこどもたちを巡る旅』で第19回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。2000年代初頭から日本各地の色街を追いつづけ、『黄金町マリア 横浜黄金町 路上の娼婦たち』『娼婦たちから見た日本』『色街遺産を歩く』『青線 売春の記憶を刻む旅』『日本殺人巡礼』など著書多数。

f:id:soshishablog:20211217103821j:plain f:id:soshishablog:20211217103830j:plain

Amazon:コロナと風俗嬢:八木澤高明 著:本

楽天ブックス: コロナと風俗嬢 - 八木澤 高明 - 9784794225467 : 本

気分はいつまでも「おじさん」、でも身体の内外では確実に老化が進行していた!?『自分がおじいさんになるということ』勢古浩爾 著

自分がおじいさんになるということ

勢古浩爾 著

■思いのほか愉しい「老いのリアルな日々」が綴られる

 自分の身体が老いていく不安、老後のお金の不安、老後の孤独の不安…高齢化が進む中、老後に対する不安を数え上げればきりがありません。
 本書は、そうした老後に対する不安を抱えている人たちに向け、実際に74歳という押しも押されもせぬ“おじいさん”になった著者が、自分が老いていくリアルな過程を通して、年寄りになったらなったでそう悪くもなく、思いのほか毎日結構楽しいものだということを伝える一冊です。
 本書の中で著者は、「いまこの歳になって、わたしは『ただ生きているだけで楽しいんだよ』という感覚を、ほんとうに手にいれた」と断言し、「いまでは晴れても雨が降っても楽しい。歩くことも、自転車に乗ることも楽しいのである」と、毎日の瞬間瞬間を「生きている」実感が、そのまま充実感や幸福感につながっていることを教えてくれます。

■老後は自分の「楽しい」ことだけすればいい

 3年前に脳梗塞で倒れ、大好きだったタバコを止め、きちんと薬を飲む日々を送っている著者。病気と付き合いながらも、自分なりに究めた「小さな楽しみ」「小さな幸せ」を多数紹介します。
「もう多くの人とワイワイガヤガヤやりながら、交流を楽しみたいという欲求がまったくない」と言うだけあって、著者の好きなものは、自転車、散歩、一人旅、DVD映画鑑賞、喫茶店、読書…など、基本的に一人で楽しめるものばかり。
 本書を読めば、老後はもう誰憚ることなく、自分の自由に生きていいんだと、背中を押される気持ちがして、老後不安のモヤモヤが払拭されること間違いありません。
 ぜひ多くの方に手に取っていただければ幸いです。

(担当/吉田)

■目次より
第1章 「生きているだけで楽しい」という老年
「末期の目」から生を見返してみる    
息をするだけでこんなにも嬉しい        
「生きる元素」としての自然元素    
自然元素と人間元素は人間の理想郷        
養老孟司のMoreとHere & Now     
物欲は人間をしあわせにしない        
根本は「自然元素」、その他は全部おまけ    
「生きているだけで楽しい」は年寄りにとって盤石の土台    
    
第2章 それでもやはり健康一番、お金は二番
思いどおりの凡庸な人生    
求めるのは心の平安        
白内障でわかった「白」のすごさ    
健康一番、お金は二番とわかってはいるが    
歳をとって病気になると、生きること自体が仕事になる 
自分の死、人の死        

第3章 ワクワク自転車、ウキウキ歩き
自転車は年寄りに最適の乗り物    
わたしが自転車に乗る理由        
伊藤礼の『大東京ぐるぐる自転車』    
新しい自転車に感動した        
逆にママチャリに感謝    
あわや大惨事        
ウォーキングは「8000歩/20分」+自己流で    
町の達人にどうしても追いつけない        
八十歳の石川文洋の日本縦断歩き旅    

第4章 またときめきの奈良へひとり旅
定年退職者のありふれたセンチメンタルジャーニー 
母親の故郷の奈良    
うましうるわし奈良へのひとり旅        
映像作家・保山耕一氏の「時の雫」は最良の癒やしである    
沢木耕太郎の『江戸近郊道しるべ』を歩く    
荷物は少なく、生活は小さく    
ああ、青春の欧州ヒッチハイク旅        

第5章 映画と写真と絵画と
半年間、映画を見つづけた    
食わず嫌いには理由がある        
韓国映画に度肝を抜かれる    
カメラ好き? 写真好き?        
もうコンパクト・デジカメで十分だ    
ソール・ライターの写真        
一番好きなワイエスの絵画    

第6章 喫茶店で音楽を聴きながら外を見る
好きでなかった「ジャズ」を聴く        
わたしの十五パーセントはポピュラー音楽でできている
だんだん世間の流行り事に興味がなくなっていく
コンテンツも容器も品質が低劣    
中島みゆきの「ベスト10」をつくる        
喫茶店から外を見るのが好きだ    

第7章 死ぬまで読書
最高の「心の元素」としての読書        
いまや作家も主人公もみんな年寄りばかり    
後続作家に期待する        
読みたい本が続々出てくる    
わたしはわたしに従う        
楽しくなければ「しなくて」いいのだ    
なんと幸運な人生

著者紹介

勢古浩爾(せこ・こうじ)

1947年大分県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。洋書輸入会社に34年間勤務ののち、2006年末に退職。市井の人間が生きていくなかで本当に意味のある言葉、心の芯に響く言葉を思考し、静かに表現しつづけている。1988年、第7回毎日21世紀賞受賞。著書に『定年後のリアル』シリーズ、『結論で読む幸福論』(いずれも草思社)、『最後の吉本隆明』(筑摩書房)、『ウソつきの国』(ミシマ社)、『定年バカ』(SBクリエイティブ)、『人生の正解』(幻冬舎)など多数。

f:id:soshishablog:20211209132000j:plain f:id:soshishablog:20211209132100j:plain

Amazon:自分がおじいさんになるということ:勢古浩爾:本

楽天ブックス: 自分がおじいさんになるということ - 勢古 浩爾 - 9784794225542 : 本