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ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

鉄道ファン、電車通勤の人、不動産関係者など、必読!

最新 東京圏通勤電車事情大研究

川島令三著

小社より1986年に刊行された著者の初の著書、『東京圏通勤電車事情大研究』は、通勤電車の問題に初めて本格的に取り組んだ試みとして大きな反響を呼びました。それから約30年がたち、新線の開設、相互直通運転の増加など、通勤電車事情が様変わりした今、全ページ書き下ろしの最新版として、本書が刊行されることとなりました。

◆運転本数を1時間に24本程度に減らせば、ノロノロ運転は解消できる!

本書は「パート1 テーマ別総点検」と「パート2 各線別徹底研究」からなります。

パート1では、

「混雑はどこまで緩和されたか?」

「スピードアップされた路線は?」

「通勤ライナーや私鉄特急などの着席サービス事情」

「改札機にタッチせずに、持っているだけで改札を通過できるスイカ・パスモの将来構想」「電車が高速化されれば、遠隔地でも快適通勤ができる」

「東京オリンピックで首都圏の鉄道はどう変わるか?」

など、興味深い最新トピックが並んでいますが、著者の問題提起の中でとりわけユニークなのは、「運転本数を1時間に24本程度に減らして、ノロノロ運転を解消せよ」というものです。

たとえば、京王線では朝ラッシュ時と昼間時では所要時間に倍近くの開きがあります。朝ラッシュ時の運転本数は1時間に30本。これでは過密すぎて停車時間が伸び、電車は数珠つなぎになってしまいます。そこで著者は、「運転本数を減らし、多少混雑率が上がってでも所要時間を短縮すべき」と言うのです。これは、従来にはない斬新かつ有用性の高い提案であり、将来実現すれば、毎日の通勤はよりスピーディで快適なものになるはずです。

◆相変わらず混雑している路線の緩和策は?

パート2では、総武線・中央線・埼京線・東海道線などのJR線から、京王線・小田急線・西武線・東武線などの私鉄、東京メトロ・都営線などの地下鉄まで、東京圏全58路線ごとに、「混雑率」「定期客の1日平均の流れ」「ダイヤ事情」「将来性」などを検討します。電車が空いている時間帯や、急行の本数が多い時間帯、将来、各路線がもっと速くて便利になるための数々の提言など、必見の内容です。

たとえば混雑率は、全体的にはかなり緩和されているものの、相変わらず混雑している路線もあります。JR埼京線、地下鉄東西線、田園都市線などです。これらの路線の混雑緩和策について、たとえば田園都市線に関しては、大井町線の急行を目黒線に直通させることを提案しています。

将来計画については、第一に、相鉄のJR・東急直通線の建設があげられます。近々完成する上野東京ラインにも大きな期待が寄せられています。JRの羽田空港アクセス新線の建設もオリンピックまでに間に合いそうです。豊洲―住吉間の有楽町線分岐線の建設も動きだしそうな気配です。

鉄道ファンはもちろん、電車通勤の人、引っ越しを考えている人、不動産関係者など、必読の一冊です。

著者略歴

川島令三(かわしま・りょうぞう)

1950年、兵庫県生まれ。芦屋高校鉄道研究会、東海大学鉄道研究会を経て「鉄道ピクトリアル」編集部に勤務。現在、鉄道アナリスト。小社から1986年に刊行された最初の著書『東京圏通勤電車事情大研究』は通勤電車の問題に初めて本格的に取り組んだ試みとして大きな反響を呼んだ。著者の提起した案ですでに実現されているものがいくつかある。著書は上記のほかに『全国鉄道事情大研究(シリーズ)』『関西圏通勤電車徹底批評(上下)』『なぜ福知山線脱線事故は起こったのか』『東京圏通勤電車 どの路線が速くて便利か』『鉄道事情トピックス』(草思社)、配線図シリーズ『全線・全駅・全配線』(講談社、続刊中)など多数。

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