草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

なぜ日本人は文章が苦手なのだろうか。

文章読本の名著90冊から抽出した 究極の文章術

ひらのこぼ著

著者はもともと広告会社のコピーライターを長年年勤めた方ですが、大学は畑違いの理工系出身で入社以来、文章を書くのにとても苦労しました。その弱点を補うため、これまでいろいろな文章読本の類を手に入れて参考にして来ました。この本はその成果です。

国会図書館等で調べると日本でこれまでに出た文章術や文章読本は1000冊は優にあるそうです。なぜ日本人はこれほど文章読本が好きなのか、文章を書くことに苦手意識があるのか、実に不思議な気がします。

たぶん、戦後教育の弊害とか、日本語特有の問題などが関係していると思われますが、「ええい面倒くさい。手っ取り早く文章が上達したい」と思われる方は多いと思います。この本はそんな要求に応えて発想された本です。古今の名著を集めて、一冊ずつ読むより「結局どういうことなの、結論は」という「いいとこどり」の精神で、さまざまなノウハウを伝授してくれます。

著者が以前より参考にしたという『知的生産の技術』(梅棹忠夫)『論文の書き方』(清水幾太郎)『日本語の作文技術』(本多勝一)などの古典的名著から最近のベストセラーまで、今回本にするために目を通したものは400~500冊ぐらいありますが、最終的に90冊に絞って、そのエッセンスを一冊にまとめてみました。

 実は文章といってもメール、手紙からビジネス文書、論文、エッセイなどさまざまなジャンルがあってノウハウは自ずと違うはずですが、90個あればどれか役に立つはずと考え、本書ではあえて目的別にはしていません。発想、構成、表現、説得という4章の中にきっと役に立つ知恵、ヒントがあるはずです。

「ともかく書きはじめよ」(渡部昇一『続知的生活の方法』、自身が大学で論文を書いた時の経験から、書いていくと論理の欠点や新たに調べなけれえばならないことが発見されるので)。

「まずは文章の燃料を」(井上ひさし『自家製文章読本』、だれに向かって何を書くかをギリギリまで絞り上げると、書くための力が生まれる)。

「考えるスピードで書く」(加藤諦三『文章の書き方・考え方』、文章が整っていなくてもまず思いついたことを書いてみる。体裁や構成はあとで整える)。

「文章の品格」(谷崎潤一郎『文章読本』、饒舌にならない、丁寧な正しい言葉、敬称などを粗略にしない、など)。

 一例をあげてみましたが、どれも参考になりそうではないですか。文章を書くのに行き詰まったとき、本書を開いて読んでみてください。著者が面白く要領よくまとめてくれているので、どれかピッタリくるヒントがあるはずです。

著者略歴

ひらのこぼ

昭和23年京都生まれ。大阪大学工学部卒業。汽船会社設計部を経て昭和48年、広告制作会社へコピーライターとして入社。広告・販促企画・制作のほか、家電、食品、住宅、住宅設備メーカーなどのPR誌やブックレット、社史などの編集制作に携わる。『俳句がうまくなる100の発想法』『俳句発想法歳時記』(いずれも草思社文庫)、『俳句開眼100の名言』(草思社)など俳句関係の著書も多数。俳人協会会員。奈良在住。

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