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『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』刊行記念! ビジネスパーソンのための超速『鬼谷子』講座 第二回「人を動かす前にやるべきこと」 『今日からヒラ社員のオレが会社を動かします。』高橋健太郎著

 前回、「週一回のペース」と書いたのにいきなり遅れて申し訳ありません。ゴールデンウィークがあるのを忘れていました(笑) みなさん、楽しい時間をお過ごしになられましたでしょうか?

 では、さっそく超速『鬼谷子』講座第二回。今回は『鬼谷子』の説く「人を動かす前にやるべきこと」をご紹介したいと思います。

・すべては「観察」に始まる
 前回書いたように『鬼谷子』の術というのは、自分を安全圏に置きながら、人を動かす術です。
 では、そのためにまず、何をするべきか?
 『鬼谷子』が何よりも重視するのは、自分の置かれた状況の観察です。とにかく周りを観察して、観察して、観察しまくる。その観察が深ければ深いほど、自分の被るリスクは減り、人を動かせる確率は増すのです。

 観察なくして人を動かすのは不可能です。
 仮に、たまたま動かせたとしても、「思わぬ人物の出現」「思わぬ周囲からの評判」「思わぬ事態の成り行き」など、必ずリスクが出てくるもの。それは、『鬼谷子』の術が最も避けようとするところです。

・観察するのは「情勢」と「心」
 では、何を観察するべきか?
 『鬼谷子』では次の二つを観察せよ、と説きます。

1周囲の情勢……誰が偉いか、誰が優勢か、誰が有能か、誰と誰の仲がいいのか、どんな派閥があるか、などなど。この観察を『鬼谷子』では「量権(りょうけん)」と言います。

2周囲の人間の心……動かす相手が、何を好むのか、何を嫌うのか、などを観察する。この観察を『鬼谷子』では「揣情(しじょう)」と言います。とくに相手の抱える狙い(「事」)を知ることができるかどうかは、生命線。

 『鬼谷子』の術において大切なことは、この観察が単に「見る」のとは違うということ。周囲を黙って見ていても、そこからわかることはたかが知れています。
 そうではなく、『鬼谷子』の観察とは、周囲と話すことでより深い情報を探る「動的な観察」なのです。

・すべては話すことで明らかになる。
 『鬼谷子』では、すべての物事は「反覆(はんぷく)」の中で明らかになっていくと説きます。

 「反覆」とは簡単に言えば、こちらからの「投げかけ」とそれに対する「フィードバック」のこと。そして、その「反覆」の中でも、最も重要だと言われるものが「話しかける」と「返事がくる」で成り立つ「会話」という行為。

 つまり、『鬼谷子』の術とは、言葉で観察し、言葉で人を動かす術なのです。
 『鬼谷子』には、「情勢」と「心」の観察のための術がいくつも説かれています。ただし、ここで解説するのはさすがにスペース的にも厳しいので、詳しく知りたい方は、ぜひ『今日ヒラ』をご参照いただければ、と思います。結局宣伝になってしまいますが(笑)。

 今回は、人を動かすためには事前の観察が重要だ、『鬼谷子』の教えを紹介しました。
 観察が終わったら、次に問題になるのは、どのようにして人を動かすか? でしょう。
 そこで、次回は、それについての『鬼谷子』の教えをご紹介しようと思います。

(筆者:高橋健太郎)

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