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元米大統領の大著をもとに、まったく新たな第二次世界大戦像を提示! 『誰が第二次世界大戦を起こしたのか』渡辺惣樹 著

誰が第二次世界大戦を起こしたのか

――フーバー大統領『裏切られた自由』を読み解く

渡辺惣樹 著

 本書は、第31代アメリカ大統領ハーバート・フーバー(任期1929~1933)の大著『裏切られた自由』を翻訳した渡辺惣樹氏が、同書の読みどころを紹介しながら、新解釈の「第二次世界大戦史」を提示する本です。『裏切られた自由』はフーバーが20年の歳月をかけて第二次世界大戦の経緯を詳細に検証した記念碑的な歴史書で、日本語版の上巻が本書と同時に刊行されました。この大著を翻訳した著者・渡辺氏は北米在住、日本開国以来の日米関係を新たな視点でとらえた著作群が高く評価されている近現代史研究家です。2013年に小社より刊行された『日米衝突の萌芽1898-1918』で第22回山本七平賞奨励賞を受賞しています。
 アメリカが全体主義国と戦った「正義の戦争」という従来の大戦史観とはまったく異なる視点から第二次世界大戦を記述したフーバー元大統領ですが、渡辺氏は「フーバーは自身の感情を抑え、可能なかぎり『資料に語らせる』ことを心掛けて『裏切られた自由』を書き上げた」と書いています。世界各国の政治指導者、また軍関係者とも直接やりとりできる立場にいたフーバーの記録は第一級の史料と呼ぶにふさわしい価値があります。本書はその『裏切られた自由』をより深く理解するための格好の解説書であり、同時に、同書の克明な記録をもとに「始まりも終わりも腑に落ちないことばかり」(本書より)だった第二次世界大戦の謎に迫る意欲作でもあります。
 第二次世界大戦をめぐる数々の疑問、たとえば、なぜあのタイミング(1939年9月)で大戦が始まったのか、なぜアメリカは恐怖政治の首魁スターリンと手を結んだのか、なぜ日本側の必死の対米和平交渉は実らなかったのか、そして、二度目の世界大戦という悲劇的な事態を招いた最大の責任は誰のどのような意思決定にあったのか――。こうした疑問に本書は明快な答えを出しています。その答えは、ぜひ本書および『裏切られた自由』をお読みいただきたいのですが、間違いなく言えるのは、フーバーの提示した論点に触れずして第二次世界大戦を語ることはもはやできない、ということです。これまでの歴史認識にラディカルな変更を迫る一冊です。

(担当/碇)

本書より

 フーバーはスタンフォード大学で鉱山学を学んだ技術系の人物であった。それだけに歴史の細部をおろそかにしなかった。同時に一次資料を重視した。F・D・ルーズベルトの進めた外交の全貌をなんとしても正確に把握し、それを世に知らしめたかった。その気持ちが『裏切られた自由』を大著にした。……著者もフーバー同様に歴史は細部に宿ると信じている。日本の戦後教育を受けた者にとっては驚くべき事実が、フーバーが見逃さなかった歴史の細部にちりばめられている。ぜひ、ゆっくりと時間をかけてそれらを読みとってほしいと思っている。

 著者紹介

渡辺惣樹(わたなべ・そうき)
日本近現代史研究家。北米在住。1954年静岡県下田市出身。77年東京大学経済学部卒業。30年にわたり米国・カナダでビジネスに従事。米英史料を広く渉猟し、日本開国以来の日米関係を新たな視点でとらえた著作が高く評価される。著書に『日本開国』『日米衝突の根源1858-1908』『日米衝突の萌芽1898-1918』(第22回山本七平賞奨励賞受賞)『朝鮮開国と日清戦争』『アメリカの対日政策を読み解く』など。訳書にマックファーレン『日本1852』、マックウィリアムス『日米開戦の人種的側面 アメリカの反省1944』など。

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