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その目の異常、「心の叫び」かもしれません!『心をラクにすると目の不調が消えていく』若倉雅登 著

心をラクにすると目の不調が消えていく

若倉雅登 著(井上眼科病院 名誉院長・心療眼科医)

■目からの警告サインを無視してはいけない!

 まばたきが増える、まぶしい、目が痛い、急激な視力低下……。目に明らかな不具合があるのに、眼科の検査では異常が見つからない。最近こうした原因不明の目の不調を訴える人が増えています。重症化するとまぶたがうまく開閉できない、光がまぶしくて室内でもサングラスをかけざるを得ない、目を少し動かすだけで吐き気がするなど、日常生活に支障をきたすほど深刻な状態となると言います。
 著者は、その原因が、「眼球」自体にはなく、視覚を司る「目と脳の連携システム」にあると指摘します。いったい「目と脳の連携システム」に何が起こっているのでしょうか。

■脳の働きが落ちると、なぜ目と心に不具合が出るのか

 私たちは普段、無意識のうちに目と脳が緻密に連携することによって、「ものを見る(判断する)」ということをしています。しかし、近年「目」をめぐる環境は激変し、近距離でのスマホタブレットの長時間の使用により、私たちの目はつねに、人工的な強い光と人工画像による強い刺激にさらされるようになったのです。
 今や目から脳へと入る情報量はかつてないほど膨大になり、そのため脳に過度なストレスがかかっているというのです。そして、目と脳の酷使により、脳の働きが落ちているのです。
 著者によれば、脳の働きが落ちることで、目と脳の連携システムに不具合が出て、目や目の機能が低下したり、精神状態が不安定となり、うつの症状が出ることもあると強く警鐘を鳴らします。そのため普段からの「目の使い方」の見直しが急務だと言います。

■目の使い方を見直し、人生の質を向上させる

 本書は目の不調に悩む方に向け、眼科で診断がつかない症例を数多く治療してきた神経眼科・心療眼科の第一人者である著者が、目と脳との関係に踏み込んで、不調の根本原因をやさしく解きほぐします。さらには、「きょろきょろ運動」や「視環境の整え方」など、普段から目と心を健康に保つ秘訣や方法などもわかりやすく教えてくれます。
 ぜひ多くの方に知っていただければと願っております。

(担当/吉田)


■目次
1章    あなたの目と脳は疲れ切っている
・急増する原因不明の目の不調 
・ものは眼球だけで見ているわけではない 
スマホで人間の視環境が激変 
・目からの情報過多は脳への負担を増やす 
・ものを見るプロセスは脳に入ってからが本番 
・目と脳の深いつながり 
・脳のバランス制御システムを崩しやすい現代社会 
・目の疲れや痛み、不快症状は脳から来ている 
・心療眼科的アプローチの重要性

2章    あまりに目を酷使する現代人の悪習慣
スマホで目の使い方が単一に 
・近視化した状態はすぐには戻らない 
・過剰な近見は自律神経のバランスも崩しやすい 
スマホが目に悪いのは「光」のせいでもある 
・「まぶしい」と訴える患者さんが一番多い 
・視機能のパターン化は脳のエネルギーを奪う? 
・子どものスマホ依存、ゲーム依存はとくに危険 
・新たな現象「スマホ内斜視」「子どもの心因性の視力低下」 
・目の持久力の低下、集中力の低下が問題 
・眼精疲労は単なる目の疲れではない 
・目からの警告サインを無視してはいけない 
・見え方の質の低下は心の不調に直結する 

3章    目の不調の裏にある心の異常
・感覚で感じる不調は数値化できない 
・心療眼科で扱うもの 
・「視野が狭い」の背景に隠れていたのは? 
・心の叫びが視力低下につながることがある 
・生活の質も心の質も低下する目の病気「眼瞼けいれん」 
・視界にノイズが生じてしまう「小雪症候群」 
・原因不明の現代病はすべてつながっている? 
・心を元気にするための薬が目の不調をつくっている 
・薬の影響と眠れないことへの恐怖 

4章    心がラクになると、目も癒える
・疲れたら思い切って休む、心の叫びを無視しない 
・ストレスへの耐性を少しでも上げていく 
・自分にあった明るさ、視環境をつくろう 
・きょろきょろ運動で目と脳の使い方に変化を 
前頭葉を活性化させよう 
・自分の症状に納得することの大切さ 
・むずかしい病気との付き合い方 
・生体リズムを尊重し、自然回復力を取り戻す 
・睡眠不安、睡眠依存から抜け出そう 
・弱音を吐く、自分をほめる 
セーフティネットが心の安寧をもたらす 

5章    視界良好、快適な目が人生の質を向上させる
・目も老いる 
・老眼だけではない、目の加齢変化 
・症状にとらわれない、こだわらない 
・病気も人生も俯瞰すると気持ちがラクになる 
・「医者任せ」をやめてみる 
・患者と医師のあるべき関係 
・病気に人生を振り回されてはいけない 
・大事にしたい「後ろに前進する」という考え方

著者紹介

若倉雅登(わかくら・まさと)

井上眼科病院名誉院長。1949年東京生まれ。80年北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年井上眼科病院院長、12年から現職。07年より日本心療眼科研究会共同代表、14年NPO法人目と心の健康相談室を立ち上げ、現在副理事長。その他東京大学非常勤講師、慶應義塾大学非常勤講師、北里大学客員教授日本神経眼科学会理事長を歴任。現在は井上眼科病院で神経眼科、心療眼科を専門とした予約診療、眼球使用困難症調査研究(厚労省)に関わるほか、著作、講演、相談室や患者会などでのボランティア活動を行っている。

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