草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

ドラフトでチームはここまで変わる! 『挫折と覚醒の阪神ドラフト20年史』小関順二 著

挫折と覚醒の阪神ドラフト20年史

小関順二 著

長年「失敗ドラフト」を繰り返してきた阪神は、いつ、どのようにして甦ったのか?

 昨シーズン、38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガースには、長く苦しい冬の時代がありました。即戦力として獲得したはずの投手はなかなか機能せず、スタメンには他球団から獲得したベテラン選手が目立つ――。そんなシーズンが長いこと続いていたのです。それが今やどうでしょう。スタメンにはドラフト上位指名の若手が並び、投打ともに12球団屈指のタレント集団へと変貌を遂げているのです。
 阪神はいつ、どのようにして生まれ変わったのでしょうか。本書は「ドラフトがチームを変える」をモットーに2000年以降、12球団の全指名選手について年度版『プロ野球 問題だらけの12球団』でレビューし、同時に各球団のチーム編成についても詳細に観察してきた著者が、当時の自身の記述を振り返りつつ阪神のチーム作りの変遷をたどる一冊です。
 ドラフトにおいては、即戦力(大学生・社会人)か将来性(高校生)重視か、投手か野手か、という究極の選択があるわけですが、著者はいずれにしても「ドラフト1位で将来の主軸を構成する」という方針をいかにブレずに貫けるかがチームの浮沈のカギを握る、と述べています。
 そして、この点において注目に値するのが、監督就任にあたって「ドラフトですぐ使える便利屋のような選手を多く取る球団の体質が、生え抜きが育たない要因」と喝破した金本知憲氏による「改革」なのです。監督として大きな結果を残すことはできませんでしたが、阪神のドラフト指名の傾向を検証したとき金本監督の功績は明らかです。本書では、同氏の監督就任以前と以後でどんな変化が起こったか、そしてチーム力がどうなったかを検証していますが、そのあまりの違いに驚かれる方も多いかもしれません。
 プロ野球チームという研ぎ澄まされた才能の持ち主が集う人間集団の編成において、「絶対的な正解」があるはずはありませんが、問題の根本に向き合って生まれ変わった阪神タイガースの軌跡は、やはり球史に残る歩みではないかと思えます。プロ野球をより深く楽しむために、ぜひお読みいただきたい一冊です。

(担当/碇)

 

【目次】

第1章 大転換――ドラフトでチームはここまで変わる 
金本知憲の監督就任を境に激変した阪神ドラフト 
「野手の1位指名」が意味するもの 
スタメンに名を連ねる「ドラフト1位の野手」たち 
大学生&社会人出身で形成された強力投手陣 
高校卒投手の活躍が少ないのは阪神の伝統か
レギュラー野手に高校卒は何人いればいいのか
ドラフト1位投手が主力になれないのはなぜか 
球界の流れに乗り遅れていた阪神とオリックス 
ウエイトトレーニングがもたらした変化 
常勝軍団を作るための土台 

第2章 暗中模索からの起死回生――2000年からのチーム作りを再検証
チームを蝕む「伝統」の呪縛●2000年版の指摘● 
「小技の2番タイプ」を上位指名する伝統/投手は線の細いスレンダー志向

「名将」野村克也の挫折●2001年版の指摘● 
大物外様監督の明と暗/慢性的な攻撃力不足を招いた投手偏重ドラフト/「再生工場」は稼働せず、即戦力ドラフトも不発

「劇薬」投入●2002年版の指摘● 
監督就任直後から圧倒的なスカウト力を発揮/野村と星野、監督として何が違ったのか/井川慶の本格化で急激な新旧交代が勃発

引き継がれない「強さ」●2003年版の指摘● 
優勝監督・星野が遺した「負の遺産」/スタメンにドラフト上位指名選手が少なすぎる
分離ドラフトで失われた高校卒選手への「嗅覚」

「冒険心」なきチーム作り●2004年版の指摘● 
新戦力の抜擢が上手い岡田新監督/主力と同ポジションの大物アマ選手を獲得する伝統/少なすぎる「生え抜き高校卒」投手

阪神フロントの問題点とは?●2005年版の指摘● 
球界再編騒動の余波/進まない野手の世代交代/JFKの奮闘

岐路となった分離ドラフト●2006年版の指摘● 
広がるセ・パの戦力差/セ・リーグの低迷は高校生ドラフトの失敗から始まっている/セの低迷を象徴する阪神のドラフト下手

ドラフトとファームを軽視してはいけない●2007年版の指摘● 
「育成+抜擢」のサイクルが喪失/井川慶のメジャー流出で投手陣が弱体化

「急場しのぎ」の代償●2008年版の指摘● 
なぜ高校生を上位指名すべきなのか?/歴史的な「V逸劇」を演じて監督交代へ

失われたチーム像●2009年版の指摘● 
「ガス欠」を招いたビジョンなき編成/「育成する時間はない」という言い訳/思想が感じられないドラフト指名

「外人部隊」の役割とは?●2010年版の指摘● 
生え抜き選手はスタメンに2人だけ/3年連続で「即戦力投手」を1位指名

俎上にのぼった「編成の問題」●2011年版の指摘● 
坂井信也オーナーの「叱責」/統一球の登場で化けの皮が剝がれる/本塁打を打っているのは移籍選手と外国人

「守秘義務」を徹底すべし●2012年版の指摘● 
「本当は高橋周平を獲りたかった」/外れ1位で指名するのは「無難な技巧派」タイプ
/33年ぶりの大物、藤浪晋太郎の獲得

藤浪という「起爆剤」●2013年版の指摘● 
藤浪晋太郎賛歌/解消されないレギュラー野手の高齢化問題/ドラフトで3人の「成功選手」を獲得

育成か勝利か●2014年版の指摘● 
高校生に投資すると言った楽天トップ/ドラフト1位、2位、4位で社会人の投手を指名

慢性化した貧打●2015年版の指摘● 
鳥谷敬の後継者問題/「走攻守」という呪縛

ドラフト改革の始まり●2016年版の指摘● 
金本知憲監督の改革がスタート/大器・藤浪晋太郎の挫折/金本の「厳しさ」、その功罪

チーム作りの「理想と現実」●2017年版の指摘● 
「超変革」が意味していたもの/糸井嘉男獲得で露呈したフロントの不安/青柳晃洋の覚醒

新旧交代の狭間で●2018年版の指摘● 
ドラフト改革の成果が見え始めた/23年の日本一を呼び込んだ「18年ドラフト」

「金本路線」の継承●2019年版の指摘● 
「70点をめざす指名」への後退はありえない/建て直しも瓦解も「8年」が目安

将来を見据えた指名とは?●2020年版の指摘● 
育成ドラフトに対する姿勢/驚異の「20年ドラフト組」にも高校生は1人だけ

オリックスの変化から何を学ぶか●2021年版の指摘● 
新型コロナウイルスの余燼が燻る中での異例のシーズン/ドラフトでチームを変えるために必要な時間

スケール感を増すチーム●2022年版の指摘● 
大山悠輔の成長から生まれた好循環/記録的連敗でもCS出場まで持っていく地力

充実した戦力だが、課題も●2023年版の指摘● 
WBCの主力メンバーから見えてくる阪神の課題/ドラフトでチームを甦らせた阪神

第3章 未来の担い手 
2023年のドラフト1位指名から見えてくること 
独立リーグで野球をするメリット 
2人の高校卒遊撃手への期待 
下位指名「即戦力」投手の特徴 
育成指名2選手のポテンシャル 
受け継がれる「金本メソッド」 

阪神ドラフト〈成功選手〉年表 

 

著者紹介

小関順二(こせき・じゅんじ)

スポーツライター。1952年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。2000年より年度版として刊行している『プロ野球 問題だらけの12球団』シリーズのほか、『プロ野球 問題だらけの選手選び─あの有名選手の入団前・入団後』『甲子園怪物列伝』『「野球」の誕生 球場・球跡でたどる日本野球の歴史』(いずれも草思社)、『ドラフト未来予想図』(文藝春秋)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社+α新書)、『間違いだらけのセ・リーグ野球』(廣済堂新書)、『大谷翔平 奇跡の二刀流がくれたもの』『大谷翔平 日本の野球を変えた二刀流』(いずれも廣済堂出版)など著書多数。CSテレビ局スカイ・A sports+が中継するドラフト会議の解説を1999~2021年まで務める。同会議の中継は20年度の衛星放送協会オリジナル番組アワード「番組部門中継」の最優秀賞を受賞。15年4~7月に、旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で行われ好評を博した「野球と鉄道」展の監修を務める。

Amazon:挫折と覚醒の阪神ドラフト20年史:小関順二 著:本

楽天ブックス: 挫折と覚醒の阪神ドラフト20年史 - 小関 順二 - 9784794226914 : 本

初めての大人向け「ナナフシのすべて」。これはすごい。 『不思議の虫ナナフシ ヘンな虫のヘンな暮らし』海野和男 写真 伊地知英信 文

不思議の虫ナナフシ

――ヘンな虫のヘンな暮らし

海野和男 写真 伊地知英信 文

 本書はナナフシという虫についての本である。枯れ枝そっくりの細い身体を持ち、樹木や葉っぱの中に紛れ込んでいるのでよく見えない。一種の擬態の名人である。
 ナナフシというのは通称で、正式にはナナフシモドキとかカレエダナナフシというのが種名である。これまでナナフシについて書かれた本は2、3の児童向けのものはあったが(絵本のような)、本格的な大人向けの本は本書が初めてである。
 実はナナフシは日本に普通にいるし、身近にもよくいる虫なのである。日本に20種ぐらい、世界には2000種ぐらいいる。この本には内外100種ぐらいの写真が収められている。目立たないのであまり着目されていないだけで、面白い形態、面白い生態を持った昆虫である。昆虫写真家としては第一人者の海野和男氏によるカラー精細写真160点が収められている。日本及び世界各地で撮影された驚くべきバリエイションのナナフシ類の写真が先ず驚異である。日本では地味で目立たないと言ったが、東南アジアやニューギニアではとんでもない形のナナフシがいる。マレーシアに棲むセラティペスオオトビナナフシという種は手足を伸ばすと50センチを超え、世界最長の昆虫である。パプア・ニューギニアで見つけたゴライアスオオトビナナフシなどは世界最重量の昆虫である。世界最長も世界最重量もナナフシなのである。
 生態は単為生殖でオスが見つかっていないものも多い。死んだふり――擬死が得意、危機になると足を切り離す自切をするがまた生えてくる。一般に翅はないのだが、ときに突然大きな派手な翅を広げる種もあり、威嚇のためという。体に大きなとげとげを持つ種もある。熱帯の種は、おとなし気な日本のナナフシに比べ総じて派手である。
 基本、植物をエサにして隠れている平和的な昆虫である。動作ものろい。実は先年、世界のナナフシ類を網羅した図鑑がヨーロッパで出たのだが、日本でよりもヨーロッパでのほうが人気ある昆虫かもしれない。本書には共著者・伊地知英信氏によるナナフシ飼育法が終章に収められているが、飼いやすく、面白いペット昆虫として有名である。
 伊地知英信氏はサイエンスライターというか、自然に関する記事や書籍に寄稿しているベテランのライターである。本書にはナナフシの軽妙な解説、またナナフシ文化史ともいうべきエピソード、例えば学名が「ミカド」というのはなぜかなど興味深い話題を提供している。まずは本書を開いてその昆虫の驚くべき姿に刮目すべし。

(担当/木谷)

 

写真家紹介

海野和男(うんの・かずお)

1947年東京生まれ。東京農工大卒。昆虫写真家。『昆虫の擬態』(平凡社)で日本写真家協会年度賞。『世界のカマキリ観察図鑑』『増補新版 世界で最も美しい蝶は何か』『蝶が来る庭』『ダマして生きのびる蝶の擬態』(いずれも草思社)ほか多数。伊地知英信氏と共著に『ファーブル昆虫記 誰も知らなかった楽しみ方』(草思社)。ウェブサイト「小諸日記」運営。

著者紹介

伊地知英信(いじち・えいしん)

1961年東京生まれ。北里大学卒。自然科学書や博物館展示物の編集者・ライター。自然観察のインタープリター。集英社版『完訳ファーブル昆虫記』10巻20冊の編集および脚注・訳注の執筆に関わる。『しもばしら』(岩崎書店)で第58回児童福祉文化賞など。

Amazon:不思議の虫ナナフシ ヘンな虫のヘンな暮らし:海野和男 写真 伊地知英信 文:本

楽天ブックス: 不思議の虫ナナフシ - ヘンな虫のヘンな暮らし - 海野 和男 - 9784794227072 : 本

なぜ1970年を境にゴダールはつまらなくなったのか。 『ゴダール/映画誌』山田宏一 著

ゴダール/映画誌

山田宏一 著

 本書は2022年9月に91歳で自死したジャン=リュック・ゴダール監督について書かれた山田宏一氏の映画評論集であり、氏のゴダール論の集大成である。と言っても書かれているのは1960年代のゴダールのみ。『勝手にしやがれ』(1959年)から『ウイークエンド』(1967年)までの15本の長編と9本の短編、いわゆるポーリン・ケイル女史の言う「豊穣の60年代ゴダール」についてだけである。さらに若干の追悼文が収められている(「キネマ旬報」と「ユリイカ」への寄稿文)のみ。なぜそうなっているのだろうか。
 山田宏一氏は処女評論集『映画について私が知っている二、三の事柄』(1971年、三一書房)の第一章「ゴダールについて私が知っている二、三の事柄」から評論活動を始めているように稀代のゴダール・ファンであった(この書のタイトル自体がゴダール映画『彼女について私が知っている二、三の事柄』のもじり)。
 追悼文の中で山田宏一氏はゴダールこそ映画表現の革新を促した一人であり、真の革新性を持った映画監督であったと述べている。ゴダールの「ジャンプ・カット」はグリフィスの「クローズ・アップ」、エイゼンシュテインの「モンタージュ」、オーソン・ウエルズの「パン・フォーカス」と並ぶ映画表現の4大革命だと述べたあと、ゴダールに夢中になったパリ留学の日々を懐かしんでいる。
 それが1968年パリの五月革命以後のゴダール作品についてはあえて触れていない。『勝手にしやがれ』が世界の若者と映画人に与えた大きな影響、山田氏のパリ滞在時代(1964年から1967年)に夢中になったアンナ・カリーナを主演にする一連のゴダール映画、それが急速に政治化し、高邁になり、抽象化し、輝きを失ってしまったことへの落胆がこの背景にはある。本書の巻末には盟友フランソワ・トリュフォーがパリ五月革命以降にゴダールに出した訣別状(手紙)を収めているが、そのトリュフォーのゴダールへの詰り方に山田宏一氏の思いが仮託されているというのはうがちすぎの見方であろうか。
 トリュフォーはゴダールの女性関係と金に汚いこと、自分が権力化したことに気づかない鈍感さなどを悲痛に訴え、弱いものに味方しないことへの裏切りを攻撃する。映画監督ジャン=ピエール・メルヴィルはヌーヴェル・ヴァーグとは「ゴダール・スタイル」のことだと喝破したが、その見方は一面正しいものの、トリュフォーと彼の仲間たちの支えがあってこその成果であり、独善的になった70年代以降のゴダールははるか高みに駆け上がり、一部信者だけの存在になってしまった。それにつれて神(GОD、ゴダールのもじり)格化されたゴダール作品は、映画が大衆娯楽的な要素を不可欠とし、彼もその映画ファン的世界から出てきただけに、それを捨ててしまえば表現がやせ細り、トリュフォーと決別するのも当然と言えば当然のことであった。世界中のインテリ映画ファンにはったり的手法でなぞかけをし、最後は孤立の中で自死を遂げたゴダール。「あとがき」の中で、著者は監督ベルナルト・ベルトルッチの言葉を引用している。「1960年代のゴダールは現実と直接、生に結びついていました。しかし、その後彼はある種の謙虚さを失ってしまったように思われるのです。…世界の涙にひたることもなく、世界の笑いにも参加することのないダイヤモンド、無色透明で自己完結し…美の宇宙の内部だけで生まれ、生きて、死んでいくように思われるのです…」。著者は追悼文の末尾で「さらばゴダール、さらば映画」と叫んでいます。こんなに豊かだった私のゴダールはどこへ行ったのかという悲痛な叫びでもあり、20世紀のある種の映画への惜別でもあるのでしょう。

(担当/木谷)

 

著者紹介

山田宏一(やまだ・こういち)

1938年ジャカルタ生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業。1964~1967年フランスへ留学、その間映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」同人。ゴダール、トリュフォーなど多くのヌーヴェル・ヴァーグ監督たちと知り合う。映画評論家。著書に『友よ映画よ―わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』『フランソワ・トリュフォー ある映画的人生』(ドゥマゴ文学賞)『何が映画を走らせるのか?』など多数。

Amazon:ゴダール/映画誌:山田宏一 著:本

楽天ブックス: ゴダール/映画誌 - 山田 宏一 - 9784794227218 : 本

レシピ考案・食材捕獲・調理・盛りつけをくまモンが担当!前代未聞の料理本『くまモンのりょうり男子』くまモン 著

くまモンのりょうり男子

――レシピ30品、全部自分で作ったモン!

くまモン 著

 

実は料理もデキるんです! くまモンの初のレシピ本、

2024年3月21日発売!!

 

これまで、様々なことにチャレンジしてきたくまモンが、ついにレシピ本を刊行。熊本県産の新鮮な食材などを使用した「たいぎゃうまか」(とてもおいしい)オリジナル料理を紹介するくまモンのレシピブックの登場です。おかずからスイーツまで、どなたでもチャレンジできる30品を掲載。そのほかに鯛をまるごと一匹をおろしたり、畑や海へ食材を捕獲に行ったりと、レシピ以外にも見どころがいっぱい。料理初心者やお子さんでも作れるレシピも紹介しています。毎日の食卓ではもちろんのこと、食育に、プレゼントに幅広くご活用いただける充実の内容です。

 

目次

Chapter1 出勤前の元気チャージ飯
Chapter2 お仕事終わりのお疲れごほうび飯
Chapter3 裏のないおもてなし料理
Chapter4 目指せマッチョ!筋肉増強飯
Chapter5 休日☆癒やしのあまあまスイーツ

 

「むぎゅカプレーゼ」(32~33ページ)より

 

著者紹介

くまモン

熊本県営業部長兼しあわせ部長。誕生日は3月12日。好奇心旺盛なやんちゃな男の子。2010年2月、翌年の九州新幹線全線開業を見据えた「くまもとサプライズ」キャンペーンのロゴと同時に「おまけ」として誕生。同年10月、くまもとサプライズ特命全権大使に就任。2011年9月、蒲島郁夫熊本県知事より、知事、副知事に次ぐ3番目の地位である営業部長に抜擢された。同年11月「ゆるキャラⓇグランプリ2011」で優勝し、快進撃が始まる。海外での人気も高く、これまで22の国(地域)を訪れている。2014年からは「しあわせ部長」を兼任。2016年「熊本地震」、2019年「令和2年7月豪雨」などの災害においては復興支援の旗振り役として県民を牽引してきた。関連グッズの売り上げは2022年までに累計約1兆2932億円に上る。

Amazon:くまモンのりょうり男子:くまモン:本

楽天ブックス: くまモンのりょうり男子 - レシピ30品、全部自分で作ったモン! - くまモン - 9784794227157 : 本

奇跡の海峡突破を成し遂げた男を突き動かした「大義」とは──『国境の人 間宮林蔵 探検家にして幕府隠密、謎多き男の実像を追う』髙橋大輔 著

国境の人 間宮林蔵

――探検家にして幕府隠密、謎多き男の実像を追う

髙橋大輔 著

列強のアジア進出で緊張高まる江戸後期に、国内外を雄飛し続けた男の生涯!

「間宮海峡」で高名な江戸後期の探検家、間宮林蔵。彼の生涯は、サハリン島(カラフト・北蝦夷)やアムール川流域を探査し、蝦夷地(北海道)の測量・地図制作に従事した30〜40代半ばまでの前半生と、幕府隠密として薩摩などの西国の城下に潜入した40代後半以降の後半生に分かれますが、彼は、ただの探検家や隠密ではありません。
林蔵の足跡は、その生涯にわたって、当時の日本の「国境」と関わっているのです。
当時の日本には、異国との交易や外交のための「4つの口」(長崎口、薩摩口、対馬口、松前口)があり、そのいずれにも林蔵の関与が見られるのです。
彼はなぜ、国境の地を目指したのか。そこで果たした役割とは──。
現代日本の国境は林蔵らが残した大いなる遺産の上にあるとさえ言えます。北方領土、竹島、尖閣諸島など国境・領土問題に直面する今こそ、読んでおきたい一冊です。

(担当/貞島)

 

目次

第1章 探検家のゆりかご      
第2章 サハリン追跡        
第3章 失われたデレンを求めて   
第4章 アムール漂流 
第5章 持ち去られた古地図
第6章 血族
第7章 間宮海峡へ
第8章 隠密説の謎   

 

著者紹介

髙橋大輔(たかはし・だいすけ)

1966年、秋田市生まれ。探検家。「物語を旅する」をテーマに、世界各地に伝わる神話や伝説の背景を探るべく、旅を重ねている。2005年、米国のナショナル ジオグラフィック協会から支援を受け、実在したロビンソン・クルーソーの住居跡を発見。2022年に王立地理学協会(ロンドン)より勅許地理学者(CGeog)の称号を受ける。探検家クラブ(ニューヨーク)フェロー会員。著書に『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』(草思社)、『12月25日の怪物』(草思社文庫)、『剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』(朝日新聞出版)、『最高におもしろい人生の引き寄せ方』(アスコム)、『仮面をとった浦島太郎』(朝日文庫)などがある。

Amazon:国境の人 間宮林蔵 探検家にして幕府隠密、謎多き男の実像を追う:髙橋大輔 著:本

楽天ブックス: 国境の人 間宮林蔵 - 探検家にして幕府隠密、謎多き男の実像を追う - 高橋 大輔 - 9784794227140 : 本

セ・パの覇者「阪神」「オリックス」を切り崩すのは、どの球団か?『2024年版 プロ野球 問題だらけの12球団』小関順二 著

2024年版 プロ野球 問題だらけの12球団

小関順二 著

「即戦力ドラフト」から焦りが垣間見える巨人、リリーフ陣の層の薄さがチーム順位の乱高下を招いているヤクルト、ドラフト上位指名がなかなか育たないソフトバンク、2年連続最下位の日本ハム・中日よりもチーム状況が深刻な楽天……。
プロ・アマ合わせて5800試合以上を球場で観戦してきたドラフト研究の第一人者が、「チーム編成」の視点から12球団の戦力を徹底分析。エースのメジャー流出や新戦力の台頭で混沌必至の2024年シーズンを読み解きます。プロ野球ファン必読の決定版ガイドです! 

(担当/貞島)

 

12球団 今季はどうなる?

阪神
「アメとムチ」を巧みに使い分ける岡田監督の手腕

広島
野手のドラフト1位が過去5年間でゼロは問題だ

DeNA
新戦力の「育成+抜擢」のサイクルを生み出せるか

巨人
チームの命運を左右する門脇誠のショート定着

ヤクルト
なぜ期待の高校卒ドラフト1位投手が伸び悩むのか

中日
「二遊間集めドラフト」をやっている余裕はないはずだ

オリックス
山本由伸が抜けても山下舜平大がいる

ロッテ
今年こそ佐々木朗希の「出力全開」が見たい

ソフトバンク
新監督は「抜擢しない伝統」を打破することができるか

楽天
球団のビジョンが見えず、このままでは暗黒時代に

西武
空前絶後の投手力を擁して覇権をめざす

日本ハム
新球場移転が可能にした逆襲の大補強

 

著者紹介

小関順二(こせき・じゅんじ)

スポーツライター。1952年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。2000年より年度版として刊行している『プロ野球 問題だらけの12球団』シリーズのほか、『プロ野球 問題だらけの選手選び─あの有名選手の入団前・入団後』『甲子園怪物列伝』『「野球」の誕生 球場・球跡でたどる日本野球の歴史』(いずれも草思社)、『ドラフト未来予想図』(文藝春秋)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社+α新書)、『間違いだらけのセ・リーグ野球』(廣済堂新書)、『大谷翔平 奇跡の二刀流がくれたもの』『大谷翔平 日本の野球を変えた二刀流』(いずれも廣済堂出版)など著書多数。CSテレビ局スカイ・A sports+が中継するドラフト会議の解説を1999~2021年まで務める。同会議の中継は20年度の衛星放送協会オリジナル番組アワード「番組部門中継」の最優秀賞を受賞。15年4~7月に、旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で行われ好評を博した「野球と鉄道」展の監修を務める。

Amazon:2024年版 プロ野球 問題だらけの12球団:小関順二 著:本

楽天ブックス: 2024年版 プロ野球 問題だらけの12球団 - 小関 順二 - 9784794227164 : 本

人はどのように死んできたのか。『死因の人類史』アンドリュー・ドイグ 著 秋山勝 訳

死因の人類史

アンドリュー・ドイグ 著 秋山勝 訳

有史以来のさまざまな死因とその変化の実相を
科学的・歴史的・社会的視点から検証した壮大な “死” の人類史。

14世紀イタリア・シエナ、黒死病が覆いつくす(本文より)

 1347年、当時、シエナは中央イタリアでも屈指の豊かさを誇った都市国家のひとつで、町の繁栄は金融業と羊毛業、そして強固な軍隊によって支えられていた。
 靴職人で徴税人でもあったアニョーロ・ディ・トゥーラは、1300年から1351年にかけてシエナの町で何が起きていたのかを記した年代記を書き残している。
1348年1月、ピサの港からイタリア中部のトスカーナ地方に波及した黒死病(ペスト)は、2カ月後にはピサからフィレンツェに伝わり、そこから南下してシエナにまで広がった。ディ・トゥーラは次のように書いている。
「5月になると、シエナでも大勢の人間が亡くなった。凄惨を極めた恐ろしい光景だった。犠牲者は即死と思えるほどあっという間に死んでいった。脇の下や腿の付け根を腫らしながら、話している最中に崩れ落ち、そのまま息を引き取っていた。父親は子供を、妻は夫を見捨て、兄弟は親を同じくする同胞を置き去りにした」
 死者の数は天井知らずに増え、当たり前の葬儀さえできない。葬ろうにも埋葬する人間がいなかった。遺族は亡骸を溝に投げ入れるか、集団墓地に運んでいったが、死者の多くは典礼をつかさどる司祭もいないまま埋葬された。
 ディ・トゥーラは、シエナとその近郊で住民の4分の3、つまりわずか5カ月で約8万人が死亡したと推定している。シエナの社会は崩壊した。
(序章「シエナの四騎士」より)

人の死に方には、その時代・社会の人間の生きざまが反映されている
死因の変化を追いかけることで世界史の見え方が変わる

 人類の歴史において「死因」は変化しつづけてきた。現在、先進諸国の平均寿命は80歳を超え、おもな死因は心疾患、脳血管疾患、ガン、認知症などが占めるが、100年前には平均寿命は約50歳、主要な死因は結核、インフルエンザ、肺炎などの感染症だった。中世には飢饉、ペスト、出産(産褥熱)、戦争が多くの生命を奪い、旧石器時代は暴力や事故による死に覆われていたという。
 次々と襲いかかる「死」に、人びとはどのように向き合い、克服してきたのか。飢餓や疫病はどのように乗り越えられたのか。さらに、遺伝子改変で人の寿命はどこまで延びるのか。最新のデータをもとに歴史的、科学的に検証しつつ、背景にある社会、経済、政治、宗教や文化などの変化と影響を分析し、死因から世界史を読み解く人類史。

(担当/藤田)

 

本書目次より

序章 シエナの四騎士
黒死病の大流行/十九世紀半ばを境に感染症の激減

第Ⅰ部 さまざまな死因

第1章死とは何か?
延命処置の中止/生きたまま埋葬という恐怖/死の定義は脳死/脳死判定の難しさ
第2章『死亡表に関する自然的および政治的諸観察』
ロンドンの「死亡表」/生命保険料の算出に不可欠な「生命表」の原型/疾病分類の標準化/不自然な死の場合
第3章「長寿と繁栄を」
平均寿命のトップは日本/古代ギリシアの男性・女性の死亡年齢/ローマ帝国市民の高い死亡率/中世の平均寿命は30歳から40歳/フランスは二○○年で平均寿命が二倍以上/低出生率・低死亡率社会への移行/世界が日本のような人口動態に変化していく/国の豊かさと国民の健康

第Ⅱ部 感染症

第4章 黒死病
狩猟採集から農業への転換が災難をもたらす/新石器時代の死因はもっぱら感染症/「ユスティニアヌスの疫病」/腺ペスト、肺ペスト、敗血症型ペスト/ヨーロッパの人口の60%が死亡した黒死病/ペストの蔓延を食いとめる検疫システム/ペスト菌の発見/ペスト菌のDNA配列の解析/考古学に革命をもたらしたDNA解析/現在でもペスト菌は根絶されていない
第5章 ミルクメイドの手
ファラオにも天然痘の傷跡/免疫を獲得させる「人痘法」/ジェンナーの種痘発見から天然痘の根絶宣言まで二〇〇年/戦争によって世界中に拡大した「スペイン風邪」
第6章 スラム街の発疹チフスと腸チフス
劣悪な環境のスラム街の住居/リバプールの感染症対策
第7章 青い恐怖
コレラ菌は塩水を好む/共同給水場の汚染された水が原因/コレラは人間以外には感染しない
第8章 産みの苦しみ
直立歩行が人間の出産を危険なものにした/医師や助産婦が産褥熱の感染ルート/医師こそ災いと訴えた産科医/産褥熱は姿を消した
第9章 死をもたらす生き物
寄生虫撲滅計画/パナマ運河建設の最大の敵はマラリアと黄熱病/蚊を退治することがマラリア撲滅につながる/遺伝子を組み換えた蚊を放つ
第10章 魔法の弾丸
「細菌説」によって導入された基本的な衛生対策/細菌を殺し人間の細胞は殺さない薬

第Ⅲ部 人は食べたものによって決まる

第11章 ヘンゼルとグレーテル
飢饉の引き金は凶作と自然災害/極度の飢餓は人間から社会性を奪う/農業革命による飢饉の回避/毛沢東が引き起こした大飢饉/ドイツ国民を飢えさせた海上封鎖/北朝鮮の国民の40%が飢餓状態/飢餓を回避する方法
第12章 『壊血病に関する一考察』
十八世紀後半、アメリカと西ヨーロッパは飢餓から抜け出した/食事の三位一体/船乗りを苦しめた壊血病/レモン汁がトラファルガー海戦の勝利をもたらす/ビタミンCを合成できないヒトの遺伝子/人類はビタミン不足による病気に悩まされてきた
第13章 ヴィーナスの肢体
第二次世界大戦以降、肥満者の急増/クウェートの肥満対策は胃の切除/脂肪をため込んで航海を生き延びる/肥満の遺伝的変異/肥満が引き起こす病気/甘い物への偏愛/沖縄の百寿者と「腹八分目」

第Ⅳ部 死にいたる遺伝

第14章 ウディ・ガスリーとベネズエラの金髪の天使
遺伝子疾患の治療は可能か/ハンチントン病で亡くなったフォークシンガー/遺伝子の変異で引き起こされるハンチントン病/優性遺伝で起こる遺伝性疾患/ベネズエラの「金髪の天使」/原因遺伝子の発見
第15章 国王の娘たち
モルモン教の一夫多妻のコミュニティー/近親婚による遺伝性疾患/フランス系カナダ人の多くは「国王の娘たち」の子孫/血友病の遺伝子を受け継ぐビクトリア女王の子孫たち
第16章 アウグステ・Dの脳
アルツハイマー病の早発型と晩期発症型/DNAの塩基配列の解析/ヒトのDNAを編集・改変する/遺伝子改変の倫理上の問題
第17章 生まれる前の死
受精の複雑なプロセス/常染色体が余分に存在するダウン症/染色体異常から除外されるXとYの性染色体/死因のトップは受精卵の着床の失敗

第Ⅴ部 不品行な死

第18章 「汝殺すなかれ」
最古の集団殺戮/暴力による死亡/正義を実現するハンムラビ法典/個人にかわって国家が正義を執行する/みずからの命を奪う人間/「電話の神サマリタン」
第19章 アルコールと薬物依存
ロシアの男性の早死にはウォッカ/五〇〇〇年前のワインの甕/ビール醸造の女神ニンカシ/ウォッカの税収は国家の貴重な財源/ヒトの祖先はアルコールの分解酵素を進化させてきた/健康に対するアルコールの影響/アルコール依存症/アルコールとタバコはほかの違法薬物より有害
第20章 鼻を突く黒い煙
「コロンブス交換」でヨーロッパにもたらされたタバコ/奴隷州に変えたタバコ産業の需要/タバコ会社のマーケティング・キャンペーン/若者をターゲットにした「キャメル」/喫煙が肺ガンのリスクを高めることが判明/喫煙に対する社会の圧力
第21章 『どんなスピードでも自動車は危険だ』
大衆車T型フォードの出現/「死を招くアメリカの欠陥自動車」/車の設計改善と運転免許試験の実施/法規制による安全性の向上/交通事故による死亡者数

結び 明るい未来は待っているのか?
死因の変化/人口減少が破滅を回避する/Ⅱ型糖尿病と認知症による死亡の増加/遺伝子改変で加齢を克服する可能性/AIのデータ解析で病気の早期発見/脳以外のすべての臓器を取り替える

 

著者紹介

アンドリュー・ドイグ

マンチェスター大学生化学教授。ケンブリッジ大学で自然科学と化学、スタンフォード大学医学部で生化学を学んだのち、1994年にマンチェスター大学の専任講師に就任、以来現職にある。研究対象は計算生物学、神経科学、認知症、発生生物学、タンパク質など多岐にわたり、とくにアルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病を専門としている。これまで100本以上の論文を発表、計6000回以上引用されている。アルツハイマー病の創薬研究から2社のバイオテクノロジー企業を設立。研究論文や百科事典、書籍や教材の執筆経験も豊富でいずれも高い評価を得ている。本書は初の一般読者向けの著書として書かれた。

訳者紹介

秋山勝(あきやま・まさる)

翻訳者。立教大学卒。日本文藝家協会会員。訳書にコヤマ、ルービン『「経済成長」の起源』、ホワイト『ラザルス』、サウトバイ『重要証人』、ミシュラ『怒りの時代』、ローズ『エネルギー400年史』、バートレット『操られる民主主義』(以上、草思社)、ウー『巨大企業の呪い』、ウェルシュ『歴史の逆襲』(以上、 朝日新聞出版)など。

Amazon:死因の人類史:アンドリュー・ドイグ 著 秋山勝 訳:本

楽天ブックス: 死因の人類史 - アンドリュー・ドイグ - 9784794226945 : 本