草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

NHK朝ドラ「ブギウギ」の原点がわかる名著、待望の文庫化!『文庫 ジャズで踊って 舶来音楽芸能史 完全版』瀬川昌久 著

文庫 ジャズで踊って

――舶来音楽芸能史 完全版

瀬川昌久 著

戦前の昭和モダニズム文化の中でジャズがいかに華麗に花開いたか?
服部良一を「日本のガーシュイン」、笠置シヅ子を「日本人離れの奔放さ」と喝破! NHK朝ドラ「ブギウギ」の原点がわかる名著、待望の文庫化!

NHK朝ドラ『ブギウギ』の主人公、笠置シヅ子、服部良一が天才ぶりを発揮し、エノケン、二村定一、あきれたぼういずが大衆を熱狂させた浅草レビューの時代。中川三郎、ベティ稲田が共演した伝説のタップ映画『舗道の囁き』や華麗な群舞で日本のステージショーの歴史に偉大な足跡を残した日劇ダンシング・チームetc。戦前に花開いた日本のジャズとモダニズム文化を膨大な資料と同時代体験をもとに生き生きと描いた幻の名著が復刻しました。文庫版特別付録として「ジャズ批評 No.54」(ジャズ批評社)に掲載された著者の「五〇年代ニューヨーク滞在日記」、「毎日新聞」夕刊(2016年8月1日付)に寄せた「戦中に共通する反知性―敗戦から71年の今」、蓮實重彥著『伯爵夫人』(新潮文庫)の解説『随想「伯爵夫人」の時代と私のかかわり』を収録。日本を代表する音楽評論家として生涯をジャズに捧げた瀬川昌久の仕事を辿る完全版となっています。

(担当/五十嵐)

 

著者紹介

瀬川昌久(せがわ・まさひさ)

1924(大正13)年東京生まれ。学習院初等科、中等科、高等科、東京帝国大学法学部で同窓の三島由紀夫とは生涯、交友があった。50年富士銀行に入行後、ニューヨークに赴任。チャーリー・パーカー、ビリー・ホリデイを聴き、以降、ジャズやミュージカルの評論活動を開始。とくに戦前のジャズのレコードの発掘と紹介、コンサートの企画などを精力的に行った。79年、富士銀行退社後は『月刊ミュージカル』編集長、日本ポピュラー音楽協会名誉会長などを歴任。2015年文化庁長官表彰。2021(令和3)年12月29日、肺炎のため死去。

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アアルト夫妻の素顔に手紙から迫る、貴重なドキュメント!『アイノとアルヴァ アアルト書簡集』ヘイッキ・アアルト=アラネン 著 上山美保子 訳

アイノとアルヴァ

――アアルト書簡集

ヘイッキ・アアルト=アラネン 著 上山美保子 訳

フィンランドが生んだ世界的なデザイナーにして建築家であるアアルト。2023年10月には日本でも映画『アアルト』が公開され、そのデザインはわが国で人気が高まり続けているのみならず、彼らが追求した設計の思想は、いまなお日本の建築・デザイン界で参照・展開され続けているといえます。なぜその作品は、ここまで支持されているのでしょうか。それは、曲線と木材を用いたデザインの先にある、人間と自然への深い理解という点において、わたしたちの共感を得ているのだと思います。本書は、そんなアアルトの人間性やデザインの裏側に迫ることができる、二人の手紙を集めた書簡集です。孫のヘイッキ氏が編者としてまとめたもので、これまでの学術的な伝記とはことなる、近しい者ならではの視点が多く盛り込まれています。

アイノトアルヴァは、実際にはどのようにしてお互いを信頼し、想いあっていたのでしょうか。アルヴァは、男性からも女性からもとても人気があり、アイノをやきもきさせることも多々あったようで、

「あなたからの手紙が待ち遠しいので、なんでもかまいませんから書き送ってください、
特にこちらへ戻る途中に送るときは、すぐに到着するように航空便にしてください。……みな元気で、それぞれ楽しく過ごしています。家に戻ってきたら、けがれなき頰に、そしてそれ以外のところにもたくさんキスをしたいです。 (他の人に愛想よくして、私を誤解させないで。 )私が考える愛とはこういうものです。」

という手紙などを見ると、そのことが良くわかります。しかし、アルヴァもただの浮ついた男ということは決してなく、このような家族を思う手紙を書いたりしています。

「これまで、出かける前は、思い込みすぎたり悪い方向に物事を考えすぎて、辛い思いをしていましたが、今は、落ち着いています。こうやって横になってあなたと話ができるからこそですが。これまでは、私が一方的にあなたに助けて欲しい、とあなたのことを想っているのだと思っていました。常に心に何かつっかえるものがあって、いつも辛いのです。
今は、不安は無く、あなたたちを家に置いてきても安心できていますので、幸せな日々を送ることができている、と考えるようになりました。そう、いつも私たちの軸になるものはなんだろう、ということに―あなたには、きっとわかっていますよね―つまり、いたずらをすることとか、口をとがらせたり、からかったり、おしゃべりしたり、絵を描いたり、あなたの新しいスカートのことだったり、そんなすべての物事―私たちが追い求める日々の生活のこと―がすべて同じようにあって欲しいと願っています。」

こういったやり取りの積み重ねを見ることで、二人の関係性が実にリアルに伝わります。

また、近年そのアイノについての再評価が進んでいますが、本書はアイノのことから始まってその最期までを扱っており、今まで触れられることのなかった、アイノの人間性に迫る貴重な資料となっています。

さらに、これまでにもアアルト夫妻とヴァルター・グロピウス、ラースロー・モホリ=ナジ、フランク・ロイド・ライトらとの間の交流についてふれたものはありましたが、以下のモホリ=ナジの手紙を読むと、その絆が想像以上に深いものであったことがわかります。

「親愛なるアアルト
サヴォンリンナで二人の手紙を受け取り、私たちは、その手紙に大いに励まされました。とても長くて、読んでいて楽しい手紙で、私たちに対して心から向き合ってくれるのと同じ温かさを感じました。昨晩、モホリは、~」とても嬉しそうな表情で、二人の素晴らしさについて話して聞かせましたので、グロピウスは最初に、本当に二人とも長い休暇を取って付き合ってくれたのか、と尋ねてきました。」

アアルトの名作にまつわる手紙ももちろん収録されており、ユヴァスキュラの労働者会館やマイレア邸のほか、ベイカーハウスの進行と並行してアイノの病気が進行していく最後のパートは、本書の最大の読みどころとなっています。

これまで語られることのなかった、アアルト夫妻の人間性を知ることは、二人の内面を知るにとどまらず、彼らの人間に寄り添った彼らの作風を理解するうえでも、この上ない発見をもたらしてくれるものと思います。

(担当/吉田)

 

著者紹介

ヘイッキ・アアルト=アラネン

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルトの孫。母親がアアルト夫妻の長女にあたる。アルヴァ・アアルト財団副会長、アルテック社役員、アルヴァ・アアルト・アカデミー役員。

訳者紹介

上山美保子(うえやま・みほこ)

東京生まれ。東海大学文学部北欧文学科卒業。大学在学中にフィンランド・トゥルク大学人文学部フィンランド語学科留学。現在、フィンランド大使館勤務。主な訳書は『フーさん』シリーズ(国書刊行会)、『フィンランド 虚像の森』(新泉社)。翻訳監修に『フィンランド・森の精霊と旅をする』(プロダクション・エイシア)がある。

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2023年はアルヴァ・アアルト生誕125周年
10月13日(金)より、全国で順次公開

「紙と日本史の関係」を初めて解き明かした労作『日本史を支えてきた和紙の話』朽見行雄 著

日本史を支えてきた和紙の話

朽見行雄 著

日本は古来、「紙」の国だった――
和紙の力で鎮護国家を築いた聖武天皇。
和紙が支えた徳川の天下泰平。
古代から現代まで、「和紙の国」の十一の知られざる物語

日本の伝統文化の中で、和紙ほど、常に日本人のそばにあり続けてきたものはありません。
和紙は、日本人の心情に訴える精神性をも備え、国家経営から芸術、日常生活への寄与まで、驚くほど広範に能力を発揮してきました。
本書は、これまで長い歴史を黒子として生きてきた和紙に光を当て、日本史を読み直すユニークな書です。
ここでは、同書の「はじめに」を抜粋・紹介いたします。

(担当/貞島)

 

・はじめに

二世紀の初め、後漢時代の中国で、初めて植物の繊維を漉いて文字を書くのに適した紙が作られた。紙誕生以前の世界の書写材としては、石や粘土板、木や竹、パピルス(葦に似た草から作った紙のようなもの)、木の葉、動物の皮や骨、絹布などがあった。しかしこれらは、筆記性や扱いやすさ、運搬や保存、量産、価格などの面で課題があった。そこに登場したのが、紙である。紙は、人類が初めて手にした、極めて実用的かつ大量生産も可能な、最高の書写材であり、コミュニケーションツールだった。

日本古来の製法による紙を、「和紙」という。日本に豊富にあった楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの植物の繊維を原料とし、手漉きによって作る。紙質が強く、吸湿性に富み、保存性にも優れ、風合いも素晴らしい。

和紙は、単なる書写材ではない。日本画や浮世絵などの画材から、障子・襖・衝立・屛風などの建具、行灯・扇子・うちわ・傘・懐紙・ちり紙などの日用品に至るまで、古くより日本人の生活や文化は、常に和紙とともにあった。これほどの用途の広さと機能、美を併せ持つ紙は、紙発祥の地である中国にも、西洋にも存在しない。和紙は、一般的に考える紙という枠組みを超えた、世界に類を見ない存在なのである。

その和紙の歩みをたどると、これまで知らなかった日本史の側面や、日本文化の真髄、日本人の精神性が見えてくる。和紙は日本史の支えであり、日本人の心そのものなのである。

本書では、全十一章にわたり、古代から現代まで、和紙が日本人の歴史や文化において果たしてきた知られざる役割を綴っていこうと思う。ここでは、そのさわりを少し紹介しておこう。

◉三世紀の「魏志倭人伝」にある、邪馬台国の女王・卑弥呼が魏から国書を受け取り、魏に返書をした(二三九年)話は有名である。しかし、問題は卑弥呼が返書を何に書いたか、である。年代からすると、魏の国書は最先端の書写材、紙である。その返事に木や竹、布などを使っていては、国威にかかわる。ところが、当時、邪馬台国が紙を作っていたという証拠はない。卑弥呼はどうしたのだろうか(第一章)。

◉日本に紙作りの技術を伝えたのは、古墳時代(三世紀後半~七世紀頃)に朝鮮半島や中国大陸からやってきた渡来人だった。では、日本人はいつから自前の紙漉き技法を開発して「和紙」を作るようになったのか。奈良時代(八世紀)の正倉院文書の用紙の分析などを通じて見えてきたのは、日本人がある時期から、極めて高度で手間暇のかかる独自の技法で紙作りを始めた事実である。「和紙」が誕生したのである(第二章)。

◉ついに日本社会に登場した和紙は、奈良時代、盛大に花開いた。仏教を軸に据えた国家経営を目指す聖武天皇が東大寺を中心とした大がかりな写経事業を展開し、膨大な数の経典用紙が生産されたのである。当時は、宮廷の権力闘争が激しさを増し、疫病・地震・飢饉も相次ぐなど、国家大変の時代だった。そこに立ち上がったのが和紙で、仏教の力で国に安寧をもたらし、国威発揚にも寄与したのである(第三章)。

◉平安中期に誕生した『源氏物語』。その成立の陰にあった和紙の貢献は、あまり語られたことがいない。当時の女流文学者たちが平仮名を書く上で、和紙と紙巻筆(穂先が毛と和紙でできた筆)は最高の書写材だった。また、紫式部は若かりし頃、父の越前国国司(地方官)赴任に従い和紙の里・越前で暮らしたが、その時の見聞がのちの源氏物語執筆に役立ったと思われるのである。光源氏と友人の頭中将が恋文について話す場面では、使われた紙の色や風合い、染み込ませた匂いなどが物語をポイントになっていた(第四章)。

◉時は平安末期、平清盛は瀬戸内の厳島神社に絢爛豪華な装飾料紙(色や模様をつけた和紙)で作った経典(平家納経)を納め、一族の栄華と西方浄土への往生を願った。装飾料紙は、金銀の箔、雲母摺(きらず)り(雲母の微粉を用いた装飾)、漉き模様など、様々な意匠を凝らした紙の芸術で、平家納経はその極地だった。現在、平家納経はユネスコの文化財に指定され、平家の名を世界に広めた。和紙は、世界最高峰の芸術といえる地にまで到達したのである(第五章)。

◉鎌倉中期、中国から禅とともに水墨画が日本にやってきた。室町期の水墨画の大家・雪舟は水墨画の余白を重んじ、そこに心を遊ばせた。世界的経営学者ドラッカーも、日本の水墨画の余白に惹かれた一人だった。雪舟はもっぱら中国製の紙を使ったが、和紙における画の余白も魅力的である。日本人にとって余白とは何なのだろうか(第六章)。

◉桃山時代・江戸初期の本阿弥光悦に始まる絵画の一流派で、きらびやかな大和絵(やまとえ)が特長の琳派(りんぱ)の屛風が、今に多く残っている。屛風はもとは中国・漢の時代の風除け(衝立)で日本には七世紀に輸入されたが、その後、独自の発展を遂げた。最大の画期は、鎌倉末期に和紙の蝶番(ちょうつがい)が誕生したことにより、屛風が折りたたみ自在、かつ画面を傷つけず、各面同士の隙間も作らないという精巧な芸術品に変貌したことである。琳派屛風の陰の立役者は、和紙だったのである(第七章)。 

◉江戸時代は、和紙全盛の時代で、徳川の天下泰平を支えたのは和紙と言っても過言ではない。紙の生産量は江戸時代を通じて右肩上がりで、生活のあらゆるものに和紙が使われた。その和紙生産を担っていたのが、主に西国の各藩である。周防岩国藩は貧しい藩財政を支えるために専売制による半紙生産に注力し、藩士自らに大坂の商人との売買交渉をさせる一方、紙生産者である藩の農民たちには様々な配慮を見せた(第八章)。

◉もう一つ、江戸時代の和紙で特筆すべきことは、浮世絵への貢献である。和紙は浮世絵の木版多色摺りに耐えうる強靭性を備え、ふんわりした素材感がそのまま作品の芸術性を高めた。浮世絵用の和紙には越前奉書(ほうしょ)などの高級品もあったが、一般的には楮紙(こうぞがみ)などを使った安価なものが多く、浮世絵最大のパトロンは庶民たちだった。高い芸術性を持つ絵画が大衆社会から生まれたのは、和紙を持つ日本だけである(第九章)。

◉明治を迎え、日本各地の和紙産地に激震が走った。洋紙の登場である。パルプを原料とする機械抄(す)きの洋紙は、大量生産・印刷に適しており、品揃え豊富、かつ安価で、文明開化に伴う膨大な紙需要の多くを奪い、ついには「和紙風の洋紙」なるものまで登場した。この和紙未曽有の危機に、和紙の里・越前はどう立ち向かったか。彼らの知恵と懸命の努力は、少しずつ実を結び、和紙の伝統を今に伝えていくことになる(第十章)。

◉そして現代、和紙は世界に羽ばたいた。二十世紀末のベネチア・ビエンナーレで、日本画家・千住博が越前の手漉き和紙「雲肌麻紙(くもはだまし)」を使って大地の根源から流れ出す滝を描き、世界的栄誉を手にしたのである。大自然や天地の始まりなどをテーマとする千住作品は、羽田空港の国際線ターミナルなどの公共空間でも展示され、草木から生まれた和紙に備わる自然の力で現代人の心をやさしく包み込んでいくのである(第十一章)。

日本のあらゆる伝統文化の中で、和紙ほど、常に日本人のそばにあり続けてきたものはないだろう。日本の歴史、日本人の心は、和紙なしでは語り得ないのである。

さあ、和紙とともに、古代から現代までの日本の歴史と文化の歩みをたどってみることにしよう。「和紙視点」の興味深い歴史物語は、今を生きる日本人にとって新しい目となり力となってくれるはずである。

 

目次より

第一章 日本人と「紙」との出会い
第二章 正倉院文書に見る古代の和紙作り
第三章 和紙の力で鎮護国家を築いた聖武天皇
第四章 和紙と紙巻筆が生んだ源氏物語
第五章 平家一門を西方浄土に導いた装飾料紙
第六章 雪舟の水墨画と日本人の心
第七章 和紙の蝶番が拓いた屛風芸術
第八章 和紙が支えた徳川の天下泰平
第九章 浮世絵は和紙の本懐
第十章 和紙の里・越前の文明開化
第十一章 現代人の心を包む和紙~日本画家・千住博の雲肌麻紙~

 

著者紹介

朽見行雄(くちみ・ゆきお)

ジャーナリスト。和紙文化研究会員。1934年北海道生まれ。59年北海道学芸大学卒業後、NHK入局。北見放送局、報道局報道番組部で番組制作に従事。90年NHK退職。その後、イタリアで文化や伝統工芸職人について取材。2010年和紙文化研究会員。2011年國學院大學文学部卒業。著書に『フィレンツェの職人たち』(JTB、のち講談社+α文庫)、『イタリア職人の国物語』『イタリアワインの職人たち』(いずれもJTB)。

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音楽業界を壊滅的状況に陥れたコロナ禍、二年半の記録『戒厳令下の新宿 菊地成孔のコロナ日記 2020.6-2023.1』菊地成孔 著

戒厳令下の新宿

――菊地成孔のコロナ日記 2020.6-2023.1

菊地成孔 著

「あなたにとってコロナとは何だったのか?」――音楽家、文筆家である著者・菊地成孔氏は「あとがき」でこのように問い掛けます。
著者が主戦場とする音楽業界は、新型コロナウイルス感染症によって、壊滅的状況に陥れられました。本書に収められた最初の日記は、2020年6月25日に記された「『Sings, Plays & Scats』ブルーノート東京公演前口上」。コロナ禍での最初のライブは、客数は制限され、ステージ上の「密」が避けられ、観客は声を出すことも拍手も禁じられました。「会員制の秘密クラブ」「非合法のパーティー」のようだと形容されます。
本書にはまたいくつかの追悼文が含まれます。いずれも読者の胸に迫るものですが、特に上島竜兵氏の自死がいかに堪えたかを綴り、無念に打ちひしがれる心情を率直に綴った文章は、死を悼むという行為の美しさをも感じさせ、本書のハイライトといっても過言ではないでしょう。
沖至、志村けん、神田沙也加、瀬川昌久、上島竜兵各氏への追悼、ライブでの口上、伊勢丹新宿店での買い物、高島忠夫氏の思い出、12歳で書いた「タミヤニュース」掲載原稿、芸人批評、抜歯の顚末、村上春樹氏との邂逅、コロナ感染記、育ての母と過ごした正月……。
抑鬱感を伴うことが基調とならざるを得ない日々の描写の中に、時折訪れる、強い快感を伴った祝祭的な瞬間。本書を読むことによって、読者一人一人にとってもコロナ禍の時間の特別な一瞬が甦ってくることでしょう。是非ご堪能ください。

(担当/渡邉)

 

目次

まえがき「今までで一番凡庸なタイトル」

「Sings, Plays & Scats」ブルーノート東京公演前口上
沖至逝去
「生きていて良かった」と思わせること
感傷と爆笑のモスチキン
ウルフギャング丸の内店のシャトーディケム
トリキの植木等
ウォーキングシューズを買う
ローストビーフ、サラダ、ツィトローネンクーヘン、グレンファークラス
10年後の3月11日
「菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール」オーチャード公演アンコール挨拶
浮気相手はいつでもポップス
「DC/PRG」ラストツアー梅田バナナホール公演
「DC/PRG」ラストツアー新木場USEN STUDIO COAST公演MC
優香は素晴らしい。そして矢沢をもっと好きになった
ラ・ボエムに溢れる性欲と食欲
ウルフギャング青山店で派手に金を使う
伊勢丹6階子供用品売り場でベビーカーを買う
高島忠夫ファミリーコンサート
「もっと負けて。すごくすごく素敵」
打楽器を買う時が、僕の人生が変わる時だ
追悼・神田沙也加
あなたは今日、誰とどんなクリスマスを過ごされるのだろうか?
追悼・瀬川昌久先生
元旦に再会した真っ黒い生き物
葬列のための音楽
浅草で銅鑼を買う
「また作ればいいでしょ、プラスチックモデルぐらい」
上島竜兵さん、お疲れ様でした
芸人批評
ワークショップ「〈みんなおなじ〉と〈みんなべつべつ〉」
59歳の誕生日
短期連載「菊地成孔の抜歯日記① 7月1日(手術当日)」
短期連載「菊地成孔の抜歯日記② 7月2日(手術翌日)」
今、村上春樹さんに会って話してきた
コロナ感染記①
コロナ感染記②「追加修正と続編」
〈菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール〉を御愛顧いただいている、大阪、大阪近郊、京都、京都近郊、全国、全世界の皆様へ
ドキドキすんなよ海賊ならよ
「それでは発車いたしやす」
あらゆる今日と明日の連続
「こいつぁ春から~。あ、縁起があ~。あ、良いわあああああ~」

あとがき「あなたにとってコロナとは何だったのか?(今までで一番凡庸なあとがきのタイトル)」

 

著者紹介

菊地成孔(きくち・なるよし)

1963年、千葉県生まれ。音楽家、文筆家。菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、菊地成孔クインテット、ラディカルな意志のスタイルズ、新音楽制作工房を主宰するほか、ジャズ・ドミュニスターズ、Q/N/Kとしても活動。著書に『ユングのサウンドトラック』『時事ネタ嫌い』『レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集』『次の東京オリンピックが来てしまう前に』『菊地成孔の粋な夜電波 シーズン13-16 ラストランと♂ティアラ通信篇』など多数。

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法的に正しく、いじめっ子を撃退しよう!!『いじめられっ子だった弁護士が教える 自分の身のまもり方』菅野朋子 著

いじめられっ子だった弁護士が教える 自分の身のまもり方

菅野朋子 著

■学校で嫌なことをされたらどうすればいい?

 「いじめ=悪いこと」ということはもはや常識のはずですが、残念ながら、現実社会において、いじめはなかなか無くなることはありません。とくに学校という閉鎖的な社会で行われるいじめによって、今この瞬間にも傷つけられ苦しんでいる子どもたちは多いのではないでしょうか。
 本書は、そんなお子さんや親御さんのために、自身も中学の終わりから高校2年まで陰湿ないじめ被害にあった弁護士が、いじめに立ち向かい、自分の身を守るための法的知識と具体的手段を伝授するものです。

■いじめっ子を法的に正しく撃退する方法教えます!

 著者は、自身のつらい経験とその反省をふまえ、何よりもいじめは絶対に我慢してはいけない、少しでも嫌なことをされたら、「いつ、誰に、どういうことをされたのか」いじめの証拠をしっかり集め、すぐに周りに言おうと強く訴えます。
 間違っても「できるだけ穏便に解決したい」「ことを荒立てたくない」などと考えてはいけないこと、また、いじめには毅然とした態度で対処することが重要であると述べます。
 なぜなら、いじめは初期にやめさせないと、長引き心の傷も深くなってしまうからです。また、いじめ行為の中には、恐喝や名誉棄損など立派な犯罪になるものもあり、法律の観点から見過ごすわけにはいかない問題もあるのです。

■法律を知って、賢く自分の身を守ろう

 学校生活では、友達との関係をつい優先して、多少の嫌がらせも我慢してしまう子も多いと思います。だからこそ、この本を通じて、学校生活の中で嫌なことや危険な目にあったとき、どう自分の身を守っていけばいいかの具体的な方法を知ることは、とても意義があることだと思います。
 本書は小学校高学年から一人で読めるように、やさしい言葉で書かれています。お守り代わりに一冊持っておけば、いざというときに必ず強い味方になってくれるでしょう。ぜひ多くの方に読んでいただければ幸いです。

(担当/吉田)

 

目次

1章 「いじめられている」ことは恥ずかしくない
◎学校でいじめられた私 
◎「変わっている」からいじめられる? 
◎突然の無視 
◎摂食障害に苦しむ日々 
◎我慢の限界、ついに学校に行けなくなった 
◎学校をやめるという選択
◎生きることで精一杯
◎勇気を出して訴えよう
◎いじめ解決のゴール
◎いじめ解決の目的は友情の回復じゃない
◎いじめは人の人生を変える
◎私が同窓会に参加した理由
◎いじめから人生を取り戻す

2章 自分を守る方法はたくさんある
◎いじめは人権侵害 
◎「いじめ=悪」だけでは解決できない 
◎自殺だけがいじめ問題じゃない 
◎いつ何をされたか、いじめの詳細な記録を取ろう 
◎いじめっ子を徹底的に観察する
◎いじめの証拠をつかんだら、すぐ誰かに相談する
◎法律を知って、いじめっ子を撃退しよう
◎いじめの中には犯罪になるものがある
◎裁判を起こして解決することもできる
◎法律があなたを守ってくれる
◎いじめの具体例①
◎いじめの具体例②
◎いじめの具体例③
◎人権救済の申し立てを行う方法も
◎周りの大人にどういじめを伝えたらいいか
◎転校は最終手段に取っておく
◎転校は逃げじゃない

3章 心のセーフティネットをつくっておこう
◎学校の外にはもっと広い世界がある
◎学校で友だちができなくても大丈夫
◎学校以外の居場所の大切さ
◎習いごとなどから、学校以外の居場所を見つけよう
◎本当にやりたいことをやる
◎やりたいことは勇気を持って親に訴えよう
◎部活のメリットとデメリット
◎ネットに居場所をつくるときに気をつけたいこと
◎旅に出る・海外に行くという方法もある

4章 学校に行けなくなった君へ
1 いじめるほうが恥ずかしい
2 いじめっ子と同じ土俵に立たない
3 学校はすべてじゃない
4 とにかく誰かに言おう
5 未来を信じよう

◎親御さんへのメッセージ
・まずは共感することが大切 
・共感はしても同調はしない
・学校には行かせるべきか

5章 未来に夢を持つこと
◎いじめられた傷は一生消えないけれど
・自分の精神を平常に保つコツ
◎夢を持つということ
・不安の中で続けたチャレンジ
・リベンジのための司法試験
・どんな夢でもいい。大切なのは未来の可能性を知ること
・自分の生き方を考えるときに知っておいてほしいこと
・何歳でも、新たに道を切り拓くことはできる

◎最後に伝えたいこと

 

著者紹介

菅野朋子(かんの・ともこ)

弁護士。1970年生まれ。立教大学社会学部を卒業後、結婚や出産、離婚を経て、東京大学法科大学院在学中の2007年に5回目の挑戦で旧司法試験に合格した。2009年に弁護士登録。企業内弁護士や法律事務所で経験を積み、2011年に独立。企業のコンプライアンス、離婚・相続や学校問題、いじめ事件にかかわる一方、小中学校での法教育やいじめ授業の活動を積極的に行っている。2023年9月から沖縄県宮古島に法律事務所を開設。現在は、東京と宮古島との2拠点で活動している。

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欧州→米国→日本の順に経済成長したのはなぜか?『「経済成長」の起源 豊かな国、停滞する国、貧しい国』マーク・コヤマ 著 ジャレド・ルービン 著 秋山勝 訳

「経済成長」の起源

――豊かな国、停滞する国、貧しい国

マーク・コヤマ 著 ジャレド・ルービン 著 秋山勝 訳

■世界はいつ、なぜ、どのようにして豊かになったのか?

 現代世界は豊かになりました。たしかに、いまだ貧困も戦争も飢餓も存在してはいますが、近代以降、世界の大半の地域が豊かになったのは統計的にみても明確です。
 では、いつ、なぜ、どのようにして豊かになったのでしょうか? これが本書の基本テーマです。以下のようないくつかの要因ごとに、成長をもたらしたものを検証していきます。

地理――幸運な地理的条件はあるのか
・地形、気候、地政学的要因/河川・海洋と輸送インフラ
制度――経済成長は社会制度しだいか
・法制度、政治制度、強権的政府と制限的政府/戦争と国家財政
文化――人を豊かにする文化、貧しくする文化
・宗教、宗教改革、プロテスタントの労働倫理/経済停滞とイスラム教
人口――人口動態と経済成長
・黒死病の影響/世帯形成と西欧的婚姻パターン
植民地⸺植民地と搾取の問題
・奴隷貿易、資源の収奪/公共財と教育システム……ほか

■産業革命を生み出し、持続的な経済成長を可能にしたものとは?

 近代の経済成長の大きな動因となったのは「産業革命」です。ですが、先行して成長していたはずのオランダではなく、なぜイギリスで産業革命がおこったのでしょうか? そしてイギリスがその後も持続的な成長を続けられたのはなぜでしょうか?
イギリスなどの北西ヨーロッパ諸国が最初に豊かになり、それに続いてほかの欧州諸国、アメリカ、そして日本が発展しました。なぜその順番だったのでしょうか? その要因は何でしょう? ソ連、中国はなぜ遅れたのでしょうか? グローバルサウス諸国はいつどのようにして発展しはじめたのでしょうか?
本書は、現代世界の「豊かさ」の多様な状況を生み出した要因を、各分野の最新研究成果をもとにしつつ読み解いていきます。世界史の見え方が変わる一冊です。

(担当/藤田)

 

[目次]

はじめに

第1章 いつ、なぜ、どのようにして世界は豊かになったのか?
経済成長とは何か?
過去を計測する
本書で学びうるもの
本書で書かれていないこと

第Ⅰ部「世界はどのようにして豊かになったのか?」──この問いをめぐるさまざまな理論

第2章|地理|幸運な地理的条件はあるのか
地理と今日の経済発展
『銃・病原菌・鉄』
山・海岸・気候
地理と輸送インフラ
地理と工業化
本章のまとめ

第3章|制度|経済成長は社会制度しだいか
「制度とは何か?」
財産権
法制度
政治制度
すべての人にもっと平等な権利を
制度と商業革命
ギルド──国家と市場のあいだで
議会と制限的政府
戦争と国家財政
本章のまとめ

第4章|文化|人を豊かにする文化、貧しくする文化
文化とは何か、なぜ文化が重要なのか?
文化でヨーロッパ経済の離陸を説明できるのか?
宗教は経済成長に影響を与えるのか?
何世紀も続く文化の影響
本章のまとめ

第5章|人口|人口動態と経済成長
マルサス的圧力
黒死病
世帯形成と西欧的婚姻パターン
人口動態の変化と近代の経済成長への移行
本章のまとめ

第6章|植民地|植民地と搾取の問題
入植者はどうやって利益を得ていたのか?
奴隷貿易
資源の収奪
植民地主義は希望の兆しを授けていたのか?
本章のまとめ

第Ⅱ部 真っ先に豊かになった国、それに続いた国、そして貧しいままの国──その違いはなぜ生じたのか?

第7章|北西ヨーロッパ|なぜ最初に豊かになれたのか?
地理は制度の発展をどのように方向づけてきたのか?
なぜ中世ヨーロッパ経済は離陸しなかったのか?
離陸直前に起きていた〝小分岐〟
議会と限定的な代議政治の台頭
本章のまとめ

第8章|産業革命|なぜオランダではなくイギリスだったのか
消費者革命
資本主義的農業
イギリスの工業は政治制度で説明できるか?
重商主義と大英帝国
大西洋奴隷貿易でイギリスの工業化は説明できるのか?
産業革命は綿花によって引き起こされたのか?
市場規模が産業革命をもたらしたのか?
国家能力と産業革命
熟練した機械工がもたらした革命だったのか?
革新的な経済
高賃金と「誘発されたイノベーション」
啓蒙主義と経済
本章のまとめ

第9章|工業化|近代経済にいたる道
工業化という果実
第二次産業革命
人口転換
経済成長の不均衡な普及
アメリカはどのようにして豊かになったのか?
ソ連がたどった回り道
本章のまとめ

第10章|後発国|キャッチアップ型成長の前提条件
遅れてしまったキャッチアップ──植民地支配が残した遺産
日本はどのようにして豊かになったのか?
東アジアの四匹の虎
中国はいかにして豊かになったのか?
本章のまとめ

第11章 世界は豊かである

参考文献

 

著者紹介

マーク・コヤマ(Mark Koyama)

ジョージ・メイソン大学経済学部准教授、マーカタス・センター上級研究員。イギリスで誕生、オックスフォード大学で経済学の博士号を取得。専門は経済史。共著に近世ヨーロッパにおける宗教的寛容の台頭と国家の発展を論じたPersecution and Toleration: The Long Road to Religious Freedom(Cambridge University Press, 2019年)がある。

ジャレド・ルービン(Jared Rubin)

チャップマン大学経済学部教授。専門は経済発展史、宗教学、中東史、制度史。バージニア大学卒業。スタンフォード大学で博士号を取得。政治制度と宗教制度の関係と経済発展におけるそれらの役割に関する研究は多数の主要経済学誌に掲載されている。2017年に刊行されたRulers, Religion, and Riches: Why the West Got Rich and the Middle East Did Not(Cambridge University Press)でLindert-Williamson PrizeおよびDouglass North Best Book Awardを獲得している。

訳者紹介

秋山勝(あきやま・まさる)

翻訳者。立教大学卒。日本文藝家協会会員。訳書にホワイト『ラザルス』、ミシュラ『怒りの時代』、ローズ『エネルギー400年史』、バートレット『操られる民主主義』(以上、草思社)、ウー『巨大企業の呪い』、ウェルシュ『歴史の逆襲』(以上、 朝日新聞出版)など。

Amazon:「経済成長」の起源 豊かな国、停滞する国、貧しい国:マーク・コヤマ 著 ジャレド・ルービン 著 秋山勝 訳:本

楽天ブックス: 「経済成長」の起源 - 豊かな国、停滞する国、貧しい国 - マーク・コヤマ - 9784794226693 : 本

地層を趣味にしてみては?『すごい地層の読み解きかた』小白井亮一 文・写真

すごい地層の読み解きかた

小白井亮一 文・写真

地層の愛好家を増やしたい! ハイ・アマチュアによる「布教本」が登場

 地層・地質の話が頻出するテレビ番組「ブラタモリ」が大人気となったり、世界自然遺産やジオパークといった形で地質や地層が観光の対象になったりと、近年、地層に注目が集まりつつあります。しかし、一般の方が地層を趣味として楽しもうと思っても、良い入門書がほとんどなく、この趣味への敷居を高くしてきました。
 本書は、そのような状況を変えて地層愛好家を増やしたいという願いから、ハイ・アマチュアが奮起して著した、いわば地層趣味の「布教本」です。十代の頃から半世紀近く地層趣味にハマり続けてきた著者が、撮りためた地層写真を使いつつ地層のおもしろさを伝える、初心者大歓迎の入門書。大学などの学術機関に籍を置かないアマチュアならではの楽しい本でありながら、一方で著者は大学院で地学を専攻しており、本書の執筆にあたっても様々な学術資料を駆使して調査していますので、非常にしっかりした内容になっています。

地層を知ることの楽しさが溢れんばかり。7つのすごい地層に秘められた過去を謎解き

 本書は全7話で構成されています。その内容は、日本国内の7つの地層に封印された過去を、100点近くの美しい写真とともに読み解いていくというもの。「封印された過去」は、地球規模の天変地異から、古代の不思議動物のトイレまでと、バラエティに富んでおり、「えっ、そうだったの?」「こんなところに大事件の証拠が?」と驚くこと間違いありません。全7話のあいだには、地層の基礎知識が自然と身につく楽しいコラムが挿入されています。
本書はいわば、地層趣味を極めたハイ・アマチュアの著者による、アマチュアのための地層本。文章や写真からは地層を知ること、探究することの楽しさが溢れんばかりで、堅苦しさは一切ナシ。本書をきっかけに、多くの方が地層趣味に目覚めてくれることを、著者とともに願っています。

(担当/久保田)

 

【目次と内容紹介】
第1話 地層バラバラ事件
地層が大きく割れてひっくり返って、バラバラに。なぜそんなことが?

第2話 美しい地層、でもその裏で…
シマシマに並ぶ地層。そのシマシマができる恐ろしい原因とは?

第3話 地層に残る意外な痕跡
太古の現象がそのまま「形」になって残る。奇妙な膨らみ「キャスト」とは?

第4話 “古代”アマモの正体は?
数十年前まで「海底植物の化石」とされていたものの正体は、全然別のものだった!

第5話 チャートが語る、異常な事件
プランクトンでできたチャートの地層。その色が解き明かす地球規模の天変地異とは?

第6話 海のものとはひと味違う
地層に残された特徴から一つ一つミステリーを読み解き、かつての光景がよみがえる。

第7話 地上の破滅を記録した地層
6600万年前の恐竜絶滅を起こした隕石衝突。その証拠が日本にもあった!

 

第1話 地層バラバラ事件
地層が割れてひっくり返って、バラバラに。なぜそんなことが?

第2話 美しい地層、でもその裏で…
シマシマに並ぶ地層。そのシマシマができる恐ろしい原因とは?

第3話 地層に残る意外な痕跡
太古の現象がそのまま「形」になって残る。奇妙な膨らみ「キャスト」とは?

第5話 チャートが語る、異常な事件
プランクトンでできたチャートの地層。その色が解き明かす地球規模の天変地異とは?

 

著者紹介

小白井亮一(こじろい・りょういち)

1960年、東京都生まれ。1986年3月、千葉大学大学院理学研究科(地学専攻)修了。国土地理院にて、測量・地図作成や災害対応の業務に携わり、2021年3月退職。現在は、地層・化石・岩石・鉱物のこと、簡単にいえば“石の世界”について、興味深く、わかりやすく伝える執筆活動に取り組んでいる。たとえると“石の世界”の案内人。これまでの著書に『楽しい地層図鑑』(草思社)、『わかりやすい測量の数学 行列と最小二乗法』、『わかりやすいGPS測量』(ともにオーム社)、『地形のヒミツが見えてくる 体感!東京凸凹地図』(分担執筆、技術評論社)などがある。

Amazon:すごい地層の読み解きかた:小白井亮一 文・写真:本

楽天ブックス: すごい地層の読み解きかた - 小白井 亮一 - 9784794226747 : 本