草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

世界中のビジネスが1つの勝ちパターンに呑み込まれつつある 『なぜ、それは儲かるのか――〈フリー+ソーシャル+価格差別〉×〈データ〉が最強な理由』山口真一

なぜ、それは儲かるのか

――〈フリー+ソーシャル+価格差別〉×〈データ〉が最強な理由

山口真一 著(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)

◆企業経営の「では、どうすればいいのか」に答える!

 「プラットフォーム化だ」「SaaS化だ」「サブスクリプションへ移行せよ」「DXを急げ」……。小売り業や製造業など、日本を支えるビジネスの多くが岐路に立たされ、方針転換を迫られてることは論を待ちません。しかし、「では、どうすればいいのか」については、様々な掛け声が先行するものの、「それをすればどうなるのか」「なぜしなければならないのか」が見えず、多くの企業が方針さえ立てられないでいるのではないでしょうか。
 本書は、その「では、どうすればいいのか」に答える本です。今後のビジネスが「フリー=無料提供」「ソーシャル=ネットワーク効果活用+ソーシャルネットワーク活用」「価格差別=多様な人に多様な価格で販売」と「データ利活用」の4つを相互作用させるビジネスモデル、つまり本書で言う「FSP-Dモデル」に支配されていくことを明らかにし、方針を決めあぐねているビジネスパーソンのための「経営戦略の未来地図」となるべく書かれました。
 ここに挙げた4つは、これまでも個別には論じられてきました。しかし、実は相互作用させることではじめて、大きな効果を発揮することはあまり知られていません。GAFA、メルカリ、LINE、Netflix、コマツなど、注目の企業はいずれも、これらの相互作用を利用するFSP-Dモデルで、高収益を上げているのです。

◆「フリー」と「価格差別」の相互作用で高収益を達成するLINEとモバイルゲーム

 ここでは「フリー」と「価格差別」を相互作用させる例を紹介しましょう。多くのフリーのサービスは、「無料会員」と、月額費用を払う「プレミアム会員」がいる「フリーミアム」モデルで運営されています。これも0円と月額数百円という2段階の価格設定があるので「価格差別」があるとも言えますが、本書では「多段階価格差別」モデルについて詳述しています。たとえば、LINEもモバイルゲームも基本無料ですが、より楽しみたい人はLINEスタンプや、ゲーム内アイテムなどの「デジタル財」を購入します。その購入量には制限がないので、LINEによるコミュニケーションや、モバイルゲームが大好きな人は、好きなだけ買える(課金できる)という「多段階価格差別」モデルになっているのです。これらの熱心なユーザは、月に数千円や、時には数万円単位でデジタル財を買うこともあります。
 この「多段階価格差別」は非常に大きな利益を生みます。詳しくは本書の内容に譲りますが、従来の一物一価や、単純なフリーミアムモデルと比べ、数倍から10倍近い収益となることがわかっています。

◆気鋭の経済学者が実証研究に基づいて描く経営未来地図

 本書の著者は『ネット炎上の研究』(勁草書房)などの著書で知られる気鋭の経済学者。自身の学術研究をもとにしているので、もし企業人が著者だったら「秘中の秘」として絶対明かさないような驚きの事実も、余すところなく書かれています。
 たとえば、上記のモバイルゲームにおいて、ユーザに課金を促す施策をやり過ぎると「課金疲れ」が起きてユーザ離れにつながることが知られています。では、その「課金疲れ」が起きる課金額の「分水嶺」は、月額いくらなのか…という点も研究されており、本書で明かされているのです。
 もう1つ、本書で明かされている研究の例として挙げたいのは、フリマアプリに関する衝撃的な事実です。メルカリのような中古売買を行うフリマアプリが普及したせいで、新品の購入が阻害されると恐れる方は多いでしょう。しかし、著者の研究により、フリマアプリの普及は新品購入を阻害するどころか、促進していることがわかりました。便利と思って新品を買ったが実際は使わなかったという場合でも、気軽に売ることができるので、新品購入の敷居が下がるからです。その経済効果の規模についても算出されており、本書に記されています。
 新しいパースペクティブの提示を、最新の実証研究に基づいて行っている本書は、すべてのビジネスパーソンが読むべき一冊と言えるでしょう。

 (担当/久保田)

著者紹介

山口真一(やまぐち・しんいち)

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授。博士(経済学)。専門は計量経済学。研究分野は、ネットメディア論、情報社会のビジネス論、プラットフォーム戦略など。「あさイチ」「クローズアップ現代+」(NHK)や「日本経済新聞」をはじめとして、メディアにも多数出演・掲載。組織学会高宮賞受賞(2017年)、情報通信学会論文賞受賞(2017年・2018年)、電気通信普及財団賞受賞(2018年)。主な著作に『炎上とクチコミの経済学』(朝日新聞出版)、『ネット炎上の研究』(勁草書房)、『ソーシャルゲームのビジネスモデル』(勁草書房)などがある。他に、日本リスクコミュニケーション協会理事、海洋研究開発機構(JAMSTEC)アドバイザー、グリー株式会社アドバイザリーボード、東洋英和女学院大学兼任講師などを務める。

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なぜ、それは儲かるのか | 草思社

日本の学校は今のままでいいのか? 苦悩する教育現場からの真摯な問いかけ 『教師という接客業』齋藤浩 著

教師という接客業

齋藤浩 著

 文部科学省の発表によると、昨年度の公立小学校の教員採用試験の倍率は2.8倍で過去最低となりました。もっとも倍率が高かった2000年度は12.5倍ですから、驚くべき人気低迷ぶりです。また毎年、5千人前後の教員が心を病んで休職に追い込まれている実態も広く知られるようになっています。いま日本の教育現場で何が起こっているのでしょうか。長年、神奈川県内の公立学校で教鞭をとってきた著者は、問題の根源は「学校の接客業化」にあると断言し、いびつな「顧客志向」で本来の教育機能を失いかけている学校の現状に警鐘を鳴らしています。
 本書の「はじめに」で著者は、ある校長が口にした「先生も聖職者と見られている時代ではありません。子どもや保護者が大いに満足できるように、サービス業としての視点も大事にしてください」という言葉を紹介しています。著者ももちろん、子どもや保護者の考えを尊重すること自体に異存はありません。ですが、「学校においてサービス業という言葉は、『顧客、つまり子どもや保護者の望むことを極力実現させるべきだ』というニュアンスで使われている。そこにはたして教育的な意図や戦略があるのか、大いに危惧される」という問題があるのです。
〇「学校に行きたがらないので先生が迎えにきてください」
〇「ウチの子の嫌いなものは給食に出さないでください」
〇「ウチの子がクラスで一番の『良いところ』を挙げてほしい」
 こんな保護者からの要望にも対応せざるをえないのが今の学校だと著者は述べています。そんなふうに子どもたちを「お客さま扱い」することが、彼らの将来にとってプラスにならないのは火を見るより明らかなのに、先生たちは「サービス業としての視点を持て」という指示のもと、保護者の要望にノーと言うことが難しいのです。時に一部の保護者による恫喝的な要求に右往左往し、一方で教育者としての本分を果たせない無力感や苛立ちに日々さいなまれる。こんな状況が日本の先生たちを追い詰めているのだということが、本書をお読みくださればお分かりいただけるかと思います。著者は本書の結びで、今こそ教師は「とりあえず承る」という姿勢を捨て、自身のプロフェッショナリズムを確立することが不可欠だ、と述べています。教師自身のためではありません。子どもたちがより良い未来をつかめるようにしっかりと教え、導くためです。この勇気ある問題提起の書が多くの読者に届くことを願ってやみません。 
(担当/碇)

著者紹介

齋藤浩(さいとう・ひろし)
1963(昭和38)年、東京都生まれ。横浜国立大学教育学部初等国語科卒業。佛教大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。現在、神奈川県内公立小学校教諭。日本国語教育学会、日本生涯教育学会会員。これからの時代に合った学校教育の在り方を研究している。著書に『子どもを蝕む空虚な日本語』(草思社)、『理不尽な保護者への対応術』『学校のルーティンを変えてみる』(以上、学事出版)などがある。

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答えは「身体」の中にある! アスリートが「最適の動き」を作りだすために 不可欠な機能解剖学の知見が満載の一冊! 『アスリートのための解剖学』大山卞圭悟 著

アスリートのための解剖学

ーートレーニングの効果を最大化する身体の科学

大山卞圭悟 著

 本書は日本トレーニング指導者協会(JATI)の機関誌『JATI EXPRESS』に連載された「GTK現場で使える機能解剖学」の内容に加筆・修正を加えて再構成した一冊です。著者はトップアスリートとしての競技歴(砲丸投げで全日本実業団優勝など)や陸連トレーナーとしての活動歴を持つ研究者で、本書ではアスリート、トレーナー、コーチ、研究者としての豊富な経験を存分に活かして、私たち人間の身体の仕組みの謎に迫っています。
「この筋肉は何のためにあるのか?」という問題意識がこの本の出発点だと著者は述べています。身体の構造や仕組みを理解していなくても、私たちは理にかなった動作を行なうことができますが、「良い動きを戦略的につくり出したり、無数にある選択肢の中から最適のものを選び出すときには、構造に関する理解が大きな助けとなります」ということです。人間の身体、とくに運動器はなんと二百余りもの骨と六百を超える骨格筋(筋肉)によって構成されているのですが、それぞれの骨の配置や形態にはすべて機能的な背景があるのです。このような筋骨格系の機能と形態とのつながりを、一つ一つ答え合わせ的に眺めてみることで、アスリートは自身の動作に潜んでいるパフォーマンスの制限要因に気づき、より効率的な動きを手に入れることができるのです。その結果、ケガを防ぐことも可能になります。
 現代のトレーニング環境は以前とはすっかり様変わりしています。さまざまな動画共有サイトを閲覧していけば、世界トップレベルの競技者たちがどのようなトレーニングを行なっているのかを知ることも可能です。情報の入手という面ではかつてない恵まれた環境が整っているわけですが、「このような状況であるからこそ、競技者、指導者ともにそれぞれの手段について根拠を持って説明をつけ、判断していく姿勢と確かな能力が求められている」と著者は指摘しています。そして、手段に対する〈根拠づけ〉の大きな拠り所となるものとして、解剖学的な知識が不可欠になるのです。機知にとんだ解説とともに私たちを解剖学の世界に誘う本書は、一般のトレーニング愛好者を含むすべてのアスリートに、パフォーマンス向上のヒントを授けてくれる一冊になりそうです。
(担当/碇)

著者紹介

大山卞圭悟(おおやま・べん・けんご)

1970年兵庫県西脇市生まれ。93年筑波大学体育専門学群卒業。修士(体育科学)。99年筑波大学体育科学系 講師、2001年筑波大学大学院人間総合科学研究科講師を経て、13年より筑波大学体育系 准教授(現在に至る)。99年より現在まで、筑波大学陸上競技部コーチ(主に投擲競技を担当)、日本陸連医事委員会トレーナー部委員を務める。99年、01年、05年ユニバーシアード陸上競技日本選手団トレーナー。JATIトレーニング指導者養成講習会講師(担当講義「機能解剖」)。著書に『トレーニング指導者テキスト 理論編改訂版〔分担執筆〕』『コンテクスチュアルトレーニング〔監訳〕』(いずれも大修館書店)。

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「知っている」より大切な「疑問をもつ力」を育む 『考える力がつく 理科なぞぺー』高濱正伸・川幡智佳著

考える力がつく 理科なぞぺー<小学3年~4年生>

高濱正伸 川幡智佳 著

◆シリーズ累計70万部の学習パズルに「理科」が登場!

 大人気の学習教室・花まる学習会のメソッドがつまった学習パズル『考える力がつくなぞぺー』シリーズに、ついに「理科」が加わりました。「子どもが自分からやりたがる」「子どもが勉強好きになった」と保護者からも大好評をえて、累計70万部となった『なぞぺー』。その好奇心を刺激する楽しさは、新しい『理科なぞぺー』にも存分に盛り込まれています。
 「白身魚と赤身魚の違いって、なに?」「昼間に見える月はまん丸にならないって、本当?」「銀の折り紙には電気が流れるのに、金の折り紙には電気が流れない?」など、大人も答えを知らない(?)、おもしろい問題ばかり。「そういえば、なぜ? なに? そうなの?」と興味をそそられ、じっと考えて「わかった!」とうれしくなったり、答えを見て「そうだったのか!」と驚いたりするうちに、理科が好きになり、考える力がついていきます。

◆大切なのは、疑問を持ち、考え抜いて、知る喜び

 本書の目的は、「知っているかどうか」を試すことではなく、「疑問に思い、なぜだろう、どうしてだろうと予測する」という体験をしてもらうことです。そのため、学年別教科書準拠の内容ではなく、子どもが興味を持ちやすいテーマを選んで問題にしています。
 著者の高濱さんは本書で、「『ん? なんで?』と湧いてきた疑問を心の中で捉えきる習慣を持つこと。その疑問は、見えないけれどとてもとても大切な宝物なのです」と述べています。そしてその疑問について、考えたり調べたりして、ついに答えを知ったときには、醍醐味とも言える喜びを感じることでしょう。「この一連の躍動する脳の状態を、大切にしてほしいのです」といいます。
 疑問に思い、じっくり考え、知る喜びを体験する。だから次も疑問を探したくなるし、答えを追究したくなる――。多くの子どもたちにとって、本書が、理科を大好きになる入り口となることを願っています。

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(担当・久保田)

著者紹介

高濱正伸(たかはま・まさのぶ)

1959年、熊本生まれ。東京大学大学院修士課程卒業。93年、学習教室「花まる学習会」を設立。著作に『考える力がつく算数脳パズルなぞぺ~①②③』をはじめ同シリーズの『新はじめてなぞぺ~』『空間なぞぺ~』『絵なぞぺ~』『迷路なぞぺ~』(以上、草思社)などがある。

川幡智佳(かわばた・ちか)

1985年、埼玉県生まれ。北里大学卒業後、東京大学大学院修士課程卒業。2013年花まる学習会入社。同グループ進学部門であるスクールFC所属。小4総合コースの理科や、科目横断型・総合的学習の時間である「合科」の立ち上げに携わる。夏休みや休日などに開催する、親子参加型理科イベントも担当。著書に『カワハタ先生の動物の不思議―どこがおなじでどこがちがうの? 』(実務教育出版)がある。

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ラグビーW杯、日本躍進の陰にはこの男のビジョンがあった!比類なき先見性で時代を切り拓いた稀代のラガーマンの軌跡『平尾誠二を語る』橋野薫・込山駿 著

平尾誠二を語る

橋野薫 著 込山駿 著

 本書は、プレーヤーとしてもリーダーとしても圧倒的な輝きを放ち、日本社会に向けても力強いメッセージを発信しつづけた「ミスターラグビー」平尾誠二(1963~2016)の軌跡を、ゆかりの人々へのインタビューで再構築した一冊です。読売新聞オンラインに連載された「平尾誠二を語る」の内容に加えて、2019年ワールドカップ(W杯)日本代表メンバーやコーチ、ご家族のメッセージも収録し、唯一無二の個性で時代を切り拓いたラガーマンの人間像に迫ります。
 平尾と同じグラウンドに立っていたラグビー関係者のほか、親交のあった山中伸弥教授をはじめとする各界の著名人の言葉によって明らかになるのは、その比類なき先見性です。そして、その先見性は自由な精神の産物でした。一人ひとりのプレーヤーが個としての能力を上げ、自在に判断できるようにならないと世界で勝てない、と言いつづけた平尾のビジョンは、2019年のW杯において、ついに現実のものとなります。そして、その代表チームを率いたのは平尾が監督時代に日本代表に選び、その後、ヘッドコーチ(HC)就任にも関わったジェイミー・ジョセフでした。
 特に平尾が代表監督の時代に、多くの外国人選手を日本代表に招集し、主将にもはじめて外国人選手(アンドリュー・マコーミック)を指名したことには多くの批判もあったといいます。ですが、これこそが、昨年の「ONE TEAM」の源流になったのです。日本のラグビーが長く苦しい試行錯誤の時間をくぐり抜けてW杯ベスト8という快挙を達成したとき、多くのラグビー関係者やファンが改めて平尾誠二の名前を口にしたのには、このような理由があるのです。
 新型コロナウィルスの感染拡大で、日本社会はいま、かつてない危機に直面しています。山中教授は大きな問題が起こったとき、「平尾さんやったら、どうするかな」と考えると述懐しています。この本が苦しい毎日を強いられているすべての読者に、ささやかな希望をもたらすことができたら、これに優るよろこびはありません。


【目次】
1 「平尾さんやったら、どうするかな」と考えます
――京都大学iPS細胞研究所長 山中伸弥

2 進化したラグビーの創造者だった
――元京都市立伏見工高ラグビー部監督 山口良治

3 オオカミの目、自由な心
――密着撮影を30年以上続けた写真家 岡村啓嗣

4 希代のリーダー対決、美しきノーサイド
――元新日鉄釜石選手兼監督・元日本代表スタンドオフ 松尾雄治

5 「哲学するラガーマン」をめぐる追想
――元文部科学副大臣 鈴木寛

6 「洋魂和才」、日本代表に息づく平尾イズム
――サントリー酒類常務執行役員・日本ラグビー協会理事 土田雅人

7 勝負師2人の「与えれば与えられる」絆
――将棋 羽生善治九段

8 失敗プロジェクトと銀のレガシー
――平尾プロジェクト1期生・元クボタスピアーズ副将 高橋銀太郎

9 助手席のミスターラグビー
――元神戸製鋼スタンドオフ・日本ラグビー協会広報部長 藪木宏之

10 夜の神戸で衝撃の店「許されるのよ、彼だけは」
――元プロテニスプレーヤー・現解説者 沢松奈生子

11 「運命の日」の開幕戦、スタジアムに父が来ていたような気がする
――長男 平尾昂大


(担当/碇)

 

著者略歴

橋野薫(はしの・かおる)

読売新聞大阪本社勤務。1965年4月、京都市生まれ。同志社大学から89年に入社。京都総局を経て96年から通算17年、運動部記者としてラグビー、プロ野球などを担当。ラグビーワールドカップは2003、07年大会を取材した。運動部デスク、松江支局長などを務め、現在は販売局勤務。ラグビーは同志社香里高1年で始め、現役時代のポジションはスクラムハーフ。

込山駿(こみやま・しゅん)

読売新聞東京本社勤務。1973年3月、東京都生まれ。早稲田大学から96年に入社。2003~12年は運動部記者としてサッカー、ボクシング、大相撲などを担当。なでしこジャパン女子W杯優勝、亀田3兄弟のトラブル、新弟子死亡事件などを取材した。スポーツ以外では山形など5支局や中部支社(名古屋市)を渡り歩き、2017年9月から読売新聞オンラインの記者・編集者を務める。

 

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自分で考えて身につけた社会科の力は、AIにも負けない!『考える力がつく 社会科なぞぺー』高濱正伸・狩野崇 著

考える力がつく 社会科なぞぺー

高濱正伸・狩野崇 著

自分で考える力がつく「なぞぺー」シリーズに、ついに社会科が登場!

累計70万部を突破した、大人気学習教室「花まる学習会」のメソッドが詰まった小学生向け問題集「なぞぺー」シリーズに、このたびついに社会科が登場しました
歴史、地理、公民、生活科の4ジャンルを網羅し、単なる丸覚えではなく、子どもたちが考えることに夢中になり、自分で解くことに嬉しさを覚えるような問題を厳選して掲載しています。ある時代を描いたイラストの中から、実はその時代になかったものを探す「イラストまちがい探し」や、「城の塀はまっすぐな方がいいか、折れ曲がっている方がいいか」といったおしろの機能を考える問題、地名クロスワードほか、問題もバラエティに富んでおり、それらを解くほどに社会科の力がついていきます。

AIに負けない思考力をつける

著者の高濱正伸氏は、本書の目的についてこう言っています。「もちろん、一般的な参考書や問題集のように、子どもたちに基本的な知識を覚えて社会の教養を身につけてほしいという思いもあります。しかし、この本の一番の目的は、社会科を学ぶ喜びと面白さに触れ、そのことを通じて「考える力」をつけてもらうことです。」 では、 本書が暗記ではない問題集だとして、具体的にはどのような問題があるのでしょうか。
例えば「イラスト間違い探し」では、平安時代の貴族はかき氷を食べていたかのかどうか、うちわを使って涼んでいたのかどうかというような、大人でも一見してすぐには全問正解できないような、本物の歴史の知識を問う絶妙な問題になっています。この問題について、「 突破するのに必要なのは、歴史を好きになり、その時代時代のイメージを豊かではっきりしたものにすること」だと高濱さんは述べます。このように自分の力で想像し、考え抜くことで培われる「考える力」こそが、コンピューターの思考にも負けない、本物の教養という「一生使える能力」となるのです。さらに、この「自分で考えて正解を出す」という経験が、考えることそのものを好きにさせる最も重要な要因でも在るのです。

社会科に含まれる 歴史、地理、公民、生活科という科目は、国際化・情報化に伴って複雑化していく世界において、最も重要な素養の一つです。その社会科を、暗記で済ますのはもったいなさすぎます。

1人でも多くのお子さんが、本書をきっかけに、社会科を自分で考える教科であるととらえて、その面白さに気づいてくれることを願っています。

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(担当/吉田)

 

著者紹介

高濱正伸(たかはま・まさのぶ)
1959年、熊本生まれ。東京大学大学院修士課程卒業。93年、学習教室「花まる学習会」を設立。著作に『考える力がつく算数脳パズルなぞぺ~①②③』をはじめ同シリーズの『新はじめてなぞぺ~』『空間なぞぺ~』『絵なぞぺ~』『迷路なぞぺ~』(以上、草思社)などがある。

狩野崇(かのう・たかし)
群馬生まれ。花まるグループ進学塾部門スクールFCで社会、国語などを担当。通常授業以外にも座学とフィールドワークを融合したユニークな講座を展開する。大人向けの教養講座や、親子向け講座(「お城を学ぶ 城下町で学ぶ」「親子で学ぼう!中東イスラーム」「武士の都・鎌倉 歴史巡りの旅」「地図から考える世界と日本」など)も多数開催。

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文明発展の基礎たる「砂」は、いま密かに姿を消し始めている 『砂と人類 いかにして砂が文明を変容させたか』ヴィンス・バイザー 著 藤崎百合 訳

砂と人類

ーーいかにして砂が文明を変容させたか

ヴィンス・バイザー 著 藤崎百合 訳

今年のオリンピックのメイン会場として注目される新国立競技場は、木をふんだんに利用したように見える外観が話題だが、その化粧の下にある実態は鉄と大量のコンクリートである。こういった巨大建造物はもちろん、住宅のような木造建築であってもその土台の基礎にはコンクリートが使われる。そのコンクリートの最も重要な原料こそが「砂」である。
それだけではない。いまこのテキストを読むのに使用している端末のシリコンチップ、あるいは携帯電話の液晶ガラスもまた、砂からできている。さらに、エネルギーの地政学的バランスを変えうる要素として注目されるシェールオイルも、その採取のためには水だけでなく砂が不可欠である。つまり私たちの生活・文明は、砂なくしては成り立たないのである。しかし、この普段その存在すら考えることのない砂は、ひそかに地球上から姿を消し始めている。

本書は、地上で最も重要な個体である砂と、人類の関わりを描いたノンフィクション巨編である。原題の『The World in a Grain』は、詩人ウィリアム・ブレイクの『無垢の予兆』の冒頭、「ひと粒の砂に世界を見る」に由来する。著者のヴィンス・バイザーは、技術・社会問題等に詳しいジャーナリストで、大学時代には中東研究を先行している。彼が調べた膨大な数的データを縦糸に、隠ぺい体質の強い砂企業や砂マフィアが潜む街への捨て身すれすれの取材を横糸に織りなされた本書から浮かびあがるのは、砂が文明を変革し、さらにより砂を利用しつづけるように進んできた、人間の飽くなき欲望の歴史である。

第一部では、コンクリート・ガラスをテーマに、近代から現代における建築・都市と、道路の発展の歴史が砂を通して語られる。今の私たちの生活基盤が、いかに砂に依存しているかがお分かりいただけるだろう。
続く第二部では、デジタル時代をハード面で支えるシリコンチップ、シェールオイル採掘、さらには中国での止まない建設ラッシュと、ドバイにおける「養浜」についても触れられている。現代生活の利便さ・経済の加速を支えているのもまた砂なのである。
本書では、インドなどに台頭してきた砂マフィアの存在にも触れられている。この大きくても2ミリほどの小さな物体をめぐって、人命が奪われることさえあるのだ。
砂をめぐる状況は、環境的な面、経済活動の面からみても、かなりシリアスな事態に置かれているのだ。

「石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ」という歌が日本にはあるが、本書を読むと、本当に砂泥棒の前に砂そのものが先に消えてしまいかねない実情がわかる。本書が、砂という「地球で最も重要な個体」の存在が注目されるきっかけになれば幸いである。

(担当/吉田)

著者紹介

ヴィンス・バイザー

ジャーナリスト。『WIRED』、『ハーパーズ』、『アトランティック』、『マザー・ジョーンズ』、そして『ニューヨーク・タイムズ』をはじめとする雑誌や新聞に寄稿している。カリフォルニア大学バークレー校の出身で、現在ロサンゼルスで暮らしている。

訳者紹介

藤崎百合(ふじさき・ゆり)

高知県生まれ。名古屋大学理学部物理学科卒業。同大学大学院人間情報学研究科にて博士課程単位取得退学。技術系企業や図書館での勤務を経て、技術文書や人道支援活動に関する資料の翻訳、字幕翻訳などに携わってきた。近年は、科学や映画に関する書籍の翻訳が中心となっている。訳書に『すごく科学的』、『ディープラーニング革命』、『生体分子の統計力学入門』(共訳)などがある。

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