草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

日本文学(評論・随想)

かけがえのない家族を奪われて数十年――。一日も早い帰還を願う家族からの痛切なメッセージ 『「お帰り」と言うために 拉致被害者・特定失踪者家族の声』特定失踪者問題調査会 編

「お帰り」と言うために ――拉致被害者・特定失踪者家族の声 特定失踪者問題調査会 編 この本は昨年(2023年)の10月21日に東京都庁前広場(都民広場)で開催された「『お帰り』と言うために 拉致被害者・特定失踪者家族の集い」に参加された拉致被害…

80歳でノーベル賞を受賞! 偉業達成を支えた座右の言葉の集大成 『まわり道を生きる言葉』大村智 著

まわり道を生きる言葉 大村智 著 「形あるものは壊れる 生あるものは死す よい言葉は人の心に残り生き続ける」ノーベル生理学・医学賞を受賞した化学者が綴った箴言集。偉業達成への道のりのなかで大村博士が座右の言葉とした偉人・作家などの言葉、自身を鼓…

一度身につければ一生役に立つ!『ややこしい本を読む技術』吉岡友治 著

ややこしい本を読む技術 VOCABOW小論術 校長 吉岡友治 著 ■「あの本は○〇だったね」――本の要旨を一言でまとめられますか? 古典的な名著や難しそうな哲学書、話題の自然科学書など……読んだほうがいいと思って買ったものの、最後まで読めずに途中で挫折したと…

「アートが分かることは生存に役立つか?」と聞かれたら、あなたはどう考える?『なぜ人はアートを楽しむように進化したのか』アンジャン・チャタジー著 田沢恭子訳

なぜ人はアートを楽しむように進化したのか アンジャン・チャタジー著 田沢恭子訳 もし、「アートが分かることが生存に役立つか」と聞かれたら、あなたはどう思うでしょうか。多くの人は、役に立たないのではと思うのではないでしょうか。しかし、「美しい」…

おだやかな人は実は最強だった『おだやかな人だけがたどり着く場所 ブレずに成果が出せる禅的思考のススメ』枡野俊明 著

おだやかな人だけがたどり着く場所 ――ブレずに成果が出せる禅的思考のススメ 枡野俊明 著 仕事もプライベートも自然にうまく回りだす禅に学ぶ平静な心の保ち方をわかりやすく紹介おだやかな人は、実は最強の存在だった! 心おだやかに日々を過ごしたい―これ…

勇気を与えられる「女たち」の物語『眠れない夜に思う、憧れの女たち』ミア・カンキマキ 著 末延弘子 訳

眠れない夜に思う、憧れの女たち ミア・カンキマキ 著 末延弘子 訳 本書は、フィンランド人作家ミア・カンキマキによる第二作です。デビュー作『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』は、遠い平安朝に生きた憧れの女性「セイ」を追いかけて、ヘルシン…

旅は私をほんの少し成長させてくれる 人気エッセイストによるひとり女子旅のススメ『ひとり旅で見つけた小さな幸せ』有川真由美 著

ひとり旅で見つけた小さな幸せ 有川真由美 著 自由に気ままに、自分の気持ち次第で動けるのが「ひとり旅の醍醐味」。ひとりならまわりを気にせず、「初めて」のことにもたくさん挑戦できます。ざっくりと目的を決めて、あとは気の向くまま。ノリと感覚を大事…

書評歴32年、日経夕刊「目利きが選ぶ3冊」でもおなじみの著者が、本の究極の楽しみを満を持して紹介!『本を読む 3000冊の書評を背景に』中沢孝夫 著

本を読む ――3000冊の書評を背景に 中沢孝夫 著(福井県立大学名誉教授) 探す楽しみ、読む楽しみ、評す楽しみ――本の楽しみについて書き尽くす! 本書は、書評歴32年、約3000冊の書評を書いてきた著者が、これまでにどんな本を読み、どう楽しんできたかを綴…

五七五音の定型にどう収めるか。名句を例に楽しく解説。『俳句講座 季語と定型を極める』岸本尚毅 著

俳句講座 季語と定型を極める 岸本尚毅 著 既刊『音数で引く俳句歳時記』が俳人の間でひそかに愛用されている。1音から25音までの季語を音数ごとにまとめた歳時記は今までなかった。五七五音の定型に収めるために、これがいかに画期的な歳時記かは俳句に親し…

あなたの日常に力をくれる名絵本を101冊一挙紹介!『明日も生きていこうと思える絵本101』赤木かん子 著

明日も生きていこうと思える絵本101 赤木かん子 著 ■この本は、絵本と出会うための本です 絵本といえば、やさしく癒やしてくれそうなイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。ところが本書では、著者があえて「衝撃的でハッと覚醒させられる」絵本…

清少納言の「枕草子」に生き方を学ぶ。新しいタイプの人生指南書『ひとりになったら、ひとりにふさわしく 私の清少納言考』下重暁子 著

ひとりになったら、ひとりにふさわしく 私の清少納言考 下重暁子 著 2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』で平安時代に注目が集まるなか、紫式部のライバルとして名高い清少納言にもスポットライトが当たっています。本書は「私は紫式部より清少納言のほう…

25音の長大な季語も楽しい。『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』岸本尚毅 監修 西原天気 編

音数で引く俳句歳時記・冬+新年 岸本尚毅 監修 西原天気 編 25音の長大な季語「童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日」も楽し。音数で整理された画期的な歳時記。 俳句の最小限のルールは五・七・五という音数による定型と、その時節の季語が含まれることです…

NHK朝ドラ「ブギウギ」の原点がわかる名著、待望の文庫化!『文庫 ジャズで踊って 舶来音楽芸能史 完全版』瀬川昌久 著

文庫 ジャズで踊って ――舶来音楽芸能史 完全版 瀬川昌久 著 戦前の昭和モダニズム文化の中でジャズがいかに華麗に花開いたか?服部良一を「日本のガーシュイン」、笠置シヅ子を「日本人離れの奔放さ」と喝破! NHK朝ドラ「ブギウギ」の原点がわかる名著、待…

音楽業界を壊滅的状況に陥れたコロナ禍、二年半の記録『戒厳令下の新宿 菊地成孔のコロナ日記 2020.6-2023.1』菊地成孔 著

戒厳令下の新宿 ――菊地成孔のコロナ日記 2020.6-2023.1 菊地成孔 著 「あなたにとってコロナとは何だったのか?」――音楽家、文筆家である著者・菊地成孔氏は「あとがき」でこのように問い掛けます。著者が主戦場とする音楽業界は、新型コロナウイルス感染症…

すでに巷では「とても役に立つ、手離せない」と話題沸騰。『音数で引く俳句歳時記・秋』岸本尚毅 監修 西原天気 編

音数で引く俳句歳時記・秋 岸本尚毅 監修 西原天気 編 本書は『音数で引く俳句歳時記・春』『音数で引く俳句歳時記・夏』の続編で、8月8日に来る「立秋」に備えて、秋の句作・句会のために刊行された「秋」編です。秋の季語を音数別にまとめたものです。2音…

日本は、なぜ戦争を始め、なぜあんなひどい負け方をしたのか。『昭和史百冊』平山周吉 著

昭和史百冊 平山周吉 著 毎年、夏が来ると終戦記念日の特集が恒例のように行われる。今年もそうなるかもしれないが、刮目すべき本書が出たことで、少しは戦争への理解が進みそうだ。 もう78年もたっているので、戦争経験者はほとんど鬼籍に入りつつある。こ…

友人や師、両親との交流を自叙伝的に描く渾身の傑作批評集! 『放蕩の果て 自叙伝的批評集』福田和也 著

放蕩の果て ――自叙伝的批評集 福田和也 著 「言葉はどこからもやって来ず、私は言葉を探し、追いかけている」食って飲んで酔っ払い、月に三百枚もの原稿を書いた批評家・福田和也氏は、現在62歳。病に蝕まれ、食べられなくなり、ついに言葉も遠ざかってしま…

虚子の「夏草」から「真菰」に替えるときの思考過程は?『音数で引く俳句歳時記・夏』岸本尚毅 監修 西原天気 編

音数で引く俳句歳時記・夏 岸本尚毅 監修 西原天気 編 本書は『音数で引く俳句歳時記・春』の続編で、立夏(5月6日)を迎えた初夏のシーズン向けに夏の季語を音数ごとにまとめ、解説した画期的歳時記です。これからの季節の句会、吟行あるいは一人での句づく…

昔話でわかる、『鬼滅の刃』が大人気な理由!『なぜ炭治郎は鬼の死を悼むのか 昔話で読み解く『鬼滅の刃』の謎』久保華誉 著

なぜ炭治郎は鬼の死を悼むのか ――昔話で読み解く『鬼滅の刃』の謎 久保華誉 著 なぜ、『鬼滅の刃』はこれほどまでに人々の心をひきつけてやまないのでしょうか。その答えは、「昔話」にあったのです。 本書では、『鬼滅の刃』が具体的に古今東西の伝承の物語…

五七五音の定型と季語のおさめ方が俳句の要諦だ『音数で引く俳句歳時記・春』岸本尚毅 監修 西原天気 編

音数で引く俳句歳時記・春 岸本尚毅 監修 西原天気 編 1音の季語に「蚊」がある。夏の季語で、例えば「掌やぺしやんこの蚊の欠くるなく」(加田由美)という風に使われる。またこれはかなり極端な例であるが、最長25音の季語に「童貞聖マリア無原罪の御孕り…

冷たく燃える詩情に戦慄する、衝撃の第二歌集!『霊体の蝶』吉田隼人 著

霊体の蝶 吉田隼人 著 「霊魂(プシケエ)と称ばれてあをき鱗粉の蝶ただよへり世界の涯の」「みなそこにみなもはかげをなげかけてながるる時は永遠の影」「蓮(はちす)いちりんみちたりて燃ゆ生き死にの条理のよそに浮かむかにみえ」 本書は2013年に連作「…

何よりも酒場を愛する著者による、名店の蘊蓄、逸話の数々!『東京名酒場問わず語り』奥祐介 著

東京名酒場問わず語り 奥祐介 著 銀座、浅草、湯島、大塚、神田、神楽坂……。居酒屋、立ち吞み屋から、バー、蕎麦屋、焼鳥屋、鰻屋まで、東京の名酒場を軽妙な文章で紹介する一冊です。本書がデビュー作となる著者、奥祐介氏は元書籍編集者で、担当する批評家…

なぜ芭蕉はこの男を随行させたのか?『曾良の正体 『奥の細道』の真実』乾佐知子 著

曾良の正体 ――『奥の細道』の真実 乾佐知子 著 日本最高の古典『奥の細道』の旅は、決して芭蕉一人の力で成し得たものではない。芭蕉に影のように付き添い、ある時は道案内の先導役を務め、ある時は旅の資金のやりくりに頭を痛め、宿の手配に奔走するといっ…

国際的映画ビジネスの大変さ、日本映画の契約意識の低さなど。『黒澤明の弁護士』乗杉純 著

黒澤明の弁護士 乗杉純 著 本書は第6回(2021年度)文芸社・草思社W賞金賞受賞作のノンフィクションである。著者の乗杉純氏は弁護士で個人事務所を経営している。国際間の契約の交渉、知的所有関係などに長けていて、黒澤プロとも近年までさまざまな案件で…

『老子』には本当は何が書かれているのか?『真説 老子 世界最古の処世・謀略の書』高橋健太郎 著

真説 老子 ――世界最古の処世・謀略の書 高橋健太郎 著 ■日本で誤解されてきた『老子』 『老子』と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか? 中国古典に興味がある方だと、もしかすると「無為自然」「足るを知る」「上善如水」など、『老子』に書かれている…

33人の作家たちに学ぶ「年の取り方」『作家の老い方』草思社編集部 編

作家の老い方 草思社編集部 編 誰しも青年期を過ぎ、中年期を迎える頃には、身心の不調や衰えを感じたり、家族のケアが必要になったりと、「老い」に向き合わざるを得ません。今日では老いは若さを失うという面でネガティブに捉えられがちですが、古来「老い…

どうして私には好きになってくれる相手がいないんだろう。『失われたモテを求めて』黒川アンネ著

失われたモテを求めて 黒川アンネ 著 本書は、小さい頃からずっと太っていることがコンプレックスで、自分に自信を持てず、異性との交際に消極的だった著者が、モテを求めて奮闘する2年半の様子を綴った記録です。 シャネルの口紅を買いに行ったり、映画や本…

60歳の西部邁と39歳の福田和也が縦横無尽に語り合う『論語清談』西部邁 著 福田和也 著 木村岳雄 監修

論語清談 西部邁 著 福田和也 著 木村岳雄 監修 本書は2018年1月18日に自裁を遂げた西部邁氏が、2000年に福田和也氏と行った『論語』をめぐる対談を収めたものです。 福田氏による「まえがき」には当時の混乱する世相の中、「自分の足元を見つめ直そうと始め…

夜、寝る前に心の宇宙旅行をしてみませんか?『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』野田祥代 著

夜、寝る前に読みたい宇宙の話 野田祥代 著 ■目を閉じて、想像の力で地球を飛び出そう 私たち人間は、ついささいなことで落ち込んだり、イライラしたり、目の前の現実に一喜一憂しがちです。とりわけ今は長引くコロナ禍により、心理的にもストレスが大変大き…

齋藤孝氏が満を持して世に問う「日本語論」『なぜ日本語はなくなってはいけないのか』齋藤孝 著

なぜ日本語はなくなってはいけないのか 齋藤孝 著 日本語は意識的に守らなければ消滅してしまう――。本書は長年、日本語教育に心血を注いできた齋藤孝氏の抱く、このような強い危機感から執筆されました。日本人にとって日本語とは、水や空気のように存在し、…