草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

都会と田舎、両方楽しむ、今人気の「2拠点ライフ」のすべてがわかる本!

週末移住からはじめよう

――田舎に小さな家をもつ2拠点ライフ

友枝康二郎 著

◆週末だけ田舎で暮らしてみませんか?

海や山が好きで、田舎への移住に興味はある。でも仕事や家族の問題など、実際に田舎暮らしにふみきるのはかなり大変、という人は多いのではないでしょうか? 本書はそうした不安や悩みを解決すべく、都会暮らしと両立できるローコストで気軽に始められる、「2拠点ライフ」を中心に、田舎暮らしの新しい形を提案するものです。
著者は現在、八ヶ岳のふもと長野県原村で、「田舎暮らしプロデューサー&ライフスタイルデザイナー」として活動しています。自らも29歳、脱サラ直後に長野県の八ヶ岳のふもと原村に拠点をつくった経験をもち、数多くの移住希望者の相談に乗り、これまでに60組の家族(総勢120人超)が実際に2拠点ライフや移住をスタートしています。
著者のアドバイスの大きな魅力は、単に住む場所だけを紹介することにとどまらず、将来の完全移住も視野に入れ、田舎でどう働き収入を得るか、子どもの教育はどうするか、どう地域関係をつくりコミュニティをつくっていくかも合わせて具体的に提案していることです。こうした積極的な活動の結果、長野県原村は、今、都会からの移住者たちのコミュニティが成長し、田舎暮らしのモデル地区として注目を集めるようになりました。

◆田舎に小さな家をつくってみよう!

さらに著者は今、多くの移住希望者に請われ、本業のグラフィックデザインの経験を生かした「小さな家からスタートできる、新しいスタイルの田舎暮らし、MORISH(モリッシュ)の家」を提案しています。“理想の田舎暮らしの家”として著者自らデザインした250万円から建てられる小屋は、機能性とデザイン性にすぐれ、たびたび新聞や雑誌などでも取り上げられています。本書では、実際に著者がプロデュースした小屋に住んでいる4組の住民の様子も写真つきで紹介しています。よりリアルに移住ライフを感じてもらえることでしょう。

なお、著者のプロデュースする家の詳細な情報は、ブログ「八ヶ岳田舎暮し 移住のススメ MORISH COUNTRY 原村 http://blog.goo.ne.jp/tomodesmo」でも見られます。
本書は、著者自身が2拠点ライフの実践者として経験したことと、長年移住希望者の相談に乗ってきた経験とを融合して書かれているので、移住に興味はあるけど、いきなり田舎暮らしにふみきるのが不安という方や、気軽にプチ移住してみたいという人にとって、とくに有益な情報が満載です。ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊となっております。

<目次>

はじめに
プロローグ 41歳からはじまった「都会←→田舎」2拠点ライフ

1章 八ヶ岳に一目ぼれ、いきおいで土地を買う

八ヶ岳で暮らしてみたい――20歳で思い描いた人生の夢
29歳で310坪の土地オーナーになる
土地がもたらす精神的自由が生き方を変える
土地を買うだけでも八ヶ岳ライフはスタートできる
失敗しない土地選びの条件とは?
原村との出会い
別荘地を選んだ理由
四季を通して、土地の素性を知る
田舎暮らしは若ければ若いほどいい

2章 家は小さく建てて、大きく育てるもの
29歳で憧れのログハウスを建てる
人が暮らす理想的な住まい、ログハウス
ログハウスを建てるには、その特性をよく理解しておくべき
とうとう自分で家の設計をはじめる
250万円でつくれる究極の小屋タイプのスモールハウス
中古住宅で購入費用を安くあげるのも一手
いきなり買うのが不安な人はシェアや賃貸で

3章 都会と田舎、どちらも楽しむ暮らし方
家族、子育ての視点から田舎暮らしを考える
田舎暮らしならではのコミュニティライフ
田舎での子育てほどいいものはない
都会の便利と引き換えに得られる豊かさ
八ヶ岳で収入を得る道はある?
田舎暮らしに踏み切るタイミング
都会の便利と引き換えに手に入れたもの
八ヶ岳カレンダー(1~12月)

4章 はまるとやめられない!セルフビルドの愉しみ
家族の成長に合わせて変化する山の家
キャンピングカー「エア・ストリーム」
とうとうツリーハウスを建てる!
八ヶ岳の森とともに生きる
八ヶ岳で夢の店「ハートヴィレッジ」を開く

5章 そして、僕も完全移住へ 
ライフステージに合わせて働き方、住む場所を変える
完全移住後の気ままな八ヶ岳暮らし
田舎における人づきあいの作法
田舎ではじめた新たなライフワーク
田舎暮らしプロデュースという仕事
移住は人を変える
移住応援ネットワーク「MORISH」を立ち上げる

6章 八ヶ岳で夢を実現した人たち
週末を過ごすセカンドハウスから、完全移住をめざす  高島さんご夫婦/神戸在住
山登りの前哨地としての小屋暮らしで自由を満喫する  恩田真砂美さん/東京在住
週末や長期休暇に家族がつどう田舎の家     杉本さんご家族/東京・大阪在住
これからの子育てを考えて、八ヶ岳に完全移住&転職 林さんご家族/東京から移住

エピローグ 「人生は一度きり」を胸に生きる
おわりに

(担当/吉田)

著者紹介

友枝康二郎(ともえだ・こうじろう)

モリッシュ カントリー代表。ライフスタイルデザイナー。1958年熊本市生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、株式会社HONEYに入社。今のモノ文化の起点となるブランディングやイベント企画、ショップデザインに携わる。20歳のとき八ヶ岳に一目ぼれ。29歳で脱サラし30年ローンを組み、八ヶ岳のふもと長野県原村にログハウスを建てる。その後12年間は家族で週末に通い、41歳で家族が完全移住。自身は平日は東京に住んで働き、週末は八ヶ岳で暮らす本格的な2拠点ライフへ。2011年の東日本大震災を機に53歳で完全移住を果たす。現在は八ヶ岳を拠点にデザインの仕事のかたわら、「田舎暮らしプロデューサー&ライフスタイルデザイナー」として、小さな家からスタートできる、新しいスタイルの田舎暮らしを提案中。東京の家は、東京での活動の拠点としている。原村観光連盟副会長、原村地域創生検討委員会副委員長(2016年現在)。日本グラフィックデザイナー協会会員。

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昨年版より1週間早く刊行!プロ野球ファン必読の決定版ガイド!

2016年版 プロ野球問題だらけの12球団
小関順二 著

※発売日 2016年2月18日

◆40発40盗塁を狙うソフトB柳田、実は大谷より凄い藤浪、覚醒間近のG岡本…話題豊富な今年のプロ野球

 今年のプロ野球は昨年以上に見どころ豊富で、キャンプ地も盛り上がりを見せています。NPB史上初の40発40盗塁を目指すソフトバンク柳田。同じく、NPB史上初の2年連続トリプルスリーに挑むヤクルト山田。体重が100キロを超え、進化が止まらない大谷。ヤクルト山田、西武森友哉など屈指の強打者たちが「大谷より凄い」と恐れる阪神藤浪。日米通算200勝が間近の広島黒田。巨人高橋監督VS阪神金本監督など、若手新監督対決。すり足打法を会得し、球界を代表する大砲になりつつあるDeNA筒香。巨人期待の新星・岡本。楽天ドラフト1位、驚異の身体能力を誇るオコエ瑠偉。…などなど、話題が尽きません。
 混戦必至の今シーズン、ペナントのゆくえはどうなるのか? そこで大いに参考になるのが本書、「2016年版 プロ野球問題だらけの12球団」です。

◆4500試合以上を球場で観戦してきた著者による、比類なきガイドブック

 本書は、2000年より毎年「年度版」として刊行され、今年で17冊目を迎えるシリーズです。毎年2月に「選手名鑑」などのプロ野球ガイドが多数刊行されますが、選手のプロフィール紹介がメインの名鑑類とは、本書はひと味もふた味も違います。
 著者はドラフト分析の第一人者で、1988年以来28年間にわたり、常に批評することを意識してプロ・アマ合わせて通算4500試合以上を球場で観戦。その折々に書き留めた膨大な観戦ノートをもとに各球団の戦力を徹底分析しています。一軍のみならず、二軍やアマチュアの試合にも目配りし、選手を長期的な視野で捉えているため、分析の深みが違います。名鑑類では満足できないプロ野球ファンには読み応え十分、必ず満足していただける一冊です。

◆今シーズンの注目ポイントはここだ!

 本書では、12球団ごとに均等にページを割き、各チームの「スタメン分析」「ピッチングスタッフ分析」「2015年のドラフト指名選手の分析」をおこないます。以下、著者の1行寸評。

ソフトバンク─目標は10連覇!巨人V9を凌ぐ偉業に挑戦する!
日本ハム───大谷翔平を前面に押し立て王者ソフトバンクに挑む!
ロッテ────主力2人の移籍が新旧交代の機運を盛り上げる!
西武─────82年以降初の2年連続Bクラス低迷に歯止めをかける!
オリックス──20年ぶりの優勝の前に立ち塞がる主力高齢化の影!
楽天─────本拠地球場の全面天然芝移行に見る脱日本野球!
ヤクルト───守護神のメジャー移籍で勝利の方程式が崩れる?
巨人─────高橋由伸監督は未完の大器・岡本和真を抜擢できるか!
阪神─────金本知憲監督に期待したい3年先のビジョン!
広島─────前田健太のメジャー移籍で先発陣の再整備が急がれる!
中日─────ベテランが退団しても依然としてベテランが中心って!
DeNA─────横浜スタジアム運営会社の買収が勢いをつける!

 この12球団戦力徹底分析に加え、巻頭に3大特集も用意。特集①二軍選手を覚醒させる「社会人レンタル制度」/特集②ソフトバンクの群を抜く「育成力」/特集③フロントによるチーム大改革と“パ高セ低”の深層、という12球団別の分析では扱い切れない重要トピックに鋭く切り込みます。本文240ページ、情報の質、量ともに類のない本書を、是非とも多くのプロ野球ファンにお読みいただければと思います。

 (担当/貞島)

著者紹介

小関順二(こせき・じゅんじ)

スポーツライター。1952年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。2000年より年度版として刊行している『プロ野球 問題だらけの12球団』シリーズのほか、『甲子園怪物列伝』『野球を歩く日本野球の歴史探訪』(いずれも草思社)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社+α新書)、『間違いだらけのセ・リーグ野球』(廣済堂新書)など著書多数。CSテレビ局スカイ・A sports+が中継するドラフト会議の解説を1999年以降、フレッシュオールスターゲームのゲスト解説を2010年以降務めている。昨年4~7月に、旧新橋停車場 鉄道歴史展示室で行われ好評を博した「野球と鉄道」展の監修を務める。

【小関順二HP】http://kosekijunjihomepage.com/

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身心脱落――自分を捨てよ、と繰り返し説く禅の言葉

声に出して読みたい禅の言葉

齋藤孝 著

 「身心脱落」(しんじんだつらく)、「放下著」(ほうげじゃく)という禅語は有名だが、どれも「己を捨てよ」「我欲を捨てよ」という意味である。禅の基本に「己を捨てよ」という考え方があって、これを繰り返し禅は説いている。

 本書で岩波文庫から出ている『弓と禅』という大正時代に日本に来たドイツ人ヘリゲルの文章を引用している。和弓を習っていたヘリゲルが名人から「的に当てようとしてはいけない」「自然に矢は放たれる」という真髄を会得するところ。「いま゛それ゛が射ました」と名人が言う。それとは何か、自分を超えた何からしい。小さい自分など捨ててしまえという教え。西洋人にはこれが新鮮に響くらしいのである。

 本書でも取り上げている「十牛図」という禅の悟りへの道筋を描いた絵がある。「第一 尋牛」(牛を探しに行く)、「第二 見跡」(牛の足跡を見つける)から始まってついに牛を見つけ(「第四 得牛」)、「第六 騎牛帰家」(牛に乗って家に帰る)。そして「第七 忘牛存人」(家に帰って牛を忘れる)、ここまではいいのだが、「第八 人牛倶忘」に至って、探していた牛も探していた自分も忘れられるという境地に達する。苦労して牛を得た果ては牛も人もいない。絵は真っ白である。これを見て現代ドイツの哲学者ハイデッガーは感心したという。探している主体も探している客体もともになくなる「人牛倶忘」(にんぎゅうぐぼう)という境地こそある種の到達点であるという考え方は西洋にはないものなのだろう。

 西洋文明の行き詰まりが見える二十世紀後半以降、禅は欧米人にとって相変わらず魅力的な哲学らしい。その最大の魅力は「己を捨てよ」ということらしい。

(担当/木谷)

著者紹介

齋藤孝(さいとう・たかし)

一九六〇年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『宮沢賢治という身体』(宮沢賢治奨励賞)、『身体感覚を取り戻す』(新潮学芸賞)など多数。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、草思社刊)がベストセラーとなり、日本語ブームを読んだ。近著に『声に出して読みたい古事記』(草思社刊)、『雑談力が上がる話し方』などがある。

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「一発屋で終わる人」と「終わらない人」の違いは?

マインドセット ――「やればできる!」の研究

キャロル・S・ドゥエック 今西康子 訳

◆「成功心理学」の古典的名著、新装完全版で登場!

 同じような能力を持っていても、一度の失敗で諦めてしまう人と、失敗の原因を究明して次につなげる人がいる。一度の成功体験にとらわれて次につなげられない一発屋の人と、何度も成果を達成できる人がいる。問題がむずかしいとやりたがらない子、むずかしい問題ほど目を輝かせる子がいる。

 それらの違いは? 本書によれば、心のあり方(マインドセット=mindset)にあります。

 本書は、マインドセットのパイオニアとして知られるスタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック博士による世界的ベストセラー“MINDSET”の新装版。旧版『やればできる!の研究』では、カットしていた企業経営者とアスリートに関する2つの章を復活させ、完全版として刊行しました。

◆しなやかマインドセットvs.硬直マインドセット

 著者のドゥエック博士は、教育心理学者として、能力は同じでも結果に差が開いてしまう子がいるのは、なぜなのか、という疑問から20年以上にわたり調査・研究を重ね、人間のマインドセットには「しなやかマインドセット(=growth mindset)」vs「硬直マインドセット(=fixed mindset)」の2種類があることをつきとめました。

 そして、学業、芸術、ビジネス、スポーツ、恋愛、人間関係など、あらゆることで成果を出せるかどうかは、「その人の心の持ちよう、すなわち、マインドセットがしなやかであるかどうかで決まる」と結論づけたのです。

 昨今、教育の世界では、IQ(知能指数)に代表される認知的特性よりも、レジリエンス(逆境力)や粘り強さといった非認知的特性が重視されていますが、本書はその重要性を認識させるきっかけをつくった作品の1つでもあります。

◆「がむしゃらな努力」は硬直マインドセットの典型

 本書に一貫して流れるのは、「マインドセットは自分しだいでいつでも変えられる。やればできる!」というドゥエック博士の信念とも言うべきメッセージ。と同時に、博士は、がむしゃらな努力を続けることの無意味さも強調します。失敗の原因に向き合うことなく、ガンバリズムだけで無茶な努力をすることは、しなやかマインドセットとは対極にある硬直マインドセットの証左と言い切ります。読み進めるうちに、成功や失敗の意味だけでなく、努力の位置づけも変わって見えてくることでしょう。

 分野、テーマごとに「しなやか」と「硬直」という2つのマインドセットを著名人の具体例も交えて、わかりやすく対比させる構成の本書ですが、章末にはマインドセットをしなやかにするためのエクササイズも紹介されています。読んだその日から、ご自分のマインドセットについて捉えなおす機会を与えてくれることは間違いありません。

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(担当/三田)

著者紹介

キャロル・S・ドゥエック

スタンフォード大学心理学教授。パーソナリティ、社会心理学、発達心理学における世界的な権威。イエール大学で心理学博士号(Ph.D.)を取得後、コロンビア大学、ハーバード大学で教鞭を執り、現在に至る。人間の思考様式への関心は、30年来で、モチベーション、人間関係、メンタルヘルスに関する研究で大きな業績を上げてきた。

訳者紹介

今西康子(いまにし・やすこ)

神奈川県生まれ。訳書に『ミミズの話』『ウィルス・プラネット』(いずれも飛鳥新社)、共訳書に『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』(草思社)などがある。

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マインドセット「やればできる! 」の研究 | キャロル・S・ドゥエック, 今西康子 | 本 | Amazon.co.jp

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「孫子の兵法」に影響を与え、司馬遷を恐れさせた中国史上最強の策謀術、本邦初公開

鬼谷子―― 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術

高橋健太郎 著

◆道徳すら武器。恐ろしく実戦的。中国古典の最終兵器『鬼谷子』、ここに解禁!

 孫子の師匠と言われ、始皇帝に不老不死の薬を教えたとされる謎の賢人・鬼谷子の残した一冊の書、その名も「鬼谷子(きこくし)」。そこで書かれているテーマは、言葉を駆使し、他人を動かす技術。もっと言えば、王という自分より強い立場の人間を、自らの身を守りつつ言葉で動かす「策謀」の技術です。まさに、一歩道を誤れば命を狙われる中国戦国時代、言葉一つで天下を自由自在に動かした遊説家たちの叡智が結実した一冊と言えます。
 本書は、これまでその内容の難解さゆえに日本では異端の古典扱いされてきた、「鬼谷子」を純粋に「言葉の技術書」として実戦的に読み説き紹介する、本邦初の本です。

◆二千数百年前の書とは思えない、日常に役立つリアルな技術の数々!

 人間心理を鋭くとらえた「鬼谷子」の技術は、今読んでもまったく古びることがないどころか、ひとえに「策謀」の成功を目的としたリアルな技術に驚かれることでしょう。
 第一に「鬼谷子」では、弁さえ立てば、どんな相手でも動かせるとは考えません。あらかじめ動かせる相手と動かせない相手を峻別し、必ず動かせる相手をして、はじめて動かすことを徹底しています。さらに相手の本心を確実に明らかにするために、「まず相手の言葉を否定して圧倒し、その後、肯定しておだて上げる」といった、「おだて」と「そしり」を使い分ける「飛箝(ひかん)の術」、相手の感情の反応パターンに合わせて、わざと怒らせたり、悲しませたりすることで本音を引っ張り出す「揣摩(しま)の術」等々、実際の人間関係において有効な技がたくさん紹介されています。
 また、これらの技を、鬼谷子の弟子たち――孫臏(そんぴん)、蘇秦(そしん)、張儀(ちょうぎ)など、中国戦国時代に活躍した実在の英雄たちを例にとって解説していくので、歴史的背景も含めてより深く理解することができるのです。
心理学、修辞学、社会学、そして陰陽思想の宇宙論がない交ぜになった壮大な世界観を持つ「鬼谷子」は、ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です。

(担当/吉田)

著者紹介

高橋健太郎(たかはし・けんたろう)

作家。横浜生まれ。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。国文学専攻。専門は漢文学。言葉の使い方や読み解き方、古典や名著を題材にとり、独自の視点で研究・執筆活動を続ける。近年は特に弁論術・レトリックをテーマとしている。著書に『どんな人も思い通りに動かせる アリストテレス 無敵の「弁論術」』(朝日新聞出版)、『あたらしい話し方の辞典』(日本文芸社)、『そうだったのか! スゴ訳 あたらしいカタカナ語辞典』(高橋書店)がある。

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鬼谷子: 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術 | 高橋 健太郎 | 本 | Amazon.co.jp

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幕末明治人はみな、二宮金次郎にかぶれていた。

幕末明治 異能の日本人

出久根達郎 著  

◆幕末明治の「埋もれた傑物たち」の生涯を綴る

 人情味あふれるエッセイで定評のある出久根達郎さんが描く、幕末明治の人物伝。著者の愛読者や歴史ファンにはたまらない一冊が、誕生しました。 

 本書には、坂本龍馬も西郷隆盛も、登場しません。出てくるのは、二宮金次郎、幸田露伴、天田愚庵(あまだ・ぐあん)、清水次郎長、山岡鉄舟、正岡子規、陸羯南(くが・かつなん)、国分青崖(こくぶ・せいがい)、高島嘉右衛門、などなど。名前は知っている人物、初めて耳にする人物、さまざまかと思いますが、出久根さんセレクトの人物たちは、やはりというべきか、「人情」、そして「気骨」にあふれた者たちばかり。龍馬や西郷のような派手さはないけれど、見過ごしてはならない、そんな「埋もれた傑物たち」をクローズアップします。

◆金次郎という大池の水が、幕末明治を潤した

  本書のユニークな視点は、著者の次のひとことです。「明治人の多くが二宮尊徳(金次郎)にかぶれていたと思う」

江戸後期、相模(神奈川)に生まれた金次郎は、貧農の出でありながら徹底した倹約、積善の精神で身を立て、のちに荒廃した六百余の町村を復興させ、超人と称されます。金次郎に農村復興を実現する卓抜なアイデアと実行力があった、のはもちろんですが、根底にあったのは、「無私を貫き、人のために尽くす」という途方もなく強靱な精神です。著者は、この精神が、幕末明治の気骨人たちに受け継がれ、明治社会を支えた、とみます。

 金次郎にあこがれ、十代のころ北海道余市で開拓にいそしみ、のちに「二宮尊徳翁」を著した幸田露伴。明治初期、養父・清水次郎長とともに富士の裾野の開拓に努めた天田愚庵。新聞「日本」を創刊し、権力に正面から立ち向かった陸羯南、など。幕末明治という時代は、実は、金次郎という大池に溜められた水が、様々な方面に流れ、潤していった結果、成り立っていた、ともいえるのです。

 本書は三部構成で、第一部は二宮金次郎、第二部は幸田露伴、第三部は天田愚庵ほかの幕末明治群雄伝、という体裁になっています。維新史や近代文学に興味がある方には物凄く楽しんでいただける本です。ぜひとも多くの方に読んでいただきたく存じます。

(担当/貞島)

 著者紹介

出久根達郎(でくね・たつろう)

1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら文筆活動を行う。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞。他に『古本綺譚』『作家の値段』『七つの顔の漱石』『雑誌倶楽部』『春本を愉しむ』『短篇集 半分コ』『本があって猫がいる』『本と暮らせば』など多数。

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幕末明治 異能の日本人 | 出久根 達郎 | 本 | Amazon.co.jp

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【近刊予告】『ビッグデータで文化を計測する―デジタル人文科学の誕生』(仮)

エレツ・アイデン&ジャン-バティスト・ミシェル著

阪本芳久訳

2016年2月発売予定/価格未定

原題:Uncharted: Big Data as a Lens on Human Culture

 

歴史学や語学、文学などの人文科学の研究にも、ビッグデータの波が襲いかかろうとしている!

 Googleがスキャンした大量の書籍(過去、数世紀ぶん!)から、各年に発行された本に使われている単語・フレーズの使用頻度をグラフに示す「グーグル・Nグラム・ビューワー」。この技術の登場で、文献をビッグデータとして活用するまったく新しい人文科学が誕生した。Nグラム・ビューワーを実現に導いたふたりの科学者が、その誕生の経緯と、どのように活用され、何がわかるようになったか、その意義を解説。彼らが「カルチャロミクス」と名づけた、文献をビッグデータとして利用するこの新しい研究を紹介する。

内容より

 不規則変化動詞だった「burnt」はいつから「burned」になったか

 使われている単語のうち、辞書にあるのはどのくらいの割合か

 有名人になるなら、政治家か、俳優か。ビッグデータで検証!

 「天安門」「トロツキー」など検閲により本から消えた言葉を探す

 「ジーンズ」「携帯電話」など新製品の普及のピークは発明から何年後?

 ビッグデータの文化研究・人文科学への応用は何を引き起こすか

 

グーグル・ Nグラム・ビューワーとは

西暦1800年から今世紀初頭までに刊行された合計数百万タイトルの書籍をサンプルに、その中に登場する任意の単語・フレーズの出現頻度を年ごとにプロットする仕組みで、次のURLから誰でも利用できる。https://books.google.com/ngrams 

 たとえば、「Tokyo,Japan,Kyoto」を入力すると、以下のようなグラフが描かれる。

 英語のほかフランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、簡体字中国語などに対応している(日本語は対象外)。2010年12月に著者たちがGoogle社のデータを使って実現し、正式サービスとして提供されるようになった。

 

 著者紹介

エレツ・エイデン Erez Aiden

2010年にハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号取得。数年間、ハーバード大のソサエティ・オブ・フェローズ、Google社の客員研究者をつとめた後、ベイラー医科大学とライス大学の助教に就任し、そこでゲノム・アーキテクチャー・センターを率いた。2009年にはMITテクノロジー・レビュー誌が選ぶTR35(最もイノベーティブな35歳以下の35人)のひとりに選ばれた。2012年には、合衆国政府が若手研究者に与える最高の栄誉であるPECASE賞を、ホワイトハウスより受けた。この賞は、共同研究者と共にゲノムの三次元構造を調べる技術を開発したことに対して与えられたもの。ヒューストン在住。

 

ジャン-バティスト・ミシェル Jean-Baptiste Michel

フランス人、モーリタニア人。科学者、起業家。データ科学企業のクオンティファイド・ラボの創設者。ハーバード大学の準研究員。Google社の客員研究員を務めたこともある。フランスのエコール・ポリテクニークを卒業。2010年にハーバード大学で博士号取得。フォーブス誌が選ぶ「30歳以下の30人」のひとりに選ばれた。ニューヨーク、ブルックリン在住。

 

本書刊行までの10年間、両名はともにビッグデータを使って、人間の文化の研究してきた。その研究成果はネイチャー誌、サイエンス誌、ニューヨークタイムズ紙の特集記事として取り上げられた。彼らが行った講演ビデオは、TED.comで100万回以上の再生を記録している。

 

【著者ふたりによるTEDトーク】