ポジティブ・リーダーシップ Profit from the Positive
マーガレット・グリーンバーグ、セニア・マイミン 著/月沢李歌子 訳
◆時代が求めるリーダーシップの指南書
本書はビジネスリーダーやリーダーを目指す人、人事管理の専門家などに向けられたリーダーシップの指南書です。著者は、最新のポジティブ心理学を基に、経営幹部(エグゼクティブ)向けコーチングを実践する2人の女性。ポジティブ心理学とは、個人やコミュニティ、職場の生産性が高まる要因を探る分野で、生産性、レジリエンス(逆境力)、動機づけ、感情、強み、チーム力学などの研究を行っています。
著者たちは、ポジティブ心理学の最新研究とエグゼクティブコーチとしての豊富な経験を融合。ザッポスやグーグルなど著名企業での事例や米生保エトナなど大手企業からベンチャー企業までへの実践から得たノウハウを抽出し、30以上のリーダーシップ・ツールとしてまとめ、具体的に利益を生み出す方法を提示します。
◆研究と事例から抽出した使えるツールが満載
ツールの具体例の1つとして、従業員の組織への結びつき(エンゲージメント)を強める方法について、紹介しましょう。
ギャラップ社の調べによると、エンゲージメントが強い従業員は、それが弱い従業員に比べ、自分自身の強みを活かす傾向が6倍も強く、人生への満足度も3倍高いという調査結果がでているそうです。リーダーは、個々の従業員の強みをやる気とエンゲージメントに変えることができれば、より強い組織をつくることができるというわけです。
そこで著者たちは従業員のエンゲージメントを強めるリーダーシップ・ツールとして、「本を読むだけではいけない」「頻繁に称えて励ます」などの4つを提案します。1つ目のツールには特に膝を打つ方も多いのでは?
面白かったビジネス書を部下に薦めたが、「読むといいよ」と言ったきりだったというリーダーも少なくないでしょう。まじめな部下ほど、素直に読みます。しかし、部下は新しく得た知識をどう使うべきかわからず、上司は本で読んだアドバイスをなぜ実行しないのかと部下に不信感すら抱く――。
著者たちは、リーダーは、本をただ紹介するだけではなく、そこから得た気づきをどのように実践に活かすべきかという話し合いの場を設けるべきだと強調します。そうしてはじめて、従業員は自分たちの強みへの理解を深め、それをさらに活かす方法を考える力を身につけることになる、というわけです。
◆今日から、ポジティブなはみ出し者になれ!
本書では、これらのツールを日々、できるところから実践することで「ポジティブなはみ出し者」となることを提唱し、そのために求められる4つの実践を紹介します。
「①抵抗に抵抗しない」「②小さなことから始める」「③専門用語を使わない」「④あえて裏口を利用する」――。この4つを念頭におき、今日始められることを始める。これぞ、ポジティブ・リーダーシップへの道というわけです。
そうと決まったらあとは実践のみ。簡潔にまとめられたツールの数々は、あなたとあなたの職場を上機嫌にするチャンスをうかがっています。加えて、原著“Profit from the positive”サイトでは、数多くのツールが掲載されていますのでご興味のある方はご覧ください。
(担当/三田)
[原著サイト]
http://www.profitfromthepositive.com/free-tools/
著者略歴
マーガレット・グリーンバーグ Margaret H. Greenberg
ペンシルべニア大学大学院修了。フォーチュン500に代表されるトップ企業リーダーたちの絶大な支持を得るエグゼクティブコーチ。グリーンバーググループ創始者。http://www.thegreenberggroup.org/
セニア・マイミン Senia Mymin, Ph.D.
ハーバード大学卒、ペンシルべニア大学大学院修了、スタンフォード大学大学院修了(博士)。ポジティブ心理学に基づいたエグゼクティブコーチとしてメディアでも活躍し、日本企業にサービスを提供した経験もある。高校時代に交換留学で日本に滞在し、ハーバード大学でも日本語を習得した。
訳者略歴
月沢李歌子 Rikako Tsukisawa
津田塾大学卒。外資系投資顧問会社勤務から翻訳家に。訳書に『スターバックス再生物語』(徳間書店)『積極的考え方の力』(ダイヤモンド社)『できる人はダラダラ上手』(小社)
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