草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

最新の心理学に基づくコーチングの決定版!――ポジティブ・コーチングの教科書

ポジティブ・コーチングの教科書

――成長を約束するツールとストラテジー

ロバート・ビスワス=ディーナー 著 宇野カオリ 監訳 高橋由紀子 訳

◆第一人者が書き下ろしたメンタル・トレーニング法

 ポジティブ心理学とは、組織や人が最高潮(ピーク)の状態や、個人の「強み」に注目して、それが持続する方法を研究するもの。著者ディーナー博士は、世界中を旅して極限状態にある人の幸福感や強みの発揮を探る研究を続けながら、その成果を企業人の教育に携わるビジネス・コーチングに応用するポジティブ心理学コーチング(ポジティブ・コーチング)の第一人者です。

 本書は、著者自身の研究でのリアルな体験談やコーチング事例、数多くのエクササイズ、心理テストを盛り込んだ本格的な教則本。とはいえ、ビジネス・コーチやキャリア・コンサルタントなど、企業人教育に携わる方から、人をマネジメントする立場にある方までが知っておくとコミュニケーションがうまくいくコツが学べるようにもなっています。

 すぐに習得してみたいエクササイズの数々から、簡単なものを1つを紹介しましょう。それは、相手の強みに名前をつけることを習慣にするというものです。

◆自分や相手の強みに名前をつけることから始めよう

 著者のクライアントに、仕事の締め切りにいつも遅れがちで、自分を「怠け者の引き延ばし屋」だと悩んでいる男性がいました。しかし、聞けばその人、仕事の評価は決して低くないというのです。そこでピンときた著者は、その人に自分を「引き延ばし屋」ではなく、良い意味で仕事を熟成する「寝かせ屋」だと思うように提案します。それにより、クライアントの男性は仕事がギリギリになることを不安に思わずに質の高い仕事に一層邁進できるようになったとか。

 相手の強みを引き出すことは、ポジティブ・コーチングの大きな目的の1つですから、一見、ネガティブな特長でもその人がポジティブに転換できるように導いてあげることが大事です。そこで著者は、日ごろから、同僚や部下、上司など相手の良いところを見つけて、ポジティブなあだ名をつけて、折に触れて呼んでみれば、互いの強みが発揮されやすくなると提案します。

 あだ名と言えば、学生時代の嫌な先生のことを思い出す方もいるかもしれませんが、思い切って、今日から、ポジティブなあだ名づけを習慣にして、ポジティブ・コーチングを実践してみてはいかがでしょうか?
(担当/三田)

著者紹介

ロバート・ビスワス=ディーナー(Robert Biswas-Diener)
ポジティブ心理学者。学術研究を続けながら、各国の幅広い知的プロフェッショナルを対象にしたコーチングや企業向けの心理学研修を実施してきた。ケニアやイスラエル、グリーンランド辺境など、普通の心理学者が研究対象にしないような極限の地域に暮らす人たちを対象に研究を続けてきており「心理学界のインディ・ジョーンズ」という異名を持つ。著書に『「勇気」の科学』(大和書房)『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』(草思社)ほか多数。

訳者紹介

宇野カオリ(監修)

一般社団法人日本ポジティブ心理学協会代表理事。国際ポジティブ教育ネットワーク日本代表。筑波大学人間系研究員。跡見学園女子大学講師。ペンシルベニア大学大学院応用ポジティブ心理学修士課程修了。同大学ポジティブ心理学センター研究員、ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネス ポジティブ組織研究センターフェローを歴任。訳書多数。

高橋由紀子

翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。訳書に『幸福優位7つの法則』(徳間書店)『ポジティブな人だけがうまくいく3:1 の法則』(日本実業出版社)『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』(草思社)ほか多数。

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妖気を吐いて楼台の幻を生む謎の生物とは?――『蜃気楼のすべて!』

蜃気楼のすべて!

日本蜃気楼協議会 著

◆「なぜ見えるのか」から、その歴史や美術まで。あらゆる側面を網羅!

 「蜃気楼(しんきろう)」という言葉の語源をご存じでしょうか。この言葉は、最初に司馬遷の『史記』に登場する古い歴史を持った言葉です。

 蜃気楼の「蜃」とは、生き物の名前。竜の一種とも、ハマグリのような二枚貝とも言われ、その謎の生き物が妖気を吐いて、楼閣・楼台のような高い建物の幻を生じさせる、というのが「蜃気楼」という言葉のもともとの意味なのです。

 江戸時代には「蜃=ハマグリ」説が普及し、ハマグリが妖気を吐いて楼台を生じさせる図が、吉兆を示すおめでたいものとして絵に描かれ、皿やかんざしなどにも図案が使われました。

現代では蜃気楼にも科学の目が向けられ、空気の温度差による光の屈折で、遠くの景色が伸びたり縮んだりして見える現象であることが解明されてきました。とはいえ、実はまだ、蜃気楼にはわからないこと、未発見な真実がたくさんあります。

 たとえば、蜃気楼と言えば富山湾が有名で、北海道でも小樽や斜里などでも見られることが知られていましたが、最近になって、日本各地で、これまで蜃気楼が発生することが知られていなかったところでも観測例が次々と報告され、発見ラッシュが起きているのです。琵琶湖や猪苗代湖、大阪湾の蜃気楼は、その新発見により明らかにされたもので、本書でも詳しく紹介しています。

 本書は、日本各地の蜃気楼を美しい写真で紹介するだけでなく、蜃気楼の最新の研究成果から、なぜ見えるのか、どこに行けば見えるのか、どんな天気のときに見えるのかと言った観察のガイドまでも網羅。さらには、歴史や美術・骨董の中の蜃気楼までを扱った、世界初の完全ビジュアル・ガイドブックです。

◆3月~5月が蜃気楼のハイシーズン! 本書を片手に観測に出かけよう!

 蜃気楼は、その背景にある歴史も科学も面白いのですが、とにかく本物の現象を目撃するのがいちばん。大変素晴らしい体験で、誰もが驚くこと間違いありません。

 蜃気楼が最もよく見られるのは、多くの地域で3月~5月頃で、年に数回しか発生しないレアな現象です。晴れて風が穏やかな日に発生しやすいと言われていますが、風向きや、朝昼の寒暖の差も影響すると言われています。天気予報などの情報を利用することで、発生の予測はある程度可能です。本書では、各観測地ごとに、どんな時期のどんな天気のときに発生しやすいかも、観測の実体験に基づいて書かれています。

 また、場所も重要です。どこでも見られるわけでなく、蜃気楼が見られる地域でも、観測ポイントは限られます。本書ではその観測ポイントも惜しみなく公開。カメラや双眼鏡をはじめとした、観察に必要な道具についてもアドバイス満載です。

 さらに、近くに蜃気楼発生地がない方、とくに関東地方にお住まいの方のために、蜃気楼のメッカである魚津に、日帰りで蜃気楼を見に行くためのガイドも掲載。朝、天気予報図を見て蜃気楼の発生の可能性を確認してから、北陸新幹線を利用して昼まえに到着、観測するというもの。天気図による予測を使うと、成功の確率がグンと上がります。

 様々な側面から見ることができ、興味の尽きない蜃気楼。本書をきっかけに、蜃気楼への興味を持っていただき、関連する知識が普及することを期待しています。

 (担当/久保田)

著者紹介

日本蜃気楼協議会

全国各地の蜃気楼に関する情報交換、調査研究、教育の普及を図ることを目的に2003年に発足した団体。会員は気象や教育関係者、博物館・科学館に携わる人から、カメラマンや蜃気楼愛好家など、バラエティに富む。毎年、研究発表会等を開催し、会員相互の親睦を図っている。蜃気楼に興味を持った人であれば誰でも入会できる。詳細はウェブサイトを参照。  

http://www.japan-mirage.org/

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戦後日本の歴史認識に変更を迫る卓抜な論考集!『アメリカの対日政策を読み解く』渡辺惣樹著

アメリカの対日政策を読み解く

渡辺惣樹 著

◆日本人はアメリカの行動原理がわかっていない

 米大統領選の候補者選びで共和党トランプ氏の優勢が報じられています。メディアの下馬評にもあがってなかった、まさに予想外の展開です。我が外務省では急遽、氏について情報収集を始めた由。同盟国アメリカの動向が日本の政治・外交に重大な影響を与えることは自明で、あらゆる可能性をシミュレートして然るべき外交のプロが俄かに情報集めに走った気配が窺えて、何やら不安な気持ちになります。しかし顧みれば、ペリー来航により開国して以来、日本はアメリカの政治・外交の転換、その対日政策の変容にそのつど戸惑い、翻弄されてきたと言えます。日米開戦の衝撃は言うまでもなく、戦後も、日本の頭越しの米中接近を危惧する朝海浩一郎(元駐米大使)の〝悪夢〟が、ニクソン政権下で現実のものとなった衝撃は、当時を知る者にとっては圧倒的でした。百六十余年に及ぶ交流の歴史を持ち、大量の情報に接していながら、アメリカという国を、またその行動原理を日本人は今にいたるも十分に理解できていないということでしょう。

◆知られざるドラマから対日政策変容の由来を探る

 本書は、日米近現代史のトピックスを独自の視点で解釈した一連の著作が高く評価されている渡辺氏が、オピニオン誌を中心に発表した論考、インタビュー、自身が翻訳を手がけた著作の訳者あとがき等を集めた評論集です。渡辺氏は初めての著作『日本開国』(二〇〇七年、小社刊)において、ペリー来航の本当の狙いは、中国市場をめぐるイギリスとの通商戦争を戦うためのシーレーンの確保にあったと説き、日本未紹介の米政府資料をもとに、日本開国プロジェクトの立案者を特定しています。この画期的な「開国史」を上梓していらい、渡辺氏は、壮大かつ斬新な「日米開戦史」を書き継ぎ、また、TPPや米露資源戦争などのヴィヴィッドなテーマを取り上げてアメリカ外交の真意を推し量る著作・翻訳書をものしてきました。こうした意欲的な執筆活動から〝スピンオフ〟した本書収録論考の主要テーマはアメリカの対日政策であり、日米関係を画した事件の背後で進行していた知られざるドラマを俎上にのせ、米側資料に依拠しつつ、通説からは決して見えてこない、対日政策変容の由来を探っています。

◆「ルーズベルトの開戦責任」を問う

 論考が扱う内容は明治期の日米関係からヒラリー・クリントンの外交政策まで広範囲に及びますが、そこには日米戦争の本当の開戦原因は何だったのかという渡辺氏の問題意識が貫かれているように思われます。アメリカにとってのフィリピンの重要性、米西海岸で顕著だった人種差別運動、米国世論の八割が第二次大戦参戦に反対していたこと、ルーズベルトの異常な政治的野心、彼とチャーチルの密約、アメリカの過干渉外交の伝統等々、多面的なアプローチによってこの点が追究されています。そして、日米を最大の悲劇に導いた責任の多くはルーズベルトの無定見な外交政策にあり、米国の責任ある立場の人々はこれを認めるようになっているとの渡辺氏の指摘はきわめて重要で、敗戦を機に定着した日本人の歴史認識を一変させるものと言っても過言ではありません。

(担当/A)

著者紹介

渡辺惣樹(わたなべ・そうき)

日米近現代史研究家。1954年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本未紹介の膨大な米英資料を読み込み、開国以来の日米関係を主義・主張を排した合理的な視点をもって解釈した一連の著作が高い評価を受ける。オピニオン誌を中心に、日米の開戦原因、最新のアメリカ政治をテーマとした論考を発表。著書に『日本開国』『日米衝突の根源 1858-1908』『日米衝突の萌芽 1898-1918』(第22回山本七平賞奨励賞)『朝鮮開国と日清戦争』『TPP 知財戦争の始まり』、訳書に『日本 1852』『日米開戦の人種的側面 アメリカの反省1944』『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』『ルーズベルトの開戦責任』『ルーズベルトの死の秘密』『コールダー・ウォー』『ダレス兄弟』(いずれも草思社刊)。

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スマートで安全な運転を身につけたいなら、コレだ!―『徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版』

徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版
徳大寺有恒 著

◆読み継がれる定番の運転バイブル。読むだけでうまくなる、安全になる!

 長年にわたり支持され、数多くのドライバーに読まれてきた、クルマ巨匠・徳大寺さんによる運転読本が新しくなって登場しました。『決定版 徳大寺有恒のクルマ運転術』(2005年刊)に、技術進歩や制度変更に関する最新事情をふまえて、編集部が修正を加えたアップデート版です。徳大寺メソッドの運転バイブルが、末永く読み継いでいただけるようになりました。

 2014年に惜しまれつつ亡くなった徳大寺さん。その運転歴は50年以上、元レーサーでもあり、自動車評論家として数え切れないほどたくさんのクルマに乗ってきた徳大寺さんですから、内容は折り紙付きです。本書はいわゆる「ドラテク」本ではなく、ふつうの道路をいかに安全に快適に運転するかを、これ以上なくわかりやすく解いたもの。「そうだったのか!」と目からウロコが落ちる実践的アドバイスが満載で、まさに読むだけで運転がうまくなる本です。

◆論理的でわかりやすい! 徳大寺流快適運転の極意

 一例を挙げるなら、「周囲にアピールする運転」ということを、徳大寺さんは強調しています。たとえば、右折信号のない交差点で右折する場合。一刻も早く交差点を脱出したいと思うあまり、あわててアクセルを踏みがちです。しかし、これが事故のもと。横断歩道を渡る自転車と衝突したり、あるいはアクセルを急に強く踏んだものの途中で不安になって急ブレーキ、後続車に追突されたりといった目に遭うことが多いのです。では、どうしたらいいでしょうか。

 徳大寺さんは、こういうときこそ、あえてゆっくり、まわりに自分の行為をアピールしつつ曲がるべきだといいます。ゆっくり曲がれば、自転車も後続車も、横から来るクルマも、事態にどう反応すべきか判断する余裕ができます。イラついた他車にクラクションを鳴らされるとしても、相手はこちらのすることを見ているのですから、絶対にぶつかってくることはありません。へんに遠慮してあわてるのが間違いで、ゆっくりアピールして曲がるのが右折の「正解」なのです。

 徳大寺さんはこのほかにも、いくつもの運転の「原則」を挙げていて、それらの原則をもとに、具体的な運転の場面でどう対処したらいいかを非常に論理的に、わかりやすく解説しています。

 その表現のうまさは徳大寺さんならでは。また、すべての項目が2ページで完結していて、とても読みやすくなっています。初心者からベテランまで、すべてのドライバーに自信を持ってオススメできる一冊です。

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【内容より】 

◎「ドラテク」より他車とのコミュニケーションが大切だ
◎運転は運動神経ではなくアタマでするものである
◎信号の変わりぎわの右折は、あえてゆっくり行うべし
◎ドライビングポジションがダメだと運転がヘタになる
◎教習所が禁じる「送りハンドル」だが、私はオススメする
◎狭い道でのすれ違いは、路肩に寄せず、対向車に寄せる
◎タクシーの後ろを走るときは車間距離を長めにとる
◎2車線あれば右側車線を走った方が安全だ
◎駐車で無駄な苦労をしないためのテクニックと知恵

著者紹介

徳大寺有恒 (とくだいじ・ありつね)
1939年東京生まれ。成城大学経済学部卒。初代クラウンが登場した1955年に運転免許を取得。1964年日本グランプリでレーサーとしてデビュー。その後、トヨタワークスチームを経て、フリーの自動車ジャーナリストに。1976年草思社刊『間違いだらけのクルマ選び』で自動車評論の新境地を開拓、社会に衝撃を与える。以降『年度版間違いだらけ』を2004年まで刊行、一時休刊したのち復活した『2011年版』からは島下泰久氏との共著として刊行。2014年11月7日、急逝。これまでに自動車運転術に関する本を多数執筆、いずれも版を重ねて長年にわたり読み継がれてきた。その著作によって上達したドライバーは数多い。

(担当:久保田)

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徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版 | 徳大寺 有恒 | 本-通販 | Amazon.co.jp

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「孫子の兵法」をしのぐ最強古典「鬼谷子(きこくし)」! 「はじめに」を公開。 『鬼谷子―100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』

鬼谷子―100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術

高橋健太郎 著 

 孫子に兵法を授けたとされる伝説の賢人・鬼谷子による最強古典を、現代にも役立つ「言葉の技術」として実戦的に読み説いた初の解説書『鬼谷子――100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』。「鬼谷子」の魅力や特徴を、古典初心者にもわかりやすくまとめた「はじめに」を公開します。

はじめに─『鬼谷子(きこくし)』、ここに解禁
 本書では、『鬼谷子』という二千数百年前に書かれた中国の古典を扱っています。
『鬼谷子』は、中国戦国時代に各国の王を弁舌で動かしてきた「縦横家(しょうおうか)」と言われる遊説家たちの、命がけの言葉の技術と理論が書かれた唯一の古典です。

なぜ『鬼谷子』は知られてこなかったか?
 とは言っても、この本を手にとってくださった皆さんのほとんどは、『鬼谷子』などという本は、見たことも聞いたこともないでしょう。
 日本では、今でも様々な中国古典が愛読されています。
儒教の開祖・孔子の言行録である『論語』、今でも人気の兵法書『孫子』、「無為自然」の教えを説いたタオイズムのバイブル『老子』、英雄たちの活躍を描いた歴史書である『史記』や『三国志』などなど。
 しかし、それに比べ、この『鬼谷子』は圧倒的に無名です。それもそのはず。日本で
は、研究論文を別にすれば、その内容を紹介した書籍が数冊あるだけで、戦後、翻訳自
体、単行本として出版されたことがないのです。
 それには、様々な理由があるでしょうが、主には、次の二つが挙げられます。
 一つは、一般に好まれる中国思想のイメージから言えば、「異端的」な書であること。
 そして、二つ目として、内容が抽象的かつ難解で、一般向きではないと誤解されてきたこと。

絶対安全圏から自分より強い人間を動かす技術
 まず、一つ目の理由ですが、たしかに『鬼谷子』は、ある面から見れば「異端的」な書かもしれません。
 この本の歴史的な出自に関しては本論冒頭で扱いますが、著者とされる鬼谷子は、本名を王詡(おうく)と言い、今の河南省にある雲夢山(うんぼうさん)に住んでいた古の賢人です。中国では、始皇帝に不老不死の霊薬を教え、「孫子」こと孫臏(そんぴん)に兵法を授けた人物としても知られています。しかし、これらの経歴は、本名を含め、すべて言い伝えや伝説の類の話。本当かどうかは分かりません。
 つまり、『鬼谷子』という書は、著者からして、神秘のベールの向こうにあるのです。
 そして、そこで書かれているテーマは、言葉を駆使し、他人を動かす技術。もっと言えば、王という自分より強い立場の人間を、自らの身を守りつつ言葉で動かす「策謀」の技術です。
 これから本書を読み進めていただければ分かりますが、その内容は恐ろしく実戦的。それだけに、中国古典と言えば、円満な道徳や穏当な人生訓をイメージしがちな日本人には、今まで注目されなかったのかもしれません。ここで展開されているのは、道徳すら武器として利用する善悪や美醜を超越した教えだからです。
 しかし、本来であれば、だからこそ現実に立ち向かう武器として、この「異端的」古典に触れておくことも必要だったのではないでしょうか?

『鬼谷子』は難しくない
 次に、『鬼谷子』が注目されてこなかった二つ目の理由ですが、たしかに『鬼谷子』の文章はそれ単体で読んだときに、難解に見えます。
「捭闔(はいこう)」「内揵(ないけん)」「飛箝(ひかん)」「抵巇(しぎ)」といった章の名前だけでも、『鬼谷子』を読まなければ、一生お目にかからないような漢語ですし、文章自体も素朴で意味をくみ取りにくいところが多いのも事実。
 そのせいか、一部で「言葉の技術について書かれている」とは知られていても、じゃあ実際にどんな弁論術、言葉の技術が書かれているか、という段になるとあやふやになってきたのです。
 しかし、今ではこうした古典についての研究も進んでいますし、それを踏まえ、また
「言葉の技術について書かれている」という当たり前の意識を中心にすえて読んでいけば、意外なほどすっきりと明快に内容が浮かび上がってきます。
 そして、そうした内容を紹介することこそ、本書の意図なのです。

『鬼谷子』の技術、本邦初公開
 本書は、『鬼谷子』を純粋に「言葉の技術書」として実戦的に読み説き紹介する、おそらく本邦初の本です。したがって、ここに書かれた技術もまた、本邦初公開のメソッドであると言って差し支えないでしょう。
 現在では、コミュニケーションに関する本、弁論術に関する本は多数出ています。
 しかし、これから本書で見ていく、陰陽の原理に従い、身を守り、強者を動かす『鬼谷子』の策謀の技術は、おそらく今までにないもの。大いに刺激的だと思います。
 では、前置きはこれくらいにして、そろそろ本論に入ることとしましょう。まずは、『鬼谷子』とはどういう本なのか、からです。

※本書「はじめに」より抜粋

 二千数百年前の書とは思えない、人間心理を鋭くとらえた「鬼谷子」は、今読んでもまったく古びることがないどころか、日常に役立つリアルな技術に驚かれることでしょう。この続きはぜひ本書を手に取ってご覧ください。

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鬼谷子: 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術 | 高橋 健太郎 | 本 | Amazon.co.jp

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鬼谷子 | 書籍案内 | 草思社

最強の自動車バイヤーズガイドが今年も電子書籍化――島下泰久『2016年版間違いだらけのクルマ選び』

2016年版間違いらだけのクルマ選び

島下泰久著

 

国産車ほぼすべて網羅。自動車業界研究本としてもオススメ 

 共著者だった故・徳大寺有恒氏から受け継いで、2016年版より島下泰久氏の単独著書として再スタートした『間違いだらけ』が、今期版も電子書籍として登場しました。アマゾンKindle、楽天Kobo、紀伊國屋キノッピーなどで購入できるようになりました。

 本書は、国産車のほぼすべてを網羅して、ひとりの自動車評論家が批評する唯一の媒体。電子書籍となって、利便性も向上。クルマ購入ガイドとして、あるいはクルマ業界研究本として、自信を持ってオススメできる定番本です。

 既に『2016年版』を紙の本としてご購入の『間違いだらけ』ファンの方も、電子書籍になったことで、周囲の方に本書をオススメしやすくなることでしょう。クルマ購入を検討しているお友達や、就職活動や株式投資でクルマ業界研究をしているまわりの方に、ぜひ「電子版もあるよ!」と紹介してあげてください!

クルマ選びにもっと楽しみと妄想を!

 折しもクルマ界は空前の激動期。自動運転実現前夜にあり、動力源も燃料電池、EVにディーゼルなど百花繚乱、「いいクルマ」の評価基準も多様化していると言えるでしょう。ユーザーのクルマ選びは、かつてないほどに悩ましく、そしてとてつもなく面白くなっています。

 だからこそ『2016年版間違いだらけ』は原点回帰し、「クルマ選び指南」に注力。

 徳大寺さんに負けないクルマ好きの島下さんが、長年にわたり買いたいクルマをあれこれ妄想し続け、実際に買ってきた経験から「クルマを選ぶこと」の新しい楽しみ方を提案。激動期のクルマ界ならではのクルマ選びの面白さ、まさに今こそユーザーが享受すべきこの喜びの味わい方を伝えます。もちろんクルマ批評の舌鋒もより鋭く、ダメグルマを一刀両断! 新時代『間違いだらけ』にご注目ください!

 

  • クルマがもっと楽しくなる2大特集

◎第1特集 東京モーターショー

――刮目のコンセプトカ―目白押し。見所たっぷりだった! 

◎第2特集 楽しく悩め! 価格帯別クルマ選び

――永遠の楽しみ“「次、何買う?」妄想”を遊び尽くせ!

 

※カバー画像がダウンロードできます→ https://goo.gl/rc6XPW

 

Kindleでの購入はこちら

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キノッピーでの購入はこちら

 

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手書きで“穴あけ問題" を作るだけで、必ず学びが身につく?! 『考える力を鍛える「穴あけ」勉強法』

難関資格・東大大学院も一発合格できた!

考える力を鍛える「穴あけ」勉強法

河合薫 著

◆華麗なるキャリアを支えてきたオリジナルの独学法 

 すべては f:id:soshishablog:20160226182011j:plainから始まるーー。

 さて、あなたは、この空欄に何を入れますか?

 荒唐無稽なようですが、じつは、「穴あけ」勉強法というのはこれだけ。

 えっ、どういうこと?! 意味がわからない?! そう思いますよね。

 誰でも文章に穴が空いていると、「ん?なんだろう」とそこに目が留まり、瞬間にいろいろ考えて、穴を埋めようとします。この誰もが持っている、穴を埋めたくなる習性を利用したのが、河合式「穴あけ」勉強法なのです。 

 著者の河合薫さんは、国際線CA → お天気キャスター(第1回気象予報士合格)→ 東大医学系大学院学術博士(Ph.D.) という華々しいキャリアの持ち主。でも、そのキャリアを支えてきたのは、忙しいなかで、毎日少しずつ手書きで作った下の写真のような「穴あけ問題集」による独学だったのです。

◆「穴あけ」と「穴埋め」は、対極にある

 市販の穴埋め式問題集を説くことと、自分で文章に穴をあけて穴あけ問題を作り、答え、考えることは、学びとして対極にあります。「穴埋め」で鍛えられるのは暗記力のみ、対する「穴あけ」は、記憶力だけでなく、思考力、発想のトレーニング法としても効果が期待できるとか。

 本書では、穴あけ問題の作り方といった勉強のノウハウに始まり、仕事に必要な企画力や発想力、思考力を磨くために「穴あけ」勉強法を活用するヒントが、著者の『ニュースステーション』(テレビ朝日)のお天気キャスター時代や大学院時代のユニークな体験や事例、苦労話などを交えて詳しく紹介されています。

 すべては、穴あけから始まる――。「学び直したい!」「新商品を考えたい!」「資格を取りたい!」「セカンドキャリアを考えている!」といった方には、とくにお勧めしたい一冊です。

 

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(河合さんが気象予報士試験の勉強で作成した「穴あけ」ノートの実物)

 

(担当 三田)

目 次
第1章「穴あけ」勉強法とは?
第2章「穴あけ」すれば勉強の習慣が自然と身につく
第3章「穴あけ」からアメーバ化で知識を応用できる
第4章「穴あけ」からアナロジーで想像力を鍛える
第5章 強みを発展させてイノベーションを起こす

著者紹介 

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者、気象予報士。 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D.)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークし、その数は600人に迫る。長岡技術科学大学、東京大学、早稲田大学などで非常勤講師を歴任。著書に『人生を変えるココロノート』(東洋経済新報社)『<他人力>を使えない上司はいらない! 』(PHP研究所)『体調予報』(講談社α新書)など多数。

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