草思社のblog

ノンフィクション書籍を中心とする出版社・草思社のブログ。

戦後日本の歴史認識に変更を迫る卓抜な論考集!『アメリカの対日政策を読み解く』渡辺惣樹著

アメリカの対日政策を読み解く

渡辺惣樹 著

◆日本人はアメリカの行動原理がわかっていない

 米大統領選の候補者選びで共和党トランプ氏の優勢が報じられています。メディアの下馬評にもあがってなかった、まさに予想外の展開です。我が外務省では急遽、氏について情報収集を始めた由。同盟国アメリカの動向が日本の政治・外交に重大な影響を与えることは自明で、あらゆる可能性をシミュレートして然るべき外交のプロが俄かに情報集めに走った気配が窺えて、何やら不安な気持ちになります。しかし顧みれば、ペリー来航により開国して以来、日本はアメリカの政治・外交の転換、その対日政策の変容にそのつど戸惑い、翻弄されてきたと言えます。日米開戦の衝撃は言うまでもなく、戦後も、日本の頭越しの米中接近を危惧する朝海浩一郎(元駐米大使)の〝悪夢〟が、ニクソン政権下で現実のものとなった衝撃は、当時を知る者にとっては圧倒的でした。百六十余年に及ぶ交流の歴史を持ち、大量の情報に接していながら、アメリカという国を、またその行動原理を日本人は今にいたるも十分に理解できていないということでしょう。

◆知られざるドラマから対日政策変容の由来を探る

 本書は、日米近現代史のトピックスを独自の視点で解釈した一連の著作が高く評価されている渡辺氏が、オピニオン誌を中心に発表した論考、インタビュー、自身が翻訳を手がけた著作の訳者あとがき等を集めた評論集です。渡辺氏は初めての著作『日本開国』(二〇〇七年、小社刊)において、ペリー来航の本当の狙いは、中国市場をめぐるイギリスとの通商戦争を戦うためのシーレーンの確保にあったと説き、日本未紹介の米政府資料をもとに、日本開国プロジェクトの立案者を特定しています。この画期的な「開国史」を上梓していらい、渡辺氏は、壮大かつ斬新な「日米開戦史」を書き継ぎ、また、TPPや米露資源戦争などのヴィヴィッドなテーマを取り上げてアメリカ外交の真意を推し量る著作・翻訳書をものしてきました。こうした意欲的な執筆活動から〝スピンオフ〟した本書収録論考の主要テーマはアメリカの対日政策であり、日米関係を画した事件の背後で進行していた知られざるドラマを俎上にのせ、米側資料に依拠しつつ、通説からは決して見えてこない、対日政策変容の由来を探っています。

◆「ルーズベルトの開戦責任」を問う

 論考が扱う内容は明治期の日米関係からヒラリー・クリントンの外交政策まで広範囲に及びますが、そこには日米戦争の本当の開戦原因は何だったのかという渡辺氏の問題意識が貫かれているように思われます。アメリカにとってのフィリピンの重要性、米西海岸で顕著だった人種差別運動、米国世論の八割が第二次大戦参戦に反対していたこと、ルーズベルトの異常な政治的野心、彼とチャーチルの密約、アメリカの過干渉外交の伝統等々、多面的なアプローチによってこの点が追究されています。そして、日米を最大の悲劇に導いた責任の多くはルーズベルトの無定見な外交政策にあり、米国の責任ある立場の人々はこれを認めるようになっているとの渡辺氏の指摘はきわめて重要で、敗戦を機に定着した日本人の歴史認識を一変させるものと言っても過言ではありません。

(担当/A)

著者紹介

渡辺惣樹(わたなべ・そうき)

日米近現代史研究家。1954年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本未紹介の膨大な米英資料を読み込み、開国以来の日米関係を主義・主張を排した合理的な視点をもって解釈した一連の著作が高い評価を受ける。オピニオン誌を中心に、日米の開戦原因、最新のアメリカ政治をテーマとした論考を発表。著書に『日本開国』『日米衝突の根源 1858-1908』『日米衝突の萌芽 1898-1918』(第22回山本七平賞奨励賞)『朝鮮開国と日清戦争』『TPP 知財戦争の始まり』、訳書に『日本 1852』『日米開戦の人種的側面 アメリカの反省1944』『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』『ルーズベルトの開戦責任』『ルーズベルトの死の秘密』『コールダー・ウォー』『ダレス兄弟』(いずれも草思社刊)。

f:id:soshishablog:20160329094609j:plain f:id:soshishablog:20160329094620j:plain

Amazon.co.jp : アメリカの対日政策を読み解く : 渡辺 惣樹 : 本

楽天ブックス: アメリカの対日政策を読み解く - 渡辺惣樹 - 4794221932 : 本

アメリカの対日政策を読み解く | 書籍案内 | 草思社

スマートで安全な運転を身につけたいなら、コレだ!―『徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版』

徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版
徳大寺有恒 著

◆読み継がれる定番の運転バイブル。読むだけでうまくなる、安全になる!

 長年にわたり支持され、数多くのドライバーに読まれてきた、クルマ巨匠・徳大寺さんによる運転読本が新しくなって登場しました。『決定版 徳大寺有恒のクルマ運転術』(2005年刊)に、技術進歩や制度変更に関する最新事情をふまえて、編集部が修正を加えたアップデート版です。徳大寺メソッドの運転バイブルが、末永く読み継いでいただけるようになりました。

 2014年に惜しまれつつ亡くなった徳大寺さん。その運転歴は50年以上、元レーサーでもあり、自動車評論家として数え切れないほどたくさんのクルマに乗ってきた徳大寺さんですから、内容は折り紙付きです。本書はいわゆる「ドラテク」本ではなく、ふつうの道路をいかに安全に快適に運転するかを、これ以上なくわかりやすく解いたもの。「そうだったのか!」と目からウロコが落ちる実践的アドバイスが満載で、まさに読むだけで運転がうまくなる本です。

◆論理的でわかりやすい! 徳大寺流快適運転の極意

 一例を挙げるなら、「周囲にアピールする運転」ということを、徳大寺さんは強調しています。たとえば、右折信号のない交差点で右折する場合。一刻も早く交差点を脱出したいと思うあまり、あわててアクセルを踏みがちです。しかし、これが事故のもと。横断歩道を渡る自転車と衝突したり、あるいはアクセルを急に強く踏んだものの途中で不安になって急ブレーキ、後続車に追突されたりといった目に遭うことが多いのです。では、どうしたらいいでしょうか。

 徳大寺さんは、こういうときこそ、あえてゆっくり、まわりに自分の行為をアピールしつつ曲がるべきだといいます。ゆっくり曲がれば、自転車も後続車も、横から来るクルマも、事態にどう反応すべきか判断する余裕ができます。イラついた他車にクラクションを鳴らされるとしても、相手はこちらのすることを見ているのですから、絶対にぶつかってくることはありません。へんに遠慮してあわてるのが間違いで、ゆっくりアピールして曲がるのが右折の「正解」なのです。

 徳大寺さんはこのほかにも、いくつもの運転の「原則」を挙げていて、それらの原則をもとに、具体的な運転の場面でどう対処したらいいかを非常に論理的に、わかりやすく解説しています。

 その表現のうまさは徳大寺さんならでは。また、すべての項目が2ページで完結していて、とても読みやすくなっています。初心者からベテランまで、すべてのドライバーに自信を持ってオススメできる一冊です。

f:id:soshishablog:20160317153315j:plain

【内容より】 

◎「ドラテク」より他車とのコミュニケーションが大切だ
◎運転は運動神経ではなくアタマでするものである
◎信号の変わりぎわの右折は、あえてゆっくり行うべし
◎ドライビングポジションがダメだと運転がヘタになる
◎教習所が禁じる「送りハンドル」だが、私はオススメする
◎狭い道でのすれ違いは、路肩に寄せず、対向車に寄せる
◎タクシーの後ろを走るときは車間距離を長めにとる
◎2車線あれば右側車線を走った方が安全だ
◎駐車で無駄な苦労をしないためのテクニックと知恵

著者紹介

徳大寺有恒 (とくだいじ・ありつね)
1939年東京生まれ。成城大学経済学部卒。初代クラウンが登場した1955年に運転免許を取得。1964年日本グランプリでレーサーとしてデビュー。その後、トヨタワークスチームを経て、フリーの自動車ジャーナリストに。1976年草思社刊『間違いだらけのクルマ選び』で自動車評論の新境地を開拓、社会に衝撃を与える。以降『年度版間違いだらけ』を2004年まで刊行、一時休刊したのち復活した『2011年版』からは島下泰久氏との共著として刊行。2014年11月7日、急逝。これまでに自動車運転術に関する本を多数執筆、いずれも版を重ねて長年にわたり読み継がれてきた。その著作によって上達したドライバーは数多い。

(担当:久保田)

f:id:soshishablog:20160317154131j:plain

徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版 | 徳大寺 有恒 | 本-通販 | Amazon.co.jp

楽天ブックス: 徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版 - 徳大寺有恒 - 4794221924 : 本

徳大寺有恒のクルマ運転術 アップデート版 | 書籍案内 | 草思社

「孫子の兵法」をしのぐ最強古典「鬼谷子(きこくし)」! 「はじめに」を公開。 『鬼谷子―100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』

鬼谷子―100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術

高橋健太郎 著 

 孫子に兵法を授けたとされる伝説の賢人・鬼谷子による最強古典を、現代にも役立つ「言葉の技術」として実戦的に読み説いた初の解説書『鬼谷子――100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』。「鬼谷子」の魅力や特徴を、古典初心者にもわかりやすくまとめた「はじめに」を公開します。

はじめに─『鬼谷子(きこくし)』、ここに解禁
 本書では、『鬼谷子』という二千数百年前に書かれた中国の古典を扱っています。
『鬼谷子』は、中国戦国時代に各国の王を弁舌で動かしてきた「縦横家(しょうおうか)」と言われる遊説家たちの、命がけの言葉の技術と理論が書かれた唯一の古典です。

なぜ『鬼谷子』は知られてこなかったか?
 とは言っても、この本を手にとってくださった皆さんのほとんどは、『鬼谷子』などという本は、見たことも聞いたこともないでしょう。
 日本では、今でも様々な中国古典が愛読されています。
儒教の開祖・孔子の言行録である『論語』、今でも人気の兵法書『孫子』、「無為自然」の教えを説いたタオイズムのバイブル『老子』、英雄たちの活躍を描いた歴史書である『史記』や『三国志』などなど。
 しかし、それに比べ、この『鬼谷子』は圧倒的に無名です。それもそのはず。日本で
は、研究論文を別にすれば、その内容を紹介した書籍が数冊あるだけで、戦後、翻訳自
体、単行本として出版されたことがないのです。
 それには、様々な理由があるでしょうが、主には、次の二つが挙げられます。
 一つは、一般に好まれる中国思想のイメージから言えば、「異端的」な書であること。
 そして、二つ目として、内容が抽象的かつ難解で、一般向きではないと誤解されてきたこと。

絶対安全圏から自分より強い人間を動かす技術
 まず、一つ目の理由ですが、たしかに『鬼谷子』は、ある面から見れば「異端的」な書かもしれません。
 この本の歴史的な出自に関しては本論冒頭で扱いますが、著者とされる鬼谷子は、本名を王詡(おうく)と言い、今の河南省にある雲夢山(うんぼうさん)に住んでいた古の賢人です。中国では、始皇帝に不老不死の霊薬を教え、「孫子」こと孫臏(そんぴん)に兵法を授けた人物としても知られています。しかし、これらの経歴は、本名を含め、すべて言い伝えや伝説の類の話。本当かどうかは分かりません。
 つまり、『鬼谷子』という書は、著者からして、神秘のベールの向こうにあるのです。
 そして、そこで書かれているテーマは、言葉を駆使し、他人を動かす技術。もっと言えば、王という自分より強い立場の人間を、自らの身を守りつつ言葉で動かす「策謀」の技術です。
 これから本書を読み進めていただければ分かりますが、その内容は恐ろしく実戦的。それだけに、中国古典と言えば、円満な道徳や穏当な人生訓をイメージしがちな日本人には、今まで注目されなかったのかもしれません。ここで展開されているのは、道徳すら武器として利用する善悪や美醜を超越した教えだからです。
 しかし、本来であれば、だからこそ現実に立ち向かう武器として、この「異端的」古典に触れておくことも必要だったのではないでしょうか?

『鬼谷子』は難しくない
 次に、『鬼谷子』が注目されてこなかった二つ目の理由ですが、たしかに『鬼谷子』の文章はそれ単体で読んだときに、難解に見えます。
「捭闔(はいこう)」「内揵(ないけん)」「飛箝(ひかん)」「抵巇(しぎ)」といった章の名前だけでも、『鬼谷子』を読まなければ、一生お目にかからないような漢語ですし、文章自体も素朴で意味をくみ取りにくいところが多いのも事実。
 そのせいか、一部で「言葉の技術について書かれている」とは知られていても、じゃあ実際にどんな弁論術、言葉の技術が書かれているか、という段になるとあやふやになってきたのです。
 しかし、今ではこうした古典についての研究も進んでいますし、それを踏まえ、また
「言葉の技術について書かれている」という当たり前の意識を中心にすえて読んでいけば、意外なほどすっきりと明快に内容が浮かび上がってきます。
 そして、そうした内容を紹介することこそ、本書の意図なのです。

『鬼谷子』の技術、本邦初公開
 本書は、『鬼谷子』を純粋に「言葉の技術書」として実戦的に読み説き紹介する、おそらく本邦初の本です。したがって、ここに書かれた技術もまた、本邦初公開のメソッドであると言って差し支えないでしょう。
 現在では、コミュニケーションに関する本、弁論術に関する本は多数出ています。
 しかし、これから本書で見ていく、陰陽の原理に従い、身を守り、強者を動かす『鬼谷子』の策謀の技術は、おそらく今までにないもの。大いに刺激的だと思います。
 では、前置きはこれくらいにして、そろそろ本論に入ることとしましょう。まずは、『鬼谷子』とはどういう本なのか、からです。

※本書「はじめに」より抜粋

 二千数百年前の書とは思えない、人間心理を鋭くとらえた「鬼谷子」は、今読んでもまったく古びることがないどころか、日常に役立つリアルな技術に驚かれることでしょう。この続きはぜひ本書を手に取ってご覧ください。

f:id:soshishablog:20160115135524j:plain f:id:soshishablog:20160115135606j:plain

鬼谷子: 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術 | 高橋 健太郎 | 本 | Amazon.co.jp

楽天ブックス: 鬼谷子 - 100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技 - 高橋健太郎 - 4794221770 : 本

鬼谷子 | 書籍案内 | 草思社

最強の自動車バイヤーズガイドが今年も電子書籍化――島下泰久『2016年版間違いだらけのクルマ選び』

2016年版間違いらだけのクルマ選び

島下泰久著

 

国産車ほぼすべて網羅。自動車業界研究本としてもオススメ 

 共著者だった故・徳大寺有恒氏から受け継いで、2016年版より島下泰久氏の単独著書として再スタートした『間違いだらけ』が、今期版も電子書籍として登場しました。アマゾンKindle、楽天Kobo、紀伊國屋キノッピーなどで購入できるようになりました。

 本書は、国産車のほぼすべてを網羅して、ひとりの自動車評論家が批評する唯一の媒体。電子書籍となって、利便性も向上。クルマ購入ガイドとして、あるいはクルマ業界研究本として、自信を持ってオススメできる定番本です。

 既に『2016年版』を紙の本としてご購入の『間違いだらけ』ファンの方も、電子書籍になったことで、周囲の方に本書をオススメしやすくなることでしょう。クルマ購入を検討しているお友達や、就職活動や株式投資でクルマ業界研究をしているまわりの方に、ぜひ「電子版もあるよ!」と紹介してあげてください!

クルマ選びにもっと楽しみと妄想を!

 折しもクルマ界は空前の激動期。自動運転実現前夜にあり、動力源も燃料電池、EVにディーゼルなど百花繚乱、「いいクルマ」の評価基準も多様化していると言えるでしょう。ユーザーのクルマ選びは、かつてないほどに悩ましく、そしてとてつもなく面白くなっています。

 だからこそ『2016年版間違いだらけ』は原点回帰し、「クルマ選び指南」に注力。

 徳大寺さんに負けないクルマ好きの島下さんが、長年にわたり買いたいクルマをあれこれ妄想し続け、実際に買ってきた経験から「クルマを選ぶこと」の新しい楽しみ方を提案。激動期のクルマ界ならではのクルマ選びの面白さ、まさに今こそユーザーが享受すべきこの喜びの味わい方を伝えます。もちろんクルマ批評の舌鋒もより鋭く、ダメグルマを一刀両断! 新時代『間違いだらけ』にご注目ください!

 

  • クルマがもっと楽しくなる2大特集

◎第1特集 東京モーターショー

――刮目のコンセプトカ―目白押し。見所たっぷりだった! 

◎第2特集 楽しく悩め! 価格帯別クルマ選び

――永遠の楽しみ“「次、何買う?」妄想”を遊び尽くせ!

 

※カバー画像がダウンロードできます→ https://goo.gl/rc6XPW

 

Kindleでの購入はこちら

Koboでの購入はこちら

キノッピーでの購入はこちら

 

f:id:soshishablog:20151203134154j:plain f:id:soshishablog:20151203134204j:plain

2016年版間違いだらけのクルマ選び | 島下 泰久 | 本-通販 | Amazon.co.jp

楽天ブックス: 間違いだらけのクルマ選び(2016年版) - 島下泰久 - 4794221762 : 本

2016年版間違いだらけのクルマ選び | 書籍案内 | 草思社

手書きで“穴あけ問題" を作るだけで、必ず学びが身につく?! 『考える力を鍛える「穴あけ」勉強法』

難関資格・東大大学院も一発合格できた!

考える力を鍛える「穴あけ」勉強法

河合薫 著

◆華麗なるキャリアを支えてきたオリジナルの独学法 

 すべては f:id:soshishablog:20160226182011j:plainから始まるーー。

 さて、あなたは、この空欄に何を入れますか?

 荒唐無稽なようですが、じつは、「穴あけ」勉強法というのはこれだけ。

 えっ、どういうこと?! 意味がわからない?! そう思いますよね。

 誰でも文章に穴が空いていると、「ん?なんだろう」とそこに目が留まり、瞬間にいろいろ考えて、穴を埋めようとします。この誰もが持っている、穴を埋めたくなる習性を利用したのが、河合式「穴あけ」勉強法なのです。 

 著者の河合薫さんは、国際線CA → お天気キャスター(第1回気象予報士合格)→ 東大医学系大学院学術博士(Ph.D.) という華々しいキャリアの持ち主。でも、そのキャリアを支えてきたのは、忙しいなかで、毎日少しずつ手書きで作った下の写真のような「穴あけ問題集」による独学だったのです。

◆「穴あけ」と「穴埋め」は、対極にある

 市販の穴埋め式問題集を説くことと、自分で文章に穴をあけて穴あけ問題を作り、答え、考えることは、学びとして対極にあります。「穴埋め」で鍛えられるのは暗記力のみ、対する「穴あけ」は、記憶力だけでなく、思考力、発想のトレーニング法としても効果が期待できるとか。

 本書では、穴あけ問題の作り方といった勉強のノウハウに始まり、仕事に必要な企画力や発想力、思考力を磨くために「穴あけ」勉強法を活用するヒントが、著者の『ニュースステーション』(テレビ朝日)のお天気キャスター時代や大学院時代のユニークな体験や事例、苦労話などを交えて詳しく紹介されています。

 すべては、穴あけから始まる――。「学び直したい!」「新商品を考えたい!」「資格を取りたい!」「セカンドキャリアを考えている!」といった方には、とくにお勧めしたい一冊です。

 

f:id:soshishablog:20160226181732j:plain

(河合さんが気象予報士試験の勉強で作成した「穴あけ」ノートの実物)

 

(担当 三田)

目 次
第1章「穴あけ」勉強法とは?
第2章「穴あけ」すれば勉強の習慣が自然と身につく
第3章「穴あけ」からアメーバ化で知識を応用できる
第4章「穴あけ」からアナロジーで想像力を鍛える
第5章 強みを発展させてイノベーションを起こす

著者紹介 

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者、気象予報士。 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D.)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークし、その数は600人に迫る。長岡技術科学大学、東京大学、早稲田大学などで非常勤講師を歴任。著書に『人生を変えるココロノート』(東洋経済新報社)『<他人力>を使えない上司はいらない! 』(PHP研究所)『体調予報』(講談社α新書)など多数。

f:id:soshishablog:20160226181536j:plain f:id:soshishablog:20160226181548j:plain

考える力を鍛える「穴あけ」勉強法: 難関資格・東大大学院も一発合格できた! | 河合薫 | 本 | Amazon.co.jp

楽天ブックス: 考える力を鍛える「穴あけ」勉強法 - 難関資格・東大大学院も一発合格できた! - 河合薫 - 4794221894 : 本

考える力を鍛える「穴あけ」勉強法 | 書籍案内 | 草思社

時短料理から生まれた家事も仕事もサクサクこなす方法 『サキドリ――じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を取り戻した小さな習慣 』

サキドリ

――じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を取り戻した小さな習慣 

田内しょうこ 著

◆忙しい人にとっていちばんの贅沢=じぶん時間

 子育て中の主婦や、忙しいワーキングマザーにとって、じぶん時間はいちばんの贅沢。子育てしながら料理研究家としてのキャリアを築いてきた著者は、サラリーマン時代はドジなミスばかり、家事でも失敗続き……。

 それが、いまでは、“時短料理の達人”として、料理ワークショップや講演を行うほどになりました。そんな著者が、バタバタして、じぶん時間がまるでなく、ツラかった「昔のわたし」を救いたいという思いから、家事と仕事に使える時間管理、段取り術を公開します。

◆時間管理は終業からスタートすべし

 複数の人が関わる仕事に比べ、プライベートは自分で手っ取り早く改善できる余地がある。プライベートが充実すれば、仕事にも相乗効果がある。そう考えた著者は、終業時を起点にプライベート時間の効率化を目指すようになりました。


 手始めに、ワーキングマザーとなって以来、最大の悩みだった「帰宅後に手早く料理する」という課題を解決するため、先手を打って次の作業を少しこなす「サキドリ」を身につけたのです。それは、独自の時短料理法となり、詳細は前作『時短料理のきほん』にまとめられています。本書では、著者が料理で培った「サキドリ」を、料理からそれ以外の家事、事務作業の効率化、時間管理へと展開していった経緯を綴っています。

◆小さな「できた!」を増やす→ついでを手グセに→じぶん時間が増える

 本書に書かれていることは、じつは段取りや時間管理に長けた人ならば当たり前なこと。でも多くの人はそれがなかなかできません。著者もそのひとりでした。


 それを可能にしたのが、小さなことを試す→できたら喜ぶ→できることは、ついでにやる→ついでの作業に慣れる→慣れたら「手グセ」にする、というサキドリ習慣づくり。あえて高いハードルを与えず、ごく簡単な作業をサキドリすることを繰り返し、5分のサキドリが30分も1時間もの余裕を生み出すことにつながったというのです。
 それって、本当なの?と思った方、まずは、実践してみてください!
(担当 三田)

目 次 
第1章 サキドリは、きゅうりの塩もみから始まる   
第2章 サキドリの時間術── 1日は何時間あるの?
第3章 サキドリ習慣 初級編── 「できた!」を増やす
第4章 サキドリ習慣 中級編── 「ついで」を手グセに
第5章 サキドリ習慣 上級編── いろいろ「サキドル」ともっとラク!
第6章 サキドリの時間術は終業から

著者紹介

田内しょうこ(Shoko Tauchi)

アメリカ・カリフォルニア州のミルズ女子大を卒業後、出版社勤 務を経て料理研究家に。雑誌、ウェブなどのメディアで活躍する ほか、忙しく働く女性や共働き家庭のための食事法や時短術を教 室、セミナーなどで伝える。著書に『時短料理のきほん』(草思社)『働くおうちの親子ごはん』シリーズ(英治出版)ほか.。

f:id:soshishablog:20160226133739j:plain f:id:soshishablog:20160226133751j:plain

サキドリ: じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を取り戻した小さな習慣 | 田内 しょうこ | 本 | Amazon.co.jp

楽天ブックス: サキドリ - じぶん時間ゼロ、ダメ主婦、ダメ社員だった私が人生を - 田内しょうこ - 4794221797 : 本

サキドリ | 書籍案内 | 草思社

文系不要論は的外れ。文系こそが大フロンティアだ! 『カルチャロミクス―文化をビッグデータで計測する』

カルチャロミクス―― 文化をビッグデータで計測する

エレツ・エイデン ジャン=バティースト・ミシェル 阪本芳久 訳

◆本をビッグデータとして扱い、研究に使う、新しい学問の登場

グーグル・Nグラム・ビューワーをご存じでしょうか。これはグーグル社がスキャンした数百万タイトルの書籍(過去、数世紀ぶん!)から、各年に発行された本に使われている任意の単語・フレーズの使用頻度をグラフに示すというもの。次のURLから、なんと誰でも使うことができます(残念ながら日本語には非対応)。


https://books.google.com/ngrams

 

たとえば、「Tokyo,Japan,Kyoto」と入力すると以下のようなグラフが表示され、それぞれの言葉が各年にどれくらいの頻度で使われたかがプロットされます。

 この技術の登場で、大量の文献をビッグデータとして活用するまったく新しい学問が誕生しました。本を人間ではなく、機械に読ませることにより、人間にはとてもできなかった驚くべきことを調べ、さらに動かしがたい証拠を数値により得ることができるのです。たとえば…

 ◎不規則変化動詞だった「burnt」はいつから「burned」になったか
 ◎使われている単語のうち、辞書にあるのはどのくらいの割合か
 ◎有名人になる人はだいたい何歳から有名になるのか
 ◎「天安門」「トロツキー」などの言葉が検閲で本から消えたことを明示する
 ◎クリスマスのあいさつ「Merry Christmas」はいつから使われるようになったか

 

◆次の科学革命は、“文系”の領域で起こるかもしれない

このように、大量の本を「測定」にかけることができるようになったおかげで、歴史や文学、言語などに関するまったく新しい事実がわかるようになりました。いわゆる「人文科学」にビッグデータが持ち込まれ、測定可能化・定量化されるようになった、とも言えます。

グーグル・Nグラム・ビューワーの開発者でもある本書の著者たちは、このようなビッグデータを使った方法で人間文化を研究する学問のことを「カルチャロミクス」と呼んでいます。この技術により、他にどんなことがわかるのか。人文科学や私たちの文化はどのように変化していくのか……。著者たちはこの分野の現在と未来を明らかにしていきます。

最近、日本政府の大学改編の動きに関連して「文系不要論」が話題になることがありますが、本書を読めば、それがいかに的外れかがわかるでしょう。いまや、人文科学こそが、大きな可能性をもった大フロンティアになりつつあるのです。遺伝学がヒトゲノムのビッグデータにより大きな役割を担うようになったのと同様に、歴史や文学、言語、そして私たちの文化の研究は今後、ビッグデータの活用により想像もできない飛躍を遂げることでしょう。

ビッグデータに興味のある方だけでなく、文学好きや歴史好きにもぜひ読んでいただきたい一冊です。

 

【本書の解説、「経済物理学における周辺研究」(高安美佐子〔東京工業大学〕)を以下で読むことができます。】

honz.jp

 (担当/久保田)

著者紹介

エレツ・エイデン Erez Aiden

2010年にハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号取得。数年間、ハーバード大のソサエティ・オブ・フェローズ、 Google社の客員研究者をつとめた後、ベイラー医科大学とライス大学の助教に就任し、そこでゲノム・アーキテクチャー・センターを率いた。2009年 にはMITテクノロジー・レビュー誌が選ぶTR35(最もイノベーティブな35歳以下の35人)のひとりに選ばれた。2012年には、合衆国政府が若手研究者に与える最高の栄誉であるPECASE賞を、ホワイトハウスより受けた。この賞は、共同研究者と共にゲノムの三次元構造を調べる技術を開発したことに 対して与えられたもの。ヒューストン在住。

ジャン=バティースト・ミシェル Jean-Baptiste Michel

フランス人、モーリタニア人。科学者、起業家。データ科学企業のクオンティファイド・ラボの創設者。ハーバード大学の準研究員。Google社の客 員研究員を務めたこともある。フランスのエコール・ポリテクニークを卒業。2010年にハーバード大学で博士号取得。フォーブス誌が選ぶ「30歳以下の 30人」のひとりに選ばれた。ニューヨーク、ブルックリン在住。

 

本書刊行までの10年間、両名はともにビッグデータを使って、人間の文化の研究してきた。その研究成果はネイチャー誌、サイエンス誌、ニューヨーク タイムズ紙の特集記事として取り上げられた。彼らが行った講演ビデオは、TED.comで100万回以上の再生を記録している。

 

【著者ふたりによるTEDトーク】

f:id:soshishablog:20160223143550j:plain f:id:soshishablog:20160223143604j:plain

Amazon.co.jp: カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する: エレツ エイデン, ジャン=バティースト ミシェル, 高安 美佐子, 阪本 芳久: 本

楽天ブックス: カルチャロミクス - 文化をビッグデータで計測する - エレツ・エイデン - 4794221878 : 本

カルチャロミクス | 書籍案内 | 草思社