草思社のblog

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ガミガミ叱らない子育てが子どもの能力を最大化する本当の理由『お母さんが知らない伸びる子の意外な行動』齋藤浩著

お母さんが知らない伸びる子の意外な行動

公立小学校教諭 齋藤浩 著

■子どもが伸びるためのたった1つの簡単なきっかけ
 子どもはかわいいけれど、余裕がなくなるとついイライラしたり、怒鳴ってしまったり…。なかなか思い通りにいかない自分の子育てにこのままでいいのか不安を感じているお母さんは多いものです。

 本書はそんなお母さんたちに向け、35年もの長い間小学校の現場で数多くの子育てに関する悩み相談を受けてきたベテラン教諭が、お母さんたちの子育てがそのままでいかに正しい方向に進んでいるのかを明示するものです。お母さんたちが自らの子育てを肯定し、子どものありのままを受け入れることこそが、子どもたちに変化を起こし、多種多様な能力を伸ばしていく土壌になると断言します。

■「これって、もしかしたら長所かも?」伸びる子は一見するとヘンな行動を取るものです
 子どもが持っている性格や特質は、何事も表裏一体です。往々にして“問題行動”の裏に子どもの長所が隠されていることが多いのです。従って今は悪いように見えても、けっして悲観することはないと著者は説きます。たとえ子どもの言動で問題があると感じても、すぐ否定せずその延長上を見るように努めることが肝要なのです。

 例えばお腹が空いたら冷蔵庫から食べ物を出して勝手に食べている子に対して、「お腹が空いたからって、どうして冷蔵庫を開けて食べてるの! ママ、このチーズ使おうと思ってたのに」と言ってしまうと、子どもは次から勝手に冷蔵庫を開けないばかりか、自分から勝手に行動してはいけないというメッセージと受け止めます。

 でも、この行動を子どもに主体性が身に付きつつある良い兆しだと捉えられれば、
「ママの助けを借りずに、よく自分で食べられるものを探したわね」とほめる言葉が出てくるでしょう。子どもは信じてもらえれば、その期待に応えようとするものです。「じゃあ今度はもっとママを助けよう」と思い、さらに主体性を発揮し、やがて自炊するようになることも期待できます。
 子どもの行動を否定せず、ありのままを受け入れることこそ、親にとっても子どもにとってもより良い結果につながっていくのです。
 子育て中の方にはぜひ手にとっていただきたい一冊です。たくさんの気づきが得られることでしょう。

(担当/吉田)

お母さんが知らない 伸びる子の意外な行動●目次           

はじめに 子どもが心配でたまらないのがお母さんです 

Part1 その“問題行動”の裏に、子どもの長所が隠されています
ウチの子は真面目過ぎて心配という親/ウチの子は元気過ぎて心配という親/社会に出て必要な力とは?/子どもは意外なところで伸びている/間違ったダメ出し、していませんか? 
Part2 その行動、コミュニケーション能力が高い証拠です
 ◎コミュニケーションとは分かち合い 
 ①学校での生活編 
給食中でもおしゃべりが止まらない/ときに取っ組み合いのケンカをする/嫌いなおかずを食べたくないと言い張る/自分が仕事を頼まれたのに友だちに丸投げする/怒られてもいつも返事だけは良い 
 ②家庭での生活編 
知らない子でも普通に家に連れてくる/友だちと遊ぶのに電話より口約束してくる/学校であったことを何でも細かく伝えようとする/雨が降ったら軒下で雨宿りする/宿題が終わっていないのに隠れて遊びに行ってしまう
Part3 その行動、主体性がある証拠です
 ◎子どもの意志や判断を尊重していますか 
 ①学校での生活編 
忘れ物をしても隣のクラスから平気で借りてくる/体育が楽しみで廊下を走ってしまう/みんなが外遊びに行っても一人残って教室で本を読む/授業時間になっているのを気付かず校庭で遊んでいる /給食でいろいろな食べ方を試す
 ②家庭での生活編 
家で料理ばかり作っている/玄関にランドセルを置きっぱなしで遊びに行く/お腹か空いたら冷蔵庫から何か出して勝手に食べている/朝早く起きて宿題の続きをやる/放課後の居場所がまったく特定できない

Part4 その行動、チャレンジ精神がある証拠です
 ◎たくさん失敗する意義 
 ①学校での生活編 
雨でもずっと校庭で楽しそうに遊んでいる/行ってはいけないという所に思わず行ってしまう/給食を食べる速さを競い合う/一度は学校に泊まってみたいと言う/ときにやたらと張り切って宿題を頑張ってくる 
 ②家庭での生活編 
わざわざ道にできた水たまりに入っていく/家から離れた知らない場所に遊びに行きたがる/プールを作ると言って空き地に穴を掘る/生き物をつかまえてきて上手に飼育する/一度に読み切れないほど何冊もの本を借りてくる
Part5 その行動、ストレス耐性がある証拠です
 ◎子どもたちを待ち受ける未来に備えて 
 ①学校での生活編 
窓ガラスを割ったくらいでは全然しょげない/汗がたれていても拭かない/水道水があるから水筒は要らないと言う/休み時間にひたすら鶴を折り続ける/授業中、わからなくてもよく手を挙げる 
 ②家庭での生活編 
取っておいたお菓子が湿気って食べられなくなった経験がある/何時間でも生き物を観察している 179/いつも早寝早起き/きょうだいでよくケンカする/へそを曲げたらてこでも動かない
おわりに 伸びる子は案外ヘンなんです 
正解のない子育て/前向きにとらえたい育てにくさ/やはりいい線行ってるのでは?/今日からチャレンジ

著者紹介

齋藤浩(さいとう・ひろし)

1963(昭和38)年、東京都生まれ。横浜国立大学教育学部初等国語科卒業。佛教大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。現在、神奈川県内公立小学校教諭。日本国語教育学会、日本生涯教育学会会員。これからの時代に合った学校教育の在り方を研究している。著書に『子どもを蝕む空虚な日本語』『教師という接客業』(以上、草思社)、『理不尽な保護者への対応術』『“学校のルーティン”を変えてみる』(以上、学事出版)などがある。

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