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シニアの加齢な日常を描く、一気読み必至の超短編小説集!『死んでしまえば最愛の人』小川有里 著

死んでしまえば最愛の人

小川有里 著

「人生100年時代」と言われる現在、70代、80代はひと昔のその世代とは違い、仕事もプライベートも「まだまだ現役」という方は多いのではないでしょうか?
本書はそんないまを生きるシニアたちのリアルな本音を「超短編」というかたちで抉り出した、新しいタイプの小説集です。
古希を過ぎても恋に萌える男女、犬も食わない老年夫婦の秘密、驚くべきイマドキ家族の実態、高齢者ならではの本音の友情物語……。身近になさそうでありそうなエピソードの数々。読み進めるうちに身につまされたり、励まされたり、思わずクスッと笑ってしまったり、と、読み手の感情はジェットコースターのように揺さぶられます。
年寄り=隠居という時代は遥か昔。いくつになっても人間は恋もするし、食欲も衰えないし、お金も大事だし、人のことだっておおいに気になります。おおいに苦労をさせられた夫も、亡くなってしまえば妻の勝ち。幸せだった日々だけを上書きしていけば、やがてダメ夫だっていつかは「最愛の人」になるのかもしれません。
帯のコピーには「読みだしたら止まらない あなたのまわりにもありそう39の人間模様」と記しましたが、ここに登場する主人公たちは、あなた自身、そしてあなたの親御さんや子どもや孫なのではないでしょうか。
著者の小川有里さんは「あとがき」でこのように記しています。
『主人公たちの生き方はたくましく、また柔軟でもある。思いがけない出来事にいっときはうろたえても嘆き過ぎることなく現実を受け止める。そうして、選んだ生き方を「これでいいんだよ」と自分に言い聞かせて納得し、前を向く。年齢(とし)をとる良さとは、まさにこういうふうに自分の生き方を肯定できるようになることかもしれない』
なるほど、長生きも悪くないかも!?
人気イラストレーター・村田善子さんの「おせんべいを食べる女性」のカバー装画が、作品そのもの魅力を表しています。
ぜひ本書を手に取っていただいて、思いきり笑って泣いて、楽しんでいただければ幸いです。

(担当/五十嵐)

 

目次

第1章 老い萌え
第2章 夫婦の道すじ
第3章 家族哀歌(エレジー)
第4章 今日の友は明日の友?
第5章 ときは流れて


<表題作『死んでしまえば最愛の人』より>
「夫は81歳になったけどとても元気よ。でも、昔から動かない人でね、私は自分の時間と体力を食われすぎないように、いろいろ命令してさせているの。食うか食われるか、恐竜世界のような老後よ」

 

著者紹介

小川有里(おがわ・ゆり)

1946年高知県生まれ。介護雑誌などのライターを経て現在はエッセイストとして活躍中。テーマは、女性、家族、育児、社会現象、シニアなど。著書に『定年ちいぱっぱ―二人はツライよ』『定年オヤジのしつけ方』『負けるな姑! 嫁怪獣(ヨメサウルス)に喰われるな』『おばさん事典』『加齢なる日々 定年おじさんの放課後』『強いおばさん 弱いおじさん 二の腕の太さにはワケがある』『おばさん百科』などがある。

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