政治・国防・軍事
偉人 大久保利通 ――「正解なき時代」のリアリスト 真山知幸 著 大久保利通といえば、明治維新の立役者。倒幕を成功させて、日本を近代国家へ導いた人物です。正直に言うと、これまで私は「冷酷な独裁者」「西郷隆盛の陰に隠れた人」といったイメージを持って…
リミタリアニズム ――財産上限主義の可能性 イングリッド・ロベインス 著 田中恵理香 訳 玉手慎太郎 監訳・解説 昨今、イーロン・マスクやトランプ大統領といった、超富裕層のやりたい放題ともいえる言動が世間を騒がせています。彼らが世界を揺るがし続けて…
紅い皇帝 習近平 マイケル・シェリダン 著 田口未和 訳 党・国家・軍を支配下に置いた終身国家主席 現在の中華人民共和国には三つの権力が存在する。中国共産党総書記、国家主席、軍事委員会主席(人民解放軍)であり、習近平はひとりでこの三権を掌握してい…
自壊する北朝鮮 分裂する韓国 西岡力 著 北朝鮮が父祖以来の「南北統一」を国是から外したのは2023年の末だった。本書のカバー写真で使われている「三大憲章統一塔」などの各地の巨大記念物は2024年1月には撤去・破壊されている。憲法も変えたし、国内や国外…
朝鮮人「徴用工」問題 史料を読み解く 長谷亮介 著 本書は若手研究者による最新の研究論文をまとめた本である。戦時中の朝鮮人労働者の問題は長い間、論争の種になって来た。それは1965年に刊行された朴慶植著『朝鮮人強制連行の記録』(未来社)によるとこ…
戦場の人事係 ――玉砕を許されなかったある兵士の「戦い」 七尾和晃 著 太平洋戦争末期、玉砕戦となった沖縄に派遣され、戦友が死ぬたびにその状況を克明に記録したメモを戦時名簿に添えて保管していた准尉・石井耕一は、最後の戦いを前に中隊長に「おまえは…
「お帰り」と言うために ――拉致被害者・特定失踪者家族の声 特定失踪者問題調査会 編 この本は昨年(2023年)の10月21日に東京都庁前広場(都民広場)で開催された「『お帰り』と言うために 拉致被害者・特定失踪者家族の集い」に参加された拉致被害…
中国はいかにして経済を兵器化してきたか ベサニー・アレン著 秋山勝訳 年々、軍事的脅威をあからさまに見せつけている中国は、一方では世界第2位のDGPの経済力と世界中の企業の垂涎の的である巨大市場を背景として、世界経済への見えない支配力を強めて…
英米の大学生が学んでいる政治哲学史 ――三〇人の思索者の生涯と思想 グレアム・ガラード 著 ジェームズ・バーナード・マーフィー 著 神月謙一 訳 孔子、プラトン、マキャヴェッリ、ルソー、トクヴィル、マルクス、クトゥブ、アーレント、ロールズ、ヌスバウ…
戦争と交渉の経済学 ――人はなぜ戦うのか クリストファー・ブラットマン著 神月謙一訳 ◆リアリズムに基づき「なぜ人は戦うのか」を理解し、戦争を避ける方法を模索する ウクライナへのロシアの侵攻、アフリカや中東での内戦、さらには北朝鮮のミサイル発射や…
ラザルス ――世界最強の北朝鮮ハッカー・グループ ジェフ・ホワイト著 秋山勝訳 日本政府が名指しで非難、注意喚起をうながした「ラザルス」グループとは? 昨年10月、警察庁・金融庁・内閣サイバーセキュリティ―センターが連名で、「北朝鮮の下部組織」とし…
ナチスの北欧幻想 ――知られざるもう一つの第三帝国都市 デスピナ・ストラティガコス 著 川岸史 訳 1934年4月12日、ヒトラーはノルウェーのフィヨルドを視察に訪れました。その時、彼の眼には、自らのユートピア都市が重なって見えていたのかもしれません。 …
ウクライナ・ショック 覚醒したヨーロッパの行方 三好範英 著 プーチンはウクライナを侵攻した当初、侵攻はウクライナを「非武装化するため」、「ネオナチ化を防ぐため」であると強弁していた。プーチンのこの相手への決めつけ、「ネオナチだ」「ファシズム…
香港秘密行動 楊威利修 著 勇松 訳 この本は「逃亡犯条例」の改正に端を発する香港での騒乱(2019年)の際、過激な抗議活動で注目を浴びた「勇武派」と称される若者たちにインタビューしたルポです。当時、抗議デモ参加者の大半は非暴力の抵抗運動で香港の自…
韓国の大統領はなぜ逮捕されるのか ――北朝鮮対南工作の深い闇 西岡力著 韓国の大統領選が3月に行われて、この5月に新大統領・尹錫悦(ユン・ソギョル)が誕生した。文在寅(ムン・ジェイイン)・前大統領の悪夢の五年間が終わって、韓国は正常化できるのでは…
日韓「歴史認識問題」の40年 ――誰が元凶か、どう解決するか 西岡力著 編集者は1970年代に岩波新書のベストセラー『韓国からの通信――T・K生からの報告』をリアルタイムで読んだ世代である。本書『日韓「歴史認識問題」の40年』の中で著者はこの本が半分以上捏…
21世紀の啓蒙(上・下) 理性、科学、ヒューマニズム、進歩 スティーブン・ピンカー 著 橘明美・坂田雪子 訳 ビル・ゲイツ氏が「生涯の愛読書となる、新しい一冊」と激賞した全米ベストセラー、『21世紀の啓蒙』(原題:Enlightenment Now)の邦訳がついに刊…
崩壊学ーー人類が直面している脅威の実態 パブロ・セルヴィーニュ著 ラファエル・スティーヴンス著 鳥取絹子訳 異常気象を伝えるニュースで「数十年に一度の」というフレーズが頻繁に使われ始めたのはいつごろからでしょうか。いまや異常が「通常」となった…
でっちあげの徴用工問題 西岡力 著 橋下徹元大阪市長がこの「徴用工問題」について発言していた。韓国人の「個人請求権」は残っているから賠償もやむないというような趣旨だった。また日本共産党も同趣旨のことを言っている。日本の韓国併合が間違いなのだか…
北朝鮮の漂着船 ーー海からやってくる新たな脅威荒木和博 著 北朝鮮から日本に流れつく無数の木造船――。その数は昨年秋に急増し、今年2月まででなんと100 隻以上にのぼりました。そして今年も11月以降、その数は急激に増え続けています。 特定失踪者問題調…
バノン 悪魔の取引 ―― トランプを大統領にした男の危険な野望 ジョシュア・グリーン 著 秋山勝 訳 バノンとトランプ、暗黙のうちに結ばれた「悪魔の取引」 2016年アメリカ大統領選でヒラリー・クリントンを制し、ドナルド・トランプを第45代大統領に仕立てあ…
日本・韓国・台湾は「核」を持つのか? マーク・フィッツパトリック 著 秋山勝 訳 ◆核はもたないが、その技術も原料ももっている「潜在的核保有国」 中国と北朝鮮という核武装国の脅威にさらされ続ける東アジアで、「核ドミノ」は起こるのか? これが本書の…
アメリカの対日政策を読み解く 渡辺惣樹 著 ◆日本人はアメリカの行動原理がわかっていない 米大統領選の候補者選びで共和党トランプ氏の優勢が報じられています。メディアの下馬評にもあがってなかった、まさに予想外の展開です。我が外務省では急遽、氏につ…
日本はASEANとどう付き合うか――米中攻防時代の新戦略 千野境子 著 ◆新たなステージを迎えた東南アジア さる九月三日、インドネシア政府はジャカルタ・バンドン間の高速鉄道計画を見直すと発表しました。日中が高速鉄道の売り込みに鎬を削り、いずれを採…
兵頭二十八の防衛白書2015 兵頭二十八 著 ◆圧巻の中東・アフリカ情勢分析 昨年から年度版として刊行を開始し好評を博した兵頭版「防衛白書」ですが、2015年版の白眉はなんといっても冒頭の「中東・アフリカ編」における情勢分析でしょう。 兵頭氏は初め…
新平和憲法のすすめ ――そして日本はどこへ 英正道 著 憲法改正論議が再びかまびすしいが、なぜ戦後70年も改正できなかったのだろうか。著者は現憲法の果たした一定の役割を認めつつも、もはや冷戦終結後の厳しい世界の現実に合わなくなってきたことを憂え、…
すべては1979年から始まった ――21世紀を方向づけた反逆者たち クリスチャン・カリル著 北川知子訳 ◆過激なイスラム主義者台頭の源流をたどるリアルな現代史 「イスラム国(ISIS)」など、イスラム系過激派が世界中を震撼させています。でも、少なからずの日本…
ワルの外交――日本人が知らない外交の常識 河東哲夫 著 今月号(2014年12月号)の月刊文藝春秋に保守論客の櫻井よし子さんが巻頭エッセイに『「亡国の外務省」徹底批判』という一文を書いていました。北朝鮮との拉致問題や中国、韓国、ロシアとの関係など、外務…
経済政策で人は死ぬか?――公衆衛生学から見た不況対策 デヴィッド・スタックラー、サンジェイ・バス著/橘明美、臼井美子訳 ◆不況下では行うべきは緩和政策か、緊縮政策か? 公衆衛生学で答えを出す! 日本でも今、アベノミクスの是非が話題になっていますが…
兵頭二十八の防衛白書 2014 兵頭二十八 著 ◆日本の安保環境を知るためのベストブック 論議がつづく「集団的自衛権」の行使容認問題ですが、大方の日本人はその核心部分について殆ど何もわかっていないはずです。わかってないと言えば、昨年公布された「特定…